坂本直行の作品一覧
「坂本直行」の「ヤマケイ文庫 原野から見た山」「ヤマケイ文庫 雪原の足あと」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
北海道銘菓メーカー「六花亭」の包装紙でおなじみ坂本直行氏の詩画集。
帯広市にある「六花の森」の敷地内には直行さんの記念館が点在していて、作品や生涯を歩きながら追うことができる。山の夜明けを描いた油絵の発光するような美しさ、自然の中に在る孤独の豊かさ。最期の作品を掲げた小屋に流れていたシューベルトの「冬の旅」、あの音楽があんなに似合う場所は他にない。
四季をテーマにした随筆、無骨でリアル、でも硬くはない、湿気の少ない筆致。十勝の四季。雪の匂い、春の匂い、薪を焚く匂いがよみがえる。方言で交わす農夫や郵便夫との会話、牧場の仕事、家畜たちのにぎやかさ。娯楽ではなく生活に必須な移動手段としてのスキー、大雪で薪の調達に一苦労、この世で最もめんこいという仔豚たちが、成長するとあっさり「豚公」「美味い」になる。何もかも嘘がなくて美しくてくらくらする。
こんな手紙が毎月届いたらどんなに幸せだろうな。冒頭、冬の章はもっと寒い時期に読み始めればよかったと後悔。次は春の章、野火から新緑、咲き乱れる春の山野草を経て、賑やかな山のお花見、畑の植え付け、鳥たちの合唱に耳を傾けるところまで。
初夏から始まる夏の章は、今から読み始めるのにぴったり。秋はまた、時期が来たら。とても楽しみ。
余談。
本を閉じている間も言葉や情景の端々が脳裏を離れず、反芻しているうちにふと気づいたこと。
四季の移ろい、身の回りの人々の言動、生活の習慣や小さなたのしみ、かわいいもの、美しいもの…読むだけでそこに連れて行ってくれるような筆致の清々しさ…何かに似てる…
あ!これ「枕草子」だ!十勝の牧場バージョンの。
春はあけぼの、と同じくらい美しい、山のあけぼの。個人的にめちゃくちゃ納得がいったので、そういうことにします。私の中では。
Posted by ブクログ
坂本直行さんの展覧会が道立帯広美術館で開催されていたのを見たばかり。ここで見た絵や、直行さんの直筆原稿、スキーや絵の具箱、イーゼルなどを見た後で、思い出しながら楽しく読んだ。
毎回ながら、ヤマケイ文庫として直行さんの本を立て続けに復刊してくれることを、まず感謝したい。
時代というのだろうか、直行さんの登山は今では考えられないくらい豪快だ。スケッチブックを携えて、長靴にスキー、キャンバスのリュックにテント。飯盒で米を炊き、酒も大いに楽しむ。
暮らしの厳しさの中にも楽しみがあり、地元のアイヌ老人との交流や、人々とのエピソードも、ユーモアを交えて語られている。タフの塊のような直行さんを支えた妻と、子供達は大変なこともあったと思うが、そのままを書けば愚痴や不満になることも、直行さんの筆は明るい方向を向くように書かれているので、読者も大変なことと思いつつも、気持ちを沈めずに読み進めることができる。