あらすじ
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友人たちとの朗らかな山行、アイヌの老人との交友、北海道各地へのスケッチの旅などを通して、原野と山脈への変わることのない深い愛情が、力強い山岳画や植物のスケッチとともに綴られる。
■内容
晩秋の日高連峰/春の日高連峰/ポロシリの歌声/又吉物語/初夏の南日高
しらねあおい/吹雪の結婚行進曲/九の沢カールのケルン/五月の五色ガ原からみたトムラウシ/然別湖と西ヌプカウシ
えぞにう/雪原の足あと/春の暑寒別山群/十二月の身辺雑記/原野と日高の山波
へびのたいまつ/ばあそぶとぢいそぶ/広尾又吉の死/夢の白鳥を訪ねて/早春の天狗岳を眺めて
すみれ/流氷と氷原を訪ねて/利尻富士の遠望/熊獲りの弥次馬になった話/僕の個展
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
坂本直行さんの展覧会が道立帯広美術館で開催されていたのを見たばかり。ここで見た絵や、直行さんの直筆原稿、スキーや絵の具箱、イーゼルなどを見た後で、思い出しながら楽しく読んだ。
毎回ながら、ヤマケイ文庫として直行さんの本を立て続けに復刊してくれることを、まず感謝したい。
時代というのだろうか、直行さんの登山は今では考えられないくらい豪快だ。スケッチブックを携えて、長靴にスキー、キャンバスのリュックにテント。飯盒で米を炊き、酒も大いに楽しむ。
暮らしの厳しさの中にも楽しみがあり、地元のアイヌ老人との交流や、人々とのエピソードも、ユーモアを交えて語られている。タフの塊のような直行さんを支えた妻と、子供達は大変なこともあったと思うが、そのままを書けば愚痴や不満になることも、直行さんの筆は明るい方向を向くように書かれているので、読者も大変なことと思いつつも、気持ちを沈めずに読み進めることができる。