旬の作家陣による30をテーマに書かれた短編集。はっきりいって一気読みすると疲れます(そのくらい熱量高い)。少しずつ楽しむことをオススメします。エログロは余りなかったけど、大人目線の話が多く、中学校以上推奨です。基本は高校以上むけだけど、好きな作家探しに短編は良いので、中学生でも読書欲ある子には勧めたいです。
以下、△好き▲面白かった▼普通
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△青山美智子「ストールは赤」
仕事と成長を見つめ直す30年
△朝井リョウ「三十番目」
過去作を病的なほど浚う男。移動中も倍速で聞きついに超人的な速度にたどり着いて、履修完璧。でも過去になくても…。
▼朝比奈秋「ネオン魚群」
喘息の発作を持つ私と買ってきたネオンテトラ
▼伊坂幸太郎「30を信じろ/30も信じる」
名前にも文脈にも三がたくさん使われた遊び心一杯の救出までのNBA談義。
▼一穂ミチ「プレゼント」
あるトラウマから常に30回の咀嚼が癖になった叶愛。鳥子と友だちになって、名前に魔法をかけてくれる。
▼江國香織「若月寧音(5歳)の三十日-聞き書きにより要点のみ記述」
タイトル通り五歳の子の日記っぽい話
▼温又柔「きょうの花婿」
台湾人の母と日本人の父と親戚の思いを結婚式の場面で思う。
▼加藤シゲアキ「サーティー・ストライプス」
アディダスの3本線と若者5人の行き場のない熱量が救助活動へ。
▼川﨑秋子「こひつじメリー」
30キロになったら食べる予定のかわいいコヒツジ
▼木爾チレン「うちとあんた」
23歳でキャンプしながら親友になった和夏と30でキャンプ来て相手に抱えた拗れた思い。
▼九段理江「30世紀少女」
世紀の美少女の1000年配信
▼呉勝浩「檸檬と定規」
娘の三角定規と物差し必要とのセリフから、高校時代にちょっと変わってた相原を思い出す。檸檬があかいのはなんで?
▼小池真理子「逢瀬」
娘との疎通が上手く行かずそばにいるのに孫とも会えない女性が譲り受けてきた着物に風通ししているときに起きた逢瀬。
▲小林早代子「(15)→(30)」
15歳の時クラスで誰かの一番なりたい!って言って騒いでいて、30になってまた、マッチングで15人の一番になることを目指す状況。
△佐原ひかり「世界を救ったことがある」
私は昔異世界に行って30年前に世界を救った。イオはようやく私を迎えに来た。
▼鈴木結生「世界文学物尽」
文学オタクのファンタジー的な年表物差し
▲高山羽根子「そこの関節からも曲がるんだ?」
ずっと請け負いでデザインなどの仕事をしていたのだけど、私の評価される能力はちょっと違うところにあったらしい。
△田中慎弥「チャーチルと母」
賞を取って作家として生きている元引きこもりはなんとなく地元の母と会えずに危篤の連絡でようやく実家へ戻る。
▲月村了衛「三十年前、一瞬の光景」
阪神淡路大震災でふと他の人が漏らした本音が形を変えこれからも燃える。
▼中村文則「これを消してほしい」
子どもの頃見えていたなにか。母や祖母も子どもの頃見えていたので連れていかれそうなとき察知して止められたりしたけど、今、私は―。
▼西加奈子「30の春子」
編集者の春子が書かない作家に自分のちょっと変わった家庭の話をする。
△町田そのこ「さよなら、過去」
貧乏だったけどそれに不満を抱かなかった家族と住んでいた実家の解体を見ていたら屋根裏から出てきたものあった。忘れていたその消しゴムで思い出す昔のはなし。
▼町屋良平「ハンマークラヴィーア、バスキン・ロビンソン」
癌を宣告されちょっと手術してくるなんて虚勢をはっている男性の家族愛。
▲三浦しをん「三十秒の永遠」
これは夢?だよね。巨大な生き物たちのジャングルで出会ったのは卵詰まりのトリケラトプス。
▼宮内悠介「アメリカの人魚」
沖縄が米軍に支配されていた頃密輸で潤っていた島で、いつか解放されたら仕事なくなるからと、人魚の肉を盗んで本土で財を得ようとする2人。
▲宮島未奈「紗南ちゃんの便せん」
私が書道教室の棚の裏で見つけた便せんは母が昔のりぼんの付録だと言う。
▲山内マリコ「もう三十代ではないことについて」
東京で子育てして教育を受けさせることが馴染めず田舎にUターンし、普通の家を田中担当で建てる。
※進学の話などはめちゃくちゃ共感しました。
▲結城真一郎「やることなすこと」
世の中ハラスメントに溢れていて。考え抜いて投稿した一文は…。
▼吉田修一「おそらく彼女たちは」
コロナで散歩していて出会った彼女とシバ犬は周りとは打ち解けないタイプで。
▲米澤穂信「世界を変えた三十人とラストプリンスタンディング」
学校の三十周年記念にクラスで『世界を変えた三十人』を掲示することになった。クラスメイトはそれぞれ人物をあげていく。ぼくは級長という名の書記兼司会で意見は出さなかった。