松谷満の作品一覧
「松谷満」の「「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理」「3・11後の社会運動 8万人のデータから分かったこと」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「松谷満」の「「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理」「3・11後の社会運動 8万人のデータから分かったこと」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
インターネット質問票を通じての社会調査から、右派市民の実像に迫る、定量的社会調査の労作。右派市民について、実は内実を検討してみれば「愛国」「伝統」「排外」「反左」の四つをすべて満たす最教義の右派市民は少数(たった0.2%程度)である、という結果が引き出される。1つ以上当てはまる右派市民は21.1%、2,3種当てはまるタイプは5%程度。このような結果から著者は、左派側からも、「右派市民」のイメージを悪魔化してみることを一度留保してみてはどうか、と提案する。
実家の父親が順調にネット右翼化していることに思い悩み手に取った本の一つだったが、その個人的な悩みを前向きに整理して行く上でも参考になった。父親は特に「排外」と「反左」が厳しいけれども、他二つについては穏当な保守に収まっているかもしれない(から、まずはそこを認めてみよう)などと今は考えを進めているところだ。
しかし、父親が影響を受けているネット右翼論客などは、この四つを全て満たしていたりするものだから、悩みは尽きない。
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四区分に関する自己評価:
(1) 北海道を中心に地域に根差した郷土愛はあり、また日本文化も好きになれる点が多いが、国家神道および旧日本帝国的要素は嫌悪しており、アイヌ・沖縄差別を続けたり、教育勅語を礼賛し現行憲法を踏み躙ろうとするような政府の一部極右勢力を唾棄すべき対象と考える。戦前と決別する不断の努力を希求する。
(2) 家族・戸籍・家名よりも、平等と自由の方がよほど大事。同性婚&トランスジェンダー政策を支持(シスジェンダーかつヘテロセクシャルではあるが当事者の不平等解消を支持・支援する、いわゆる「アライ」の立場)。
(3) 排外主義を政治経済に能う限り持ち込ませたくない。中韓差別は遭遇するたび嫌な気分になるし、近年のクルド人差別にも心を痛めている。
(4) 批判点はあれど、与党プロパガンダに毒された言説群は正直理解に苦しむ。
となるため、めっちゃ最狭義左派市民にあたる。人口の0.5%以下らしい。最狭義右派市民0.2%よりは多いとはいえ、まずここにも努力の余地がありそうね〜とは思った。
Posted by ブクログ
リベラル左派の人たちはしばしば「ネット右翼はきっとこんな人間だろう」と語るが、それは多くの場合、色眼鏡を通した思い込みにすぎない。
また、ネット右翼とオンライン排外主義は混同されがちだが、実際には両者の間に微妙な違いがあり、その区別を曖昧にしたままでは現状を正確に把握することはできない。
本書は、平成以降の政治や社会の動きを背景に、ネット右翼がどのように生まれ、どのような人々が共鳴し、どのように影響力を増してきたのかを丁寧にまとめている。
私自身、これまでネット右翼の人々についてぼんやりとした印象しか持っていなかったが、この本を読むことで、彼らがどのような理屈や背景から右翼的な思想へ傾いていくのかを知ることができた。
日頃から偏見で人を判断しないように意識している者として、この本は読む価値のある一冊だったと思う。
ネット右翼の主張に賛同するわけではないし、立場としては相容れないものも多い。
それでも、彼らを少しでも理解しようとすることで、以前よりもフラットな視点を持てるようになったと感じている。
なお、本書は2019年に刊行されたものである。
それから6年が経った2025年の現在、世界各地で極右的な動きが強まり、日本でも参政党がTikTokを活用し、排外主義的な言説を入り口として幅広い世代を取り込みつつある。
もはや、2019年当時とは状況が大きく変化していると言ってよい。
だからこそ今、TikTokと参政党の登場が世論形成にどのような影響を及ぼしたのかを、改めて1冊の本としてまとめてほしいと感じる。
Posted by ブクログ
右翼はどんなもの変更する必要があるとは考えない。国家は基本的に良い状態にあり、過去の方がもっとずっと良かったかもしれないと考える。左翼が社会正義を求めて引き起こす闘争を単にもめごとを起こしているだけだとみており、空想を追い求める愚かなことだと思っている(リチャード・ローティ「アメリカ未完のプロジェクト」)。
左右の区別は、平等の思想について肯定的か否定的かの違いに求められる。それは最終的に人間を平等または不平等とみなすことへの認識や評価の違いからきている(ノルベルト・ボッビオ「右と左」)。
現代日本社会の右傾化に関する本において、「右」は国と伝統に関することがらに集約されている。国については、過去のある時点における日本への強い愛着を表し、とりわけ明治以降、敗戦以前の日本社会を正しいとみる。また、憲法改正(特に9条)、軍事力強化、領土問題への強い関心も多い。伝統については、家族関係、セクシュアリティなどが過去の理想形として想定され、個人の権利が等しく与えられることは不自然であり、社会に混乱をもたらすとの主張がされる。
伝統的な規範を重視する人は少数派になっているが、わざわざ変えるのは面倒なので、現状のまま維持した方が無難だと考えて行動する保守派の人が多いと考えられる。日本会議や旧統一教会などの宗教右派は、個人主義の浸透と伝統的規範の弱まりを危機と感じて、その流れを止めようとしている。
本書では、2017年に行った非公募型で郵送調査による11508人の回答データを用いて、右派的な強いこだわりがある人々を、愛国主義者、伝統主義者、排外主義者、反左主義者として位置付けて、分析を行っている。性別では、すべてのタイプで男性の比率が高い。右派に女性は少ないが、左派にはそれなりにいる。愛国主義者は、どの年代の大卒男性にも多いが、非愛国主義者は高年層に偏っている。反左主義者は若年・中年の男性に多いが、親左主義者は高年層に偏っている。自営・経営者では愛国主義者、排外主義者が多く、役職者では愛国主義者が多い。排外主義者は、生活に不満を持っている人、収入が平均よりかなり低いと感じている人が多い。
メディアの利用については、テレビの利用は親左主義者以外で低く、新聞は伝統、排外、非愛国、親左で多く、非伝統で低い。本・雑誌は右派・左派とも利用率が高い。インターネットの利用は、愛国、反左、非伝統で高く、伝統、非愛国、親左で低い。排外主義者は、インターネットの利用が高いが、SNSの利用は反排外主義者の方が高い。
ポピュリズムとは、政治のエリートよりも普通の人々の常識に基づいた政治をすべきだという考え方。著者は、橋下徹、河村たかし、小池百合子、石丸伸二、山本太郎、百田尚樹、立花孝志、神谷宗幣をポピュリストとして位置付けている。海外で政権を取ったポピュリストであるアメリカのトランプ、ベネズエラのチャベス、ハンガリーのオルバンは、政権を奪取した後に自由を抑圧するような政策を実施した。ポピュリズムに関して著者が懸念していることとして、普通の人々も間違いを犯すこと、多数者の専制をもたらしがちで排除の政治なりやすいこと、報道機関や学術機関などエリートの大事な資源を台無しにしてしまうこと、大言壮語だがそれに見合った結果を伴わず、ほんの少しの結果を大げさに言うことが多いことをあげている。
Posted by ブクログ
私は自分と違う考えの人がなぜそうなったのかが気になるタイプなので、こういう本も読む。右派といってもいろいろとタイプがあり、主に愛国、伝統、排外、反左(左派嫌い)の4つにわかれていて、それをさらに世代別、性別、大卒か否かなど様々な指標で分析している。
この愛国、伝統、排外、反左(左派嫌い)の4つをすべて備えている、ガチガチの右派は少ないらしく、むしろこの4つのいずれかにふんわり当てはまっていることが多いらしい。またいずれも排外(中国、韓国嫌い)の割合を伸ばしているというのは嫌な納得があった。
大規模なアンケート調査をもとにしており、「素朴な意見」が掲載されている。
読んでみて、大卒の30~40代の男性がいわゆる右派の割合が高いらしい。全然根拠はないけれど、差別的な言説であふれていた2ちゃんねるやそのまとめサイト、ニコニコ動画がまったく影響ないとは思えないよなー……。そしていまはSNSが2ちゃんねる化しているし
Posted by ブクログ
「右派市民」とはどんな人たちなのか。ステレオタイプで語られがちなその実像を、大規模アンケート調査で丁寧にほぐしていく本書は、データを通じて私たちの「思い込み」を静かに問い直します。本文では徹底して分析者の立場を保ち続けた著者が、「おわりに」でようやく自らを「生ぬるい半端者」と呼びながら「対話をあきらめない」と記します。その言葉が、この誠実な書物に最後の奥行きを与えています。
【目次】
第1章 右派の定義は難しい ――右派と保守はどう違う?
・「右」は過去志向、「左」は未来志向
・選択的夫婦別姓や同性婚に反対する論理
・自民党「右傾化」の原因
・参政党、日本保守党ら新興右派の躍進
・左派はなぜ弱いのか ……ほか
第2章 右派市民を分類する ――「極端な人」はあなたの隣にいる
・父はネット右翼だったのか?
・右派市民を4タイプに分けてみる
・排外主義者は1割超、「極右」市民はわずか0.2%
・「朝日新聞は廃刊すべき」……右派市民のリアルな声
・「保守」を自認している人は意外と少ない ……ほか
第3章 右派市民とは誰か? ――ジェンダー、世代、学歴、収入、メディア利用から考える
・「シニア=右」「弱者男性=自民支持」「ネトウヨ=情弱」は偏見
・もっとも右派から遠いのは「若年大卒女性」
・職業・収入にみられる特徴
・なぜ経営者はナショナリズムに傾倒するのか?
・政治思想とメンタルヘルス ……ほか
第4章 右派市民の投票行動 ――彼らは本当に「安倍信者」だったのか?
・リアルは高年左派、ネットは若年右派が活発
・「岩盤保守層」は本当に存在するのか
・排外主義者の安倍ぎらい
・結局、どこに投票している?
・「自民離れ」の受け皿になった国民民主党と参政党 ……ほか
第5章 加速する右派ポピュリズム ――ネットで広がる新たな分断
・安倍政権を支えた中間層
・反エリートの「普通の人々」による政治を!
・検証:河村たかしの名古屋市政
・石丸、斎藤、トランプ、欧州……拡散する新しいポピュリズム
・「ポピュリスト=悪」ではない
・ネットメディアがポピュリズムを加速させる
おわりに
・では、どうすればよいか?
・一緒にいることをあきらめない
・半端者どうし、だから対話の可能性がある
・わからなさや迷いを許容する