先日読んだ「モノクロの夏に帰る」─額賀澪著─
に出てくる写真集のモデルが本書と知り、手に取った。
著者の庭田さん(広島市出身)と東大教授の渡邉さんによる「記憶の解凍プロジェクト」の成果をまとめたものだそう。
まず、AI技術でモノクロ写真を「自動色付け」する。
次に、戦争体験者との対話・SNSで寄
...続きを読むせられたコメント・資料などをもとに、手作業で色を補正していく。
とても地道で時間のかかる作業だろう。
しかしこの「人との対話」がとても大切だ。
白黒の世界で凍りついていた過去に色がつくことで、記憶も生き生きと動き出す。
一枚の写真から当時を思い出し、次々と語り出す当事者たち。
戦後79年となる現在、体験者の話を生で聞く機会はもうほとんどない。
本書に収録されている約350枚のカラー化写真とその記録は、本当に大切で興味深いものだ。
いくつか紹介すると
※1932年頃
皆でスイカを食べて家族と親戚の夏の団らん
──どんな時代でも笑顔のひとときは良いな
※1944年
フィリピンでくつろぐ「勤皇隊」隊員たち
その後フィリピン・オルモック湾で特攻を敢行
──六人の笑顔に胸が詰まる
※1945年8月6日 8時15分
広島市への原子爆弾投下
呉市より撮影
オレンジ色に色付け
──SF映画のようだ
※1945年8月8日
翌日の長崎への投下に備えて組み立てられた原爆ファットマンにサインする、開発者のノーマン・ラムゼー博士
──サインするの?驚いた
350枚の中には教科書などで見たことのある写真もあるが、やっぱりカラーだと印象が全く違うんだなぁと驚く。
今、私が、振り返った先に戦争がはっきりと見えるんだ。
私の祖父母は戦争を体験しているはずだが、話は聞かずじまいだった。
(とっくに亡くなっている)
今度実家に帰ったら、祖父母のことを両親に聞いてみよう。
(両親も老齢だ 急がねば)