■なぜ今、この本を手に取ったのか
ClaudeのAIエージェント(Claude Cowork)が次々と特定産業の株価を「丸ごと!」押しつぶし始めている。まるで進撃の巨人の「地ならし」だ。2026年2月の急落は売りシステムの暴走とまだ使いこなせていない株主のパニック売りなので持ち直すだろうが、遅かれ早かれな話だと感じている。
こうした時代の転換点において、「揺るがない金融リテラシーの土台」を固めることが重要だ。本書はマネーリテラシー系YouTuberで最も有名な両@リベ大学長の書籍であり、マネーリテラシーを上げたい人が最初に読む本として最適だ。子供らが大人になるタイミングでは必ず通ってもらおうと思っている。それくらい重要な一冊である。
■本書の概要:5つの力で経済的自由を目指す
『本当の自由を手に入れる お金の大学(改訂版)』は、一生お金に困らない生活を送るために必要な「5つのお金にまつわる力」を身につけるための実践的なガイドブックだ。著者の両@リベ大学長は、経済的自由(生活費<資産所得の状態)を達成することをゴールとして掲げている。
1. 貯める力(支出を減らす)
経済的自由への第一歩は、まず固定費を徹底的に見直すことだ。
人生の6大固定費(通信費、サブスク、保険、家、車、税金)を最適化する。格安SIMへの乗り換え、不要な民間保険の解約(日本の公的保険は優秀だ)、賃貸物件の家賃交渉や中古車の現金購入などが具体的に推奨されている。さらに、サラリーマンでもできる控除(ふるさと納税、医療費控除など)の活用や、副業による事業所得での節税も説かれている。
2. 稼ぐ力(収入を増やす)
資産形成のスピードを上げるために、労働所得を最大化する。
転職により自分を高く買ってくれる環境へ移ること、せどり、ブログ、動画編集などの副業で事業所得を得ることで、収入源の分散と節税メリットを享受できる。
3. 増やす力(資産を増やす)
貯蓄を投資に回し、「お金のなる木」を育てて資産所得を得る。
投資を始める前に、会社員なら生活費の6ヵ月分、自営業者なら1年分の生活防衛資金を確保する。その上で、NISAを活用し、全世界株や全米株(S&P500)のインデックスファンドへ長期・積立・分散投資することを基本としている。年利5〜7%を一つの目安とし、高すぎる利回りを謳う詐欺から身を守る知識も提供されている。
4. 使う力(お金で幸せを買う)
ただ貯めるだけでなく、人生の満足度を高めるためにお金を使うスキルだ。
寄付・プレゼント、豊かな浪費(自分の好きなこと)、自己投資、時間を買う、健康への投資など、良いお金の使い方が具体的に挙げられている。
5. 守る力(資産を減らさない)
形成した資産を、詐欺、盗難、浪費、インフレ、不適切な金融商品といった脅威から遠ざける力だ。
貯蓄型保険、銀行窓口の外貨預金、手数料の高い投資商品など、資産を増やす効率を著しく下げる「毒キノコ」に近づかないよう注意喚起されている。
■AI時代における本書の価値と限界
本書を2026年2月という時代の転換点で読み直すと、その普遍性と時代性の両面が見えてくる。
<普遍的な価値:「貯める力」と「増やす力」>
固定費削減の重要性は、AIがどれだけ進化しても変わらない。むしろ、産業構造が激変する時代だからこそ、支出のコントロールという確実な防御手段の価値は高まる。通信費、保険、サブスクの見直しは即効性が高く、今日やれば今月から効果が出る。
インデックス投資の基本原則(長期・積立・分散)も、AI時代でも変わらない。むしろ個別株の目利きがAIに代替されることで、インデックス投資の優位性はさらに高まる可能性がある。ただし、AI関連銘柄の乱高下リスクは新しい要素として注意が必要だ。
<賞味期限が短くなりつつある要素:「稼ぐ力」>
本書が推奨する副業(せどり、ブログ、動画編集など)の多くは、すでにAIに代替され始めている領域だ。子供たちが大人になる頃には、この章は大幅にアップデートが必要だろう。
今後重要なのは「AIに奪われにくい稼ぐ力」か「AIを使いこなして稼ぐ力」のどちらかだ。本書の原則は正しいが、具体的な手段については時代に合わせた解釈が必要になる。
■結論:次世代に継承すべき「揺るがない原則」
本書は「今日が、人生で一番若い日です」という言葉と共に、5つの力をバランスよく育てることで、誰でも一歩ずつ自由な生活へ近づけることを説いている。
AI時代の産業破壊が加速する中、この本を子供たちに読ませる意義は明確だ。それは個別の副業手法や投資商品を教えることではなく、「消費者として搾取されない力」「変化に対応できる金融リテラシーの土台」を身につけさせることにある。
AIによる「地ならし(仕事の代替)」がどこまで進むかは分からない。だが、固定費を抑え、AIのタスク自動化に関する知識と経験値を積むと共に、どの会社のAIが最も人気を獲得するか?について当たりをつけること。またAI関連の論文にもアンテナを立てて、「AIが新たに獲得した得意なこと」への理解を深め、それに関する業務を手放し、またそれに関連するビジネスモデルへの依存度を下げること。
時代が変わっても揺るがない原則と、時代に合わせて更新すべき具体策を見極める目を養おう。
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さ(静穏)を与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。