UX(ユーザー体験)という包括的な名称が付与されたがゆえに、小さな差異を含んだ定義が氾濫する「UX」。
UXという言葉が生まれてきた背景、「UX」と呼ばれるものの吟味などが丁寧に解説され、UXそのものに触れるのはだいぶ後半になってから。
セットで語られることの多いUI/UXだが、その差異についても
...続きを読む明朗な回答がある。
総花的に紹介される評価手法は、果たしてどの程度現場で役立てられるのかは不明だが頭にキーワードを入れておくだけでも違いそうだ。
随所に著者の強い想いが込められており、客観的な「原論」とは必ずしもいえないだろう。
しかし、明確に感情をこめているからこそ、読み手は客観的事実と著者の主観とを取り違えることがない。
まったくもって骨太な本で、「UXをデザインしちゃおう!」「この手法でUXがメキメキ向上!」といったキャッチーなものは一切でてこない。
愚直に積み上げられた理論と体験を体系的にまとめられた本書は、しかしキャッチーなものを求めがちな「UX実践者」こそ手に取るべきだ。