作品一覧 2021/11/25更新 吸血鬼は目を閉じ、十字を切った 値引きあり 試し読み フォロー そして、遺骸が嘶く 値引きあり 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 酒場御行の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 吸血鬼は目を閉じ、十字を切った 酒場御行 『そして、遺骸は嘶く』も凄まじい作品だったが、この作品の凄まじさも半端なかった。 正直うまく言葉にできなくて、凄いとしか言いようがないのがもどかしくある。 ミステリでありながら、人間の綺麗な部分も醜い部分も、愛情も憎しみも、孤独も怒りも丁寧に丁寧に描かれていて、読み進めるたびに酸欠を覚えるほど。 謎...続きを読む解き自体も面白いが、その感情表現が印象に強い。 淡々と描写しておきながら、こちらに伝えてくる感情が津波のようで。 押しつぶされないようにするには、こちらもそれなりの気力をもって立ち向かわざるを得なくて。 いい意味で非常に疲れる読書だった。 それだけ力強いのだ、この話。 その感情の波を逆方向に振り切っているのが主役の二人。 動と静を煮詰めるだけ煮詰めた正反対の二人。 特にヒバリの感情には、常に抱えた怒りには、触れると痺れるほど。 対照的に冷め切ったシキョウ。 生い立ちゆえ仕方のない部分はあるが、そんな彼がだんだんとヒバリに馴染んでいった矢先の終盤の展開は、また受け止めるには心のゆとりが必要だった。 重くて、重くて。 それでいて、描写は美しいんだよなあ。 でも、やはり愛が深くて、重くて。 この物語という大海で酸素を求めて喘ぐ、終盤の酸欠ぶりは本当に凄まじかった。 ヒバリの父親の名前がまた皮肉だよなあ。 宮沢賢治の某作品を思い出して、また涙が禁じえないという。 色々だらだら書いたけれども、この物語の根底にあるのは、「愛」かなと思う。 ヒバリの怒りも、シキョウの諦めも、作中様々なものも形が違えど、結局はそれぞれの「愛」の形なのかなと。 共感できるできないという問題は別として。 本当はもっと物語について書ければいいのだが、いかんせんまだ衝撃から立ち直っていないので、だらだら感想を書いただけで終わることが心苦しい。 もっとしっかりレビュー書ける方にそれはお願いするとして、取り敢えずまずは実際に読んで感じてほしいと思う。 サブキャラ一人一人の背景も丁寧に書かれている、この世界観の練り上げ方は本当に本当に凄まじいので。 たった一冊の本にこれだけの熱量を込められるのかと。 それでいて暑苦しさは感じない、静かな熱なのだ。 二作目もこのクオリティなのだから、本当に凄い作家さんだと思う。 Posted by ブクログ そして、遺骸が嘶く ―死者たちの手紙― 酒場御行 少し想像しにくい部分もあったが、面白い作品だった。戦争により歪んでしまった価値観、歪になってしまった人間関係が、修復、とまではいかなくても、死者が、そして当人たちが望んだ方向に少しずつ戻っていく。 Posted by ブクログ そして、遺骸が嘶く ―死者たちの手紙― 酒場御行 本当に新人作家さんが書いたの⁇ 兵士の遺品を家族に届けるお話が複数。それぞれ少しずつ絡まっている。 戦争の惨たらしさ、残された遺族、色々な心情が丁寧に書かれていると思う。 続きが出るのかな? ぜひ次の作品も読んでみたい作家さんです。 Posted by ブクログ そして、遺骸が嘶く ―死者たちの手紙― 酒場御行 キャスケットが届ける戦死者の遺品、それに関わる人たちの話のパターンが実に多種多様だった。 ストレートに泣ける死者の遺言。 死神なんぞに引き裂かれてたまるかと最期まで互いの想いを信じていた恋人たち。 捻じれた父子の関係性のその先は? そして……キャスケットと彼の兄官の絆の物語。 最初はキャスケットが...続きを読む届けた戦死者とその家族や恋人の話の方に主軸が置かれていたけれど、後半は後書きにもあったようにキャスケット自身の話へシフトしていく。 戦時中のあることで「変わってしまった」兄官。 死という概念がその人をその人たらしめていたものの消失だというのであれば、今の兄官は果たして生きていると言えるのか。 そんな苦悩の中、「死神」と呼ばれ忌み嫌われる仕事を続けるキャスケットが見出したのは。 身体も心も壊された筈の兄官が守りたかったものが見えた時、作中の世界ががらりと色を変える。 あの瞬間の衝撃は忘れられないものとなった。 キャスケットは生まれ育ちが訳ありで文字も碌に読み書きできないほどだった。 そんな彼は愚直なまでに素直。 一方で作中で描かれる世界は決してやさしくない。 醜い部分、残酷な部分も敢えて遠慮せず描いているので、死者の想いやキャスケットの素直な部分がより輝いて見える。 影が濃くなればなるほど、光もまた眩しくなる。 その光を守りたかったのだろう、あの兄官は。 キャラクターノベルでありながら、死について、絆について、家族の在り方について、様々なことを考えさせらる奥深い作品。 「胸が震える衝撃の一冊」の謳い文句は伊達ではない。 最後まで読み切った時、改めてタイトルの『遺骸が嘶く』の意味が一段と奥深いものになる。 その驚きを是非読んで体感してほしい。 Posted by ブクログ そして、遺骸が嘶く ―死者たちの手紙― 酒場御行 凄惨なる戦いで狙撃兵として活躍したキャスケットは、戦後遺品を遺族に届ける任に着く。 遺品を受け取った遺族のそれまでとその後、戦死した者のその時の状況が交互に展開する。 遺族へ手紙を届けながら文字が読めない彼は自身に届いた手紙が読めなかった。 それを読めるようになった時、彼がどんな生い立ちだったのかが...続きを読む分かる。 誰もが大きな傷を負いながら未来へ、または違う世界へと歩んでいく姿に合わせ、その生い立ちから人間味が欠落していたキャスケットが徐々に人らしくなっていく。 でもその時には最も大切にしていた人たちがいない。それが悲しい。 Posted by ブクログ 酒場御行のレビューをもっと見る