紅茶・コーヒー・ココアは古くから世界中で親しまれている。17世紀のヨーロッパでは、コーヒーハウスでコーヒーを飲みながら身分も関係なく議論を交わすことが盛んであり、これが弾圧の憂き目に会うことになったのでは無いかと言われている。
現在、コーヒーはサードウェーブと言われており、豆本来の品質が重要視される
...続きを読むようになった(ファーストウェーブは大量生産の段階、セカンドウェーブは飲み方の段階(コーヒー使ったドリンクやスイーツなど))。
日本では、コンビニで100円で美味しいコーヒーを飲めるようになったことから、コーヒーの味以外に、どんな付加価値をつけるかが大事である。それを叶えたのがスタバであり、カップに名前を書いてくれる、目の前で焙煎している店舗があるなどの付加価値を付けているからこそ、世界中で親しまれているのだろう。
ビジネスとしての心構えとして「なぜ」を語れなくてはならない。美味しいから、好きだからは、アマチュアであり、なぜこの豆なのか、なぜこの焙煎なのか、なぜ大会に出たいのか..それらを間違っていてもいいから自分の言葉で説明できてこそ一流である。
「美味しいコーヒー」といっても、国や考え方にやって好みが分かれるため、絶対的な美味しさというのは無い。日本は雑味の少ない味が好まれる。これらは出汁の文化が影響していると思われる。一方、中国ではフレーバー、欧米は質感やボディを重視する傾向がある。
コーヒーを一言で言うと「精神の解放」であり、日本においては禅や茶道の文化と関わりがあると考えられる。日本で流行ったのはドリップコーヒーで、一定のゆったりとして動作で心が落ち着き、目の前に集中できることに繋がるからである。トルコ式コーヒー(粉に水を加えて熱した砂で沸かした上澄を飲む)やフレンチプレスとは違った、わざわざ面倒な手間をとることが、精神の解放に繋がる。
コーヒーを飲みほっと一息つく。この小さな幸せの輪の連鎖の先に優しい社会の実現があると考えられる。これが、筆者が目指す未来の実現であり、コーヒーに携わる理由である。
所感
普段何気なく飲んでいるコーヒーの背景に様々な歴史や事情があるなんて知らなかったばかりか、そもそも考えたことすらなかった。筆者が本書を書いた理由として「漆黒の液体の背後にある物語を知ることで、皆さんが何気なく飲む一杯に彩りを与えることができるかもしれない」とある。まさにその通りで、この本を読んだ前後で、目の前のコーヒーの裏側に思いを馳せることで、味わい方は大きく変わるだろう。普段何気なく口にするものだからこそ、その背景を知ることで、人生はより彩り豊かになるのだろう。物が飽和している時代だからこそ、一つ一つのものの背景を想像することが、大事である。自分が自営業をやるのであれば、消費者にどうやってその背景を知ってもらうのかが課題であり、それをクリアして貰えば、人々に親しんでもらえるのだろう。