作品一覧

  • ラヴクラフトの怪物たち 上

    ラヴクラフトの怪物たち

    小説・文芸

    3.0
    1~2巻2,750円 (税込)
    クトゥルー!ヨグ・ソトート!アザトート! ……ホラーの世界で、こんなにもぞくぞくする名で呼ばれる存在は類を見ない。その名だけで、異次元から来た想像を絶する怪物だとわかる。H・P・ラヴクラフトが創造した、幻想文学史上もっとも怖ろしいものたちを、21世紀にクトゥルー神話の可能性を追求しつづける気鋭の作家たちが、新たな視点から描く。 邦訳紹介が停滞しがちだった現代海外クトゥルー神話を一望するアンソロジー、堂々の登場。解説は幻想文学の第一人者にして『クトゥルー神話大事典』の著者、東雅夫。
  • 誰かがいる部屋 A・M・バレイジ怪談傑作集

    誰かがいる部屋 A・M・バレイジ怪談傑作集

    小説・文芸

    4.5
    1巻2,970円 (税込)
    怪談の名手として、20世紀初頭に読書人たちの称賛を浴し、今なお根強い人気を持つA・M・バレイジ。日本ではアンソロジーでのみ馴染み深い怪奇小説作家の、長年のあいだ待望されてきた単著を、今ここに贈る。本書では名人芸の光る幽霊譚をはじめ、吸血鬼ものや骨董怪談、時間奇談など、多彩な本邦初訳作11編に加え、名作の名高い「遊び友達(Playmates)」と「間違った駅(Someone in the Room)」の新訳を収録。

ユーザーレビュー

  • 誰かがいる部屋 A・M・バレイジ怪談傑作集

    Posted by ブクログ

    今年読んだ幻想短編で1番のお気に入り。バレイジは初めて読んだがどれも伝統を踏まえつつも、古めかしい内容でなく新しい発見がある。異世界譚の「間違った駅」、魅入られた男の末路「山査子の木」、心温まるゴーストストーリー「遊び友達」が良かった。

    0
    2026年09月29日
  • 誰かがいる部屋 A・M・バレイジ怪談傑作集

    Posted by ブクログ

    タイトルに偽りなしの怪談傑作集でした。

    特に「クリスマスの幽霊物語」は話の作りや盛り上げ方、落し方が大変巧みで感情が大きく揺さぶられました。

    イギリス怪談が好きな方は必読です!

    0
    2026年09月20日
  • ラヴクラフトの怪物たち 下

    Posted by ブクログ

     ラヴクラフティアン・フィクション――それは、「クトゥルー神話」も内包する、ラヴクラフトが創造した世界観に基づく創作品であり、かつ創作活動全般を指す造語です。本書は2014年に米国で刊行された、ラヴクラフティアン・フィクション・アンソロジーの邦訳です。創造者であるラヴクラフトの作風とも啓蒙者であるダーレスの作風とも異なる、いずれも個性豊かな新時代の作品の数々。下巻はエルヴィス・プレスリーが蘇ったミイラ男と対決する奇作『ババ・ホ・テップ』などで知られるランズデールの『血の色の影』など10作を収録。

     以下、なるべくネタバレなしの各話感想。
    ---------------------------------------------------------
    『愚宗門』(トマス・リゴッティ/1988)
     私は常ならざるものが存在する、唯一者の魂の領域の入口を求めて、ある鄙びた町を訪れて部屋を借りる。ある日の午後遅く、ノックの音でドアを開けると、そこには男が立っていた。部屋を間違えたと言って男はすぐに去るが、その夜、私は奇妙な夢を見ることに――。
    (悪夢を追い求めた人物が悪夢そのものに変質してしまうまでを著した作品。抽象的な比喩で彩ることで、正に悪夢めいた内容に仕上がっている。)

    『禁じられた愛に私たちは啼き、吠える』(ケイトリン・R・キアナン/2012)
     その昔、港町インスマスに、エルベリスという娘がいました。眠りにつく頃、窓を引っ掻いたり叩いたりする音が気になり、窓に近づいてみることに。そこには、地の底より這い出てきた食屍鬼が――。
    (クトゥルー神話版異類婚姻譚な御伽噺。はてさて、2人の行き着く先はグッドエンドかバッドエンドか。)

    『塩の壺』(ジェマ・ファイルズ/2014)
     床下で見つけた壺。壺には蜘蛛の糸のように細い文字で、遠い先祖の読めない名を書いたラベルが貼られていて――。
    (ラヴクラフトに捧げられた詩の一。どの作品を下敷きにしているかは、ファンならすぐに判るだろう。)

    『昏い世界を極から極へ』(ハワード・ウォルドロップ&スティーヴン・アトリー/1977)
     物語は、科学者によって造られた人造人間が、自死のために北極海に姿を消したところから始まる。死ねないことを嘆きつつ、名なしの怪物は北極を彷徨ううちに知らず地下世界に迷い込み、大冒険を繰り広げることに――。
    (名作『フランケンシュタイン』をベースに『地底旅行』や『白鯨』など19世紀の名作を織り交ぜながら、人造人間が虚々実々の冒険を繰り広げるアドベンチャー。ラヴクラフト作品からのゲストは何か、それをここで明らかにするのは野暮だろう。)

    『クロスロード・モーテルにて』(スティーヴ・ラスニック・テム/2012)
     ウォーカーは家族とともに、クロスロード・モーテルに留まり続けている。モーテルの宿泊客は、しばらくは彼らだけだったが、週末には満室になった。さらに人々が集まり、駐車場や空き地で寝泊まりするまでに。はたして、何が彼らを引き寄せたのか――。
    (血の支配を軸に、悍ましい未来へ自ら足を進める者たちを著した短編。その結末は抽象的ながらも、救いのない未来を予感させる。)

    『また語りあうために』(カール・エドワード・ワグナー/1995)
     ロンドンのパブで歓談する男たち。ホルステンがジョッキを傾けた時、ジョッキ越しに見えたのは黄色いローブをまとった人影だった――。
    (チェンバーズの『黄衣の王』をベースに、契約に囚われた男の様を書いた掌編。けっして語られない行間にはどのような物語があるのか。)

    『血の色の影』(ジョー・R・ランズデール/2011)
     もぐりで探偵業をしているリチャードは、元妻のアルマから、弟であるトゥーティを連れて帰るよう頼まれる。ミュージシャンである彼から送られてきたレコードを再生すると、全身の毛が逆立つ、悍ましい感覚を呼び起こす曲が流れる。嫌な予感に満たされながらも、リチャードはダラスに向かうのだった――。
    (脚本も手掛ける人気作家ならではの、読み応えのあるハードボイルド・タッチの良作。)

    『語り得ぬものについて語るとき我々の語ること』(ニック・ママタス/2009)
     あらゆるものが変わり始めた世界。ジェイス、メリッサ、ステファンの三人は洞窟の入り口にある石をテーブル代わりに酒を呑んでいた。ジェイスはご講説を述べ、メリッサは酒を傾け、ステファンはメリッサに言い寄る。同時に、終わりは徐々に、確実に近づいてくる――。
    (曖昧かつ婉曲的に、しかし確実に始まった神話生物の出現による世界の変化を著した短編。)

    『腸卜(ちょうぼく)』(ジェマ・ファイルズ/2014)
     絞首台の下に来て 殺された人を開きます 本を繙くかのように――
    (食屍鬼を題材にした、ラヴクラフトに捧げられた詩の一。原題である『Haruspicy』はラテン語で、生け贄の犠牲者の腸[はらわた]を使った占いのこと。なので「腸卜」という邦題なのだろう。)

    『牙の子ら』(ジョン・ランガン/2014)
     優しくも厳しい祖父の秘密。それは地下室にある冷凍庫の中に。そう思った孫の姉弟は、祖父が不在の間に冷凍庫を開ける。はたしてその中には――。
    (ラヴクラフトの『無名都市/廃都』をベースに、祖父の悍ましい秘密と過去に家族間で起きた事件の真相を絡めたサスペンスホラー。好奇心と探究心は人を幸福にも不幸にもする。)

    0
    2023年08月22日
  • ラヴクラフトの怪物たち 上

    Posted by ブクログ

     本書は2014年に米国で刊行された、クトゥルフ神話小説アンソロジーの邦訳です。創造者であるラヴクラフトの作風からも啓蒙者であるダーレスの作風からも外れた、いずれも個性豊かな新時代のクトゥルフ神話。上巻は『ドラキュラ紀元』で知られるキム・ニューマンの『三時十五分前』など8作を収録。
     以下、なるべくネタバレなしの感想。
    ---------------------------------------------------------
    『世界が再び終わる日』(ニール・ゲイマン/1994)
     "それ"があった次の日の朝は、決まって二日酔いのような不快感に塗れている。吐き出した胃の中のものを掃除して身体を洗い、服を着て外に出ると、そこは冬のインスマスだった――。
    (インスマスを舞台に、主人公を儀式の生贄にしようとする謀を書いたハードボイルド・タッチの作品。言及も仄めかしもないが、登場人物の一人はおそらく混沌の化身なのだろう。)

    『脅迫者』(レアード・バロン/2004)
     19世紀のアメリカ。殺人犯の男を追ってサンフランシスコを訪れた探偵のケーニグ。情報を得て男が隠れているであろう洞窟に足を踏み入れたケーニグだったが――。
    (人探しの仕事を請け負った探偵の顛末を書いたハードボイルド・タッチの作品。なお原題は「威嚇する者」のスラングで、追う者と追われる者の双方を指している。)

    『赤い山羊、黒い山羊』(ナディア・ブキン/2010)
     クリシュは裕福なグナワン家にシッターとして雇われる。子どもたちは「生まれた時から山羊乳母に育てられた」と謎めいたことを口にする。その夜、クリシュは闇夜の中で、山羊の足を持った異形を目撃する――。
    (作者の地元であるインドネシアを舞台にした作品で、インドネシアの文化とクトゥルフ神話の文化をうまくミックスさせている。)

    『ともに海の深みへ』(ブライアン・ホッジ/2013)
     時は2012年。動物学者のケリーは合衆国の国土安全保障省に招聘される。詳細を知らされないまま、ケリーが送られたのは米軍の秘密捕虜収容所だった。そしてそこに囚われていたのは、1928年に摘発されたインスマスの住民、深きものどもだった――!
    (最後の一行にぞっとさせられる、アフター・インスマスものの秀作ホラー。ぜひ映像で見てみたい。)

    『三時十五分前』(キム・ニューマン/1988)
     ぼくは寂れた町の寂れたダイナーで、店番をしながら本を読んでいた。客が来ているのも気づかずに。客は少女だったが、その腹は多胎妊娠しているように膨らんでいた――。
    (往年のジャズナンバーをBGMに、深夜のダイナーの気怠い雰囲気を、クトゥルフ神話の要素を絡めつつ叙情的に著した掌編。言葉遊びを駆使した翻訳者泣かせの、原曲を知らないと楽しめない読者を選ぶ作品。)

    『斑あるもの』(ウィリアム・ブラウニング・スペンサー/2011)
     失踪した探検隊を見つけ出すため、ジャングルへ赴いたサー・ラッジ一行。乗り物は金属の触手で密林を切り開く銀色の球体<女帝>号。はたして探検隊は無事に見つかるのか――。
    (さらなる災いを予感させるような暗示的な結末でクトゥルフ神話的恐怖を演出した、スチームパンク風冒険SF。)

    『非弾性衝突』(エリザベス・ベア/2007)
     タマラとグレッチェンは、賭けビリヤードで糊口をしのぐ流れ者の姉妹。ある時の勝負で、対決したピンキーの家で食事をすることになる。食事を作っている最中にピンキーは言った。「彼は帰らせてはくれない。」と――。
    (「神話生物が任務失敗の罰として人――しかも女体化!――にされて地上に堕とされる。」ってそれなんて■■■?)

    『残存者たち』(フレッド・チャペル/2010)
     近未来。外宇宙からの侵略者により、地球と月は改造され、人類は滅ぼされんとしていた。ピースリー家は母と兄妹が生き残り、サバイバル生活をしながら山間の洞窟に隠れ住んでいた。ある時、自閉症の妹が川辺の砂に地図のようなものを描く。一縷の望みを抱き、三人は示された場所に向かうことに――。
    (パルプフィクション風味のSFもの。終盤の「おぞましい眺め」は、不定の狂気を発症させるほどに正気度を喪失させるような「人知の限界を超えた異世界の感覚」を見事に表現している。)

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    2022年12月04日

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