気象予報の基礎や、予報概念の変遷やその背景など学べたのは良かった。予報官がどのような難しさや信念・哲学を抱いて業務にあたっているのかを垣間見れたのも面白かった。
但し特別警報の地域メッシュの記述には、オイオイと思った。
そもそもそこまでの記述は法に基づいてしっかり解説されていたのに、急に「その基準
...続きを読むの決め方を見ると、ここまで述べてきた広域管理の考え方が色濃く反映しているのがわかる」「特別警報は広域管理の立場から見た危機管理の視点でデザインされている」「通常の警報・注意報とは危機の重大性の尺度が異なる」等とてきとうなことを言っている(よく考えたらこの気象業務法改正は2013年だから、略歴によれば著者が退官したあとのことなんだよな…)。
別に広域管理に使いたいから等という高尚な理由ではなく、府県単位でしか出せないというシステム上の理由なのではないかとも妄想する。それに法律上も、基準について知事や市町村長から意見聴取するという立て付けも何ら通常の警報等と変わらない。
実際著者は、「著しく大きい場合」という定義は「これが危機の広域性を意味するかどうかは別として、」とうやむやにしている記述もあるが(そしてそれまでの議論に危機の重大性の要素として広域性なんて出てこなかったのに唐突感もあり)、なおさら不信感が募る。
また、途中にでてくる用語や概念の厳密性の話は、少し理屈っぽいことが多くて冗長に感じたけど。いつか役立つのかもしれないが・・・。