大塚已愛の作品一覧
「大塚已愛」の「鬼憑き十兵衛(新潮文庫)」「友喰い―鬼食役人のあやかし退治帖―(新潮文庫nex)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
ラノベ
Posted by ブクログ
グロいと安易に言い切れない、ジメジメしているよりからっとした雰囲気の残酷描写。
でもグロ耐性のない人(+芋虫系苦手な人)には決して勧められない、それでもお勧めしたくなっちゃう作品。
あ、でもやっぱり人を選ぶ系の話だよなと、読んでいて随分と悩みました。
面白いんです。
間違いなく面白い!
とんでもなく面白い!!(語彙力)
人が人を喰う咀嚼音までリアルな描写、手足引きちぎられるこれまたリアルな描写があっても引き込んでぐいぐい読ませちゃう筆力は流石、大塚先生。
最初の話から、加当君は達磨にされちゃいますからね。
それでいて、他のメンバーよりも「人間」って言われちゃうあたり彼はどうなってるんだよと戸惑っている間に、あら不思議、もうその世界の虜という。
とにかく掴みはバッチリのこの作品。
ただ上記の通りの内容なので、読む人は絶対選ぶ。
でも、好きな人にはたまらない話だと思う。
残酷描写がありつつも、ぐいぐい読めちゃうのは、キャラが魅力的だから。
如何物喰いの坂下さん。
毎回体をめっちゃくちゃにされるのにしれっと復活する、それでいて一番人間やめていないという加当君(嘘だろ)
そして、本の虫な上司の(そして謎も多い)小野寺さん。
じめじめした内容の話も出てくるのに、これまた前述通りからっとした雰囲気なのは、このメインキャラたちがジメジメしていないから。
加当君はさておき、他二人は特に除湿器かと言わんばかりにからからしてますから。
加当君はね、ジメジメしている場面もあるんですけど、ブチ切れた時のチートっぷりが凄いので、相殺して余りあるという。
それぞれの過去にもまた興味深いエピソードが用意されてますし。
表題の『友喰い』は特に印象的だった。
この物語の分岐点にもなる話なので余計に。
そこから終盤の展開がたまらなくて。
まさかの小野寺さんの種明かしと身を犠牲にする展開にからのどんでん返し。
ヒーローものの映画を見ているような興奮がありました。
ブチ切れた加当君の大活躍を見よ。
それでも他人事のようにからっとしている坂下さんを見よ(そして、美味しそうに敵を喰らう)
そして、ちょっと嬉しそうな小野寺さんを見よ。
これまでの積み重ねがあってキャラたちに思い入れができているからこそ、この身を犠牲にしようとする展開とそれを救いに来る展開に涙と胸アツの両方を味わえるという。
最高のエンタメでした。
いやもう本当に大塚先生の作品にはずれなし。
最後の展開的に、お三方の立場は変わるだろうけれど、これからはそんな三人の珍道中が見られそうな展開だったので、そんな続編も読んでみたい。
という訳で、皆さん読んで!
グロと芋虫に耐性がある方は是非是非。
一度読んじゃえば、ぐいぐい読めちゃうと思うので。
Posted by ブクログ
文庫化待っていました。
ようやく読めました。
待った甲斐があった面白さ!
師匠兼父親を殺された少年と、彼に憑いた鬼、そして声を失った金髪の美少女という変わった組み合わせ。
これだけ見るとラノベのボーイミーツガール系だが、でも読むとしっかり歴史もの。
そもそも史実から始まった物語なので(史実だったことに解説を読んで知ったタイプですが)
御方様の正体、紅絹ちゃんの正体、復讐の着地点。
気になる謎や展開も多いし、本格的なチャンバラシーンも見どころ。
十兵衛の成長も伏線も丁寧に張られているので、あの時の経験が今活きたか!と思える展開も熱い。
途中悲しい別れもあるけれども、最後はちゃんと救いもあって、とにかく見どころ・おいしいところ・燃えるところを丁寧に丁寧に踏まえた抜群のエンターテインメントでした。
絶望的な状況でも、存在してくれているだけで空気を柔らかく変えてくれる大悲さんの存在はありがたかったなあ。
特に彼の本領発揮な終盤戦はたまらなかったです。
と言うわけで、推しキャラは彼です。
Posted by ブクログ
そう言えば贋作って「絵画」だけに限らないよなと、2巻目を読みつつ最初に思ったことはこれ。
今回は楽器に纏わる話も出てくる。
しかも楽器としては名器だし、最初から贋作として生み出されたものではないのに、作り手以外の意志が介入することによって「贋作」に陥れられるというパターンというのが興味深かったです。
新キャラはそんな楽器にも精通したエディスの婚約者。
エディスもサミュエルも無自覚ながら惹かれ合っているのに婚約者とは何事だと、最初は非常にやきもきしたのですが、彼の正体が分かってから一気に手のひら返しました。
だって、実際サミュエルがエディスを危険に巻き込みたくないからと別れを告げて姿を消していたところに登場した婚約者さまでしたし。
エディスはエディスで色々負い目のある娘だから、家族のために婚約となれば否と言わない。
まして、サミュエルに幸せを祈ると言われて別れてしまったので、普通の女子として結婚し幸せになること、そのための努力を惜しまないと思うし。
努力の方向性間違っているけれど。
そもそもエディスは最初から普通の人生送れないとは思うけれど、それはさておき。
だからこそ、婚約者さまが実はエディスとは色々関わりがあって(過度なネタバレ回避のために曖昧表記)寧ろ味方だと分かった時の安堵感と言ったら。
そこからは、こちらの読むスピードも格段に上がりました。
ただ、今回の敵のヤバさにまた途中スピード落ちたんですけど。
女性を凌辱することを寧ろ楽しむようなヤバイ奴でしたので。
そんな奴にエディス攫われて危うく……な展開でしたし。
ただ、そんな展開をサミュエル(+婚約者さま)が許す筈もなく。
でもサミュエルが危機となると、今度はエディスの行動力が別方向に振り切れちゃうし。
とにかく前作以上に大変なことが起きておりました。
大変なことと言えば、個人的にヒロインが攫われ処女の大ピンチと言う時に駆けつけるヒーローだの、ヒーローを救うために自身を犠牲にするヒロインだの、ヒロインの生命的危機にぶち切れるヒーローだの、とにかくツボな展開が多くて、非常に身もだえしながら読みました。大変なのはこちらの精神状態だった。
別のところでも書いたのですが、萌えの満漢全席をごちそうになったかのような多幸感と言いますか。
とにかくああいうアクションもの、少年漫画感ある展開の中で、男女の恋愛話を絡ませた場合、こちらが見たいと望む場面が全部盛り込まれていたと言いますか。
これで興奮しない方がおかしいでしょうという。
ヒーローの危機的状況に駆けつけるヒロインが進んで彼に口付けを捧げるとかね。
この後のサミュエルの反応が逐一可愛いので、ぜひ見て欲しい。
この二人、本当に無自覚のまま自然といちゃつくので、非常に困る。
嬉しいけど、本当にナチュラルにいちゃつくから、防御態勢取れないままもろに萌えを食らうと言いますか。
婚約者さまの言葉を借りるなら「あれで付き合ってないんだから恐れ入る」
前作もそういう萌えという点では色々あった筈なのですが、今回は特盛も特盛。
最初に二人ともが別離を決意しただけに、後の反動が凄かった。
気付いたらしれっと隣にいますからね。
何なの、このナチュラルバカップル。
まあもう色々あって離れられない状況になったので、致し方ない展開ではありますが(いいぞもっとやれ)
恋愛方面はこのくらいにして、バトル方面の話では、前述通り非常にヤバイ敵が相手で、一応サミュエルがほぼ完膚なきまでに倒したと安堵していたら、「あれ、そう言えばまだページ結構残ってるがな」という。
今回のラスボスだと思っていた相手は、何と中ボスだったという事実。
鳥肌ものの展開でした。
今回のラスボスはまさかの復活を遂げたあの方です。
ここからの展開はまた新キャラとのバトル以上に手に汗握りました。
ただサミュエルに甘い相手なので、思っていたより長引かなかったことに呆気なさより不安の方が残りました。
作中で指摘されていましたが、本当に甘すぎる。
敢えてやられた感じがしないでもない。
ただその目的が分からないから、不気味さがずっとついて回るという。
ラストの描写も非常に不安を掻き立てるものになっているので、安堵ができません。
明らかに続く形で今回終わっているので、続刊も期待できそう。
非常に楽しみです。
楽しみな反面、これ以上の萌えを投下されたら、多分こちらは消し炭になるんじゃないかという別種の不安も残ります。
耐えてくれよ俺の心臓、と祈りながら続刊お待ちしております。
Posted by ブクログ
徹頭徹尾、自分の好みの話で悶えつつ読み終えました。
19世紀末のロンドンのあの美しくも不穏な雰囲気も好き。
実在の絵画を絡めつつ、構図、色彩、解釈込みで細かく「設定」を作り込んでいる作中の贋作も凄い。
その贋作の抱えた闇を暴くのが、頭脳戦だけではなく、日本刀を操る美形による戦闘というのも度肝を抜かれたし。
説得(物理)みたいな。
それも、毎回成功とは限らず「俺強え!」になってないところもよし。
この戦う場所、ネガ・レアリテも怖いけど美しい世界。
その世界そのものも絵画作品を見るかのよう(まあ絵画から現れた世界ではあるから当たり前か)
敵も毎回ビジュアル含めて細かく作り込まれたキャラなので、それも楽しみでした。
そして、何より一番悶えたのは、主役二人そのもの。
記憶を失っているが、戦闘能力は凄まじい美貌の彼。
自分よりも他人を大事にする彼が、巻き込まれた少女(主人公)を守ると言い切った時「あ、もう好きや」(語彙力喪失)ってなって、後はころころ転がり落ちました。
正体を知って驚きましたが、そんな彼が彼女にいろいろな意味で振り回されてるのが可愛くて可愛くて……
彼女は彼女で、直感を信じて、彼のことを最後まで信じて見捨てない聖母のようないい子で……彼女は彼女で出生そのものに闇を抱えてはいるのですが、それを抜きにしてもいい子。
彼女の無条件の信頼に、彼は何度助けられたのか。
とにかく、この二人の関係性が何より自分の心に刺さりました。
たまらないよ。
絵画に限らず、文学作品や美術史などの知識も詰め込まれていて、どれだけ下調べを丁寧にされたんだろうと、そういうところにも驚かされました。
主役二人の友達のような主従のような不思議な信頼関係に悶えつつも、バトルあり、謎解きありのエンターテインメントを楽しめる、最高の作品でした。
上手く言葉にできませんが……とにかく、本当に凄いです。
個人的にかなりオススメです。
適度に伏線や謎を残したままなので、是非続いてほしいなと願いを込めて。
Posted by ブクログ
富士のふもとの山廻役人・坂下と加当の務めは、無断で山の樹木を伐る不届き者の見張り。だが、真の任務は、林奉行の小野寺の指令のもと、山に棲むあやかしを退治する事。
ワケアリ最強役人バディの伝奇エンタメ。
それぞれ壮絶な過去を持つワケアリ役人たちの伝奇エンタメ小説。
皆キャラも立っているし、それぞれのメイン回なんかもあり、間違いなくエンタメ作品として面白い。面白いんですが、強烈な残虐表現・カニバリズム描写と虫表現でなかなか人にはお勧めし辛いです。特にそういう描写が苦手でもない私も、一瞬うっ……と思ったくらいなので、苦手な人はちょっと無理そうかもしれない。食欲は確実に失せそうです。
逆に言えば、表現力に優れていて想像力をかきたてる文章力という事で、とても素晴らしいなと思うのですが。
描写の話ばかりになってしまいましたが、ストーリーや個性的な3人の関係性・距離感なんかも好きだったので、これから彼らがどうするのか、後日談なんかがあれば是非読んでみたいです。