神島裕子の作品一覧
「神島裕子」の「哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで」「アマルティア・センの思想――政治的リアリズムからの批判的考察」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
哲学史入門シリーズの最新刊。
各シリーズ同様、倫理学の主要な理論の第一人者へのインタビューによるライブ感のある哲学史入門講座となっている。同時に、倫理学を学ぶことの意義を探究する構成だ。今回は倫理学がテーマであり、隣接する分野も含め功利主義、正義論、徳倫理学、ケアの倫理を扱う。
特に徳倫理学が興味深かった。
正直倫理学の中でも馴染みのない分野で、実際に比較的新しい学問分野であるという。
要するに、功利主義や義務論などのように最大多数の最大幸福や規範への遵守という倫理の評価を外部へ依拠するのではなく、「徳」を備えた人格そのものに照準を当てる理論である。理想を追求する姿勢を感じられ、さわやかな印象を受ける。
しかしながら、この理論を達成することの困難さは日々私たちは痛感している。
立法国家で暮らす日本国民としては、大前提として規範がありその下で個人的な暮らしを営んでいるという感覚がある。「徳」が個人の行動原理として影響を及ぼせる範囲には、一定の限界があるのではないか。そもそも「徳ある人」とはどのような人物を指すのだろうか。
本書には「徳」に基準を設ける方針も紹介されており、例として日本における道徳教育の内容項目が紹介されている。そこに挙がっている項目に「公正」や「国にへの愛する態度」が含まれていることに、違和感を感じる。
朱 喜哲「〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす」で指摘していたように「公正」という資質を個人に過剰に依拠する姿勢は問題含みである。この観点から見ると、日本教育における「徳」項目には、個人の内面的資質として育まれるもの(これが本書の定義における「徳」)と、本来は社会的規範として共有されるべきものが混在しているように思われる。これは、誤った個人非難に繋がりかねないと危惧する。
その他理論についても、各研究者の視点と理論における問題点を詳らかに説明してくれている。決して自分の研究分野を単に称揚するのでなく、批判的な指摘も含まれていることに本書の信頼性の高さを感じた。
過去シリーズとあわせて、最前線の研究動向に触れたい人や、用語の暗記中心の学習に物足りなさを感じている哲学初学者におすすめである。
Posted by ブクログ
正義論を、リベラリズム・リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・フェミニズム・コスモポリタニズム・ナショナリズムという6つの立場から纏めている。終章が、名言の塊で熱い。
「社会に生きる哲学者は民主的決定を受け入れなければならない」「社会に生きる哲学者は普遍主義を諦めなければならない」「人間の脳は生まれつき正義のアルゴリズムが実装されているわけではありません」
ここでの哲学者とは、職業としての哲学者だけではなく、社会の中で生きる我々自身のことを指していると思われる。
民主主義をケア・点検しつづけるという視点を持ち続けながら、皆で学びながら「正しさ」を見つけていくことが重要そうだ。