作品一覧

  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    ビジネス・実用

    4.1
    1巻3,300円 (税込)
    ■心は何から、いかにして生じるのだろう。進化は「まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」。一つはヒトや鳥類を含む脊索動物、もう一つがタコやイカを含む頭足類だ。哲学者であり練達のダイバーでもある著者によれば、「頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会うのに最も近い体験だろう」。人間とはまったく異なる心/内面/知性と呼ぶべきものを、彼らはもっている。本書は頭足類の心と私たちの心の本性を合わせ鏡で覗き込む本である。■海で生まれた単細胞生物から、現生の頭足類への進化を一歩ずつたどれば、そこには神経系の発達や、感覚と行動のループの起源、「主観的経験」の起源があり、それは主体的に感じる能力や意識の出現につながっている。「タコになったらどんな気分か」という問題の中には、心とは何か、それは物理的な身体とどう関係するのかを解き明かす手がかりが詰まっている。■知能の高さゆえの茶目っ気たっぷりの行動や、急速な老化と死の謎など、知れば知るほど頭足類の生態はファンタスティック。おまけに著者が観察している「オクトポリス」(タコが集住する場所)では、タコたちが社会性の片鱗を示しはじめているという。味わい深く、驚きに満ちた一冊。
  • メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生

    メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻3,520円 (税込)
    『タコの心身問題』の著者が、心の進化の海にますます深く潜行する待望の一書。「メタゾア」は多細胞の動物を指すためにE・ヘッケルが導入した言葉だ。メタゾアの生物の進化は、たんに複雑さをもたらしただけではなく、それぞれに独特なあり方、新しい「自己」を生み出しつづけた。タコの経験、ヤドカリの経験、魚の経験……こうしたすべての動物を経験する存在にしているのは何だろう? 現生の生物たちを手がかりに、さまざまな感性のパラダイム、そしてその進化的起源を探っていく。著者にとってその探究は、海の生物たちとの、美しく体感的な出会いと結びついている。タコの集住地「オクトポリス」を訪れ、タコの「自己」は頭部に1つあるのか、「1つ+8本」に分散しているのか、あるいはそれらの状態を切り替えているのか?という興味深い問いに迫る第6章、水の中を飛び回る魚たちの感知能力や賢さに接して、神経系が作りだす電場について思索を深める第7章など、海洋生物の生活の細部を間近で観察することが、そのまま科学と哲学の「謎が謎を呼ぶ作業」でもある。著者は幅広い動物が〈感じられた経験〉(広い意味での意識)をもっていると認め、意識があるか・ないかという二分法を超えて、心の発生についての「包括的な説明」を試みている。驚きの生物進化読本。

ユーザーレビュー

  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    Posted by ブクログ

    タコという、いまだ多くの謎を秘めた生物について、本書はエディアカラ紀という途方もなく遠い進化の歴史から始まります。
    タコに心はあるのか?
    その問いに生物学の視点から迫りながら、タコに魅了された著者とその周りの人々とともに、海へ潜っていくような時間。
    私たちとはまったく異なる道筋を辿ってきた生き物を見つめることが、いつの間にか「心とは何か」をこちら側に問い返してくるような一冊でした。

    0
    2026年09月06日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    Posted by ブクログ

    タコ好きおじさんの哲学本
    たこ焼き食べるの躊躇しちゃうね

    ・タコ、犬と同等のニューロン数ある
    ・タコ、脳の支配とは別に足単体での支配もある
    ・タコ、視覚は左右交差していない
    ・タコ、色の識別できないのに皮膚細胞が単独で周囲の色を識別して擬態している
    ・タコ、人間では分かり得ない身体支配をしている

    タコになったら自己身体はどういう感覚なんだろうか。人間が当たり前と思っているものは、自然界では無力だ。

    0
    2026年06月13日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    Posted by ブクログ

    タコは不思議な動物である。頭足類であり、人間が属する哺乳類とは全く違う生物類に属している。しかしながら、著者が言うように「頭足類を見ていると、「心がある」と感じられる。心が通じ合ったように思えることもある」。もちろん、心 (意識や主観的経験、知性)については、いくつかの定義がある。また、ある生物種が心を持っているかという問いの答えはゼロイチではなく程度によって測られるものである可能性も高い。しかし、もしタコがこの本で書かれているとおり、個々の人間や同類の個々のタコを見分け、さらにその性格や行動も記憶し、相手がいるかいないかで行動を変えるというようなことを少なくともある種の心を持つものだと認識したとすると、次の重要な事実を認めることになる。
    「進化が、まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」

    神経系の共通の役割は二つある。一つは、「知覚と行動を結びつける」ことであり、そしてもう一つは「行動を生み出すこと」である。結果として「心」のようなものが生み出されると考えられる。何も不思議なものではなく、知覚と行動を制御する神経系が進化の過程によって、目や翼が何度か独立に発明されたのと同じように収斂進化して別の形で同じ機能が生物として発明されるようなものであるということだ。つまり「心」を獲得するのは進化上偶然ではなく必然であったといえる。

    著者は言う。
    「頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会うのに最も近い体験だろう」
    そして、
    「哲学には他者の持つ「自我」」について考える「他我問題」というのがあるが、タコはこの他我問題の格好の題材と言える」

    タコに関してそんなことを思ったことはこれまでなかった。著者はタコの海底コミュニティ(著者は”オクトポリス”と呼ぶ)を定点観測し、タコがいかに社交性があり、個性をもち、まるで心をもってお互いに行動を調整しあっているのかを実地で見た。驚くべきことにタコの寿命は二年以内と短い。そんな短命の生物であっても全身の神経系を発展させて「心」のようなものを持つことが生物学上費用対効果に見合うものとして進化させてきたのだ。このことは心(意識や主体)を考える上で多くの示唆をわれわれにもたらすことが期待される。

    本書の原題は”Other Minds”。われわれの心とは別様態の心についてタコに基づいて考察した本である。意識問題へのアプローチとしては異質であるが、議論を避けることのできないテーマである。タコがどうやら「心」を持ったように、同じく神経系ということもできるであろうAIも「心」が生まれるのだろうか。それとも哺乳類と頭足類とで個別に収斂進化した「心」が生まれるためには身体や行動が必要となるのだろうか。そうだとして、AIは動物の「身体」や「行動」を模擬することで「心」を獲得するようにできるのだろうか。この興味深い議論が、ここからさらに発展することを望むし、そうなることが今や期待されているのである。

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    2024年12月30日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

    Posted by ブクログ

    この本を読む前と後でタコの印象が大きく変わり、なんだか愛着を感じるようになった。すぐにでも生きてるタコを見に行きたくなる。
    心身問題について論じる本はたくさんあるけど、下手に哲学的なものよりも、この本を読むほうが有意義かもしれない。単に知識が増えるだけではなく、これから先の生き物との関わり方が変わるかもしれない。少なくともタコが痛みをどのように感じているか、考えずにはいられなくなる。

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    2024年03月21日
  • メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「タコの心身問題」に続いて、哲学を生物学(または生物が活動する様子)からボトムアップした本。翻訳者が異なるからか、ことば遣いの端々に幾ばく難解なきらいがある(読点と読点の間が長い)ように思える。が、おもに頭足類を扱った前著より、時代もいきものもさまざまな分野から取り扱われていて、なんというか、「とっちらかりながらおもしろい」。本著のテーマの主格はおそらく『経験』で、これは、あっさり「どれにあってどれにない」とは片付けられない。表現しづらいが(たぶん読まれたほうが早いでしょう!)、「感覚器官で得るもの」と「得たそのものの集積」、「自他の区別(自分が他者とは別にあるという感じ)」などがいきもの、あるいは個体ごとにごた混ぜになっている、という風だ。時代も場所も(陸や海や気候etc.)違う個体ごとに、それぞれがグラデーション、ヴァリアントになっている。わたしはそう読み取った。AIの不可論のくだりも興味深かった。
    ただ、日常の会話(コミュニケーション)を通してさらに構成され得るのが人間特有の心だとし、生まれてくるものと自分でつくるものにそれが大別されるならば、ほかのいきものにどうしてそれが(グラデーションのかたちにしても/擬人化ではなく!)できないのか。そこが理解しきれなかった。

    0
    2024年02月29日

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