作品一覧

  • 心の哲学史
    値引きあり
    5.0
    1巻2,387円 (税込)
    心についての問題意識はプラトン・アリストテレスなどの古代哲学から連綿と続いているが、一般向け書籍で述べられる心理学史では、近代に始まる「科学的心理学」から述べられることが多い。たとえば「19世紀後半に科学としての心理学が内観から始まり、20世紀になると、それを否定したワトソンの行動主義が隆盛をきわめ、やがて認知革命に至った」と。 しかしそれは心理学史の或る一面の流れであって、哲学と心理学が分岐する前の19世紀後半を凝視するならば、それとは異なり現代まで展開していくもう一つの心理学史が見えてくる。 本書では、1874年という年に刊行された二つの書物『経験的立場からの心理学』(ブレンターノ)と『生理学的心理学綱要』(ヴント)を起点とし、新しい心の科学と哲学の始まりと見なした。それに対して、ブレンターノから哲学を学んだフッサールは、心の哲学としての心理学として独自の現象学を展開し、志向性・身体性・世界内存在など、心のあり方を解明する上で重要な役割を果たす諸概念を開発した。実際現在では、それらの諸概念は、新たに展開し始めた、認知科学や神経科学の知見を理解するうえでも重要な役割を演じるようになっている。本書では、このような心理学と心の哲学のいわば隠れた歴史の流れを、内観、発達心理学、脳科学、方法論論争など多様な側面から明らかにすることによって、心の哲学の歴史を展望する。 [本書の内容] 第一章 心の哲学史の始まり――一九世紀、科学と哲学の交叉 第二章 心の科学・心の哲学・身体の現象学――内観・行動主義から心と身体への展開 第三章 認知システムと発達の理論展開――他者論から現代発達研究へ 第四章 心理学の哲学を基礎づけたもの――その認識論的背景と現象学的心理学 第五章 認知神経科学と現象学――身体と自己の起源を探る潮流 第六章 心理的なるものを超えた心理学――歩く・食べる・眠るの心理学へ コラムI エーレンフェルスからゲシュタルト心理学へ コラムII 意志と行為の構造化 コラムIII 心の理論パラダイムと発達研究 コラムIV 現象学的精神医学の興隆と衰退
  • フッサール心理学宣言 他者の自明性がひび割れる時代に
    3.5
    1巻1,595円 (税込)
    「私が私であること」「他者が存在すること」がわからなくなるという、多くの人が幼児期あるいは少年期に体験する「独我論的体験」。フッサール心理学はそれを正常な発達過程の一階梯ととらえ、その体験の内的構造を分析すべく現象学を援用して練り上げられた技法である。
  • 夢の現象学・入門
    3.7
    1巻1,650円 (税込)
    夢は未来予示あるいは想い人からのメッセージなのか。充たされない願望の幻覚的充足なのか。さらに脳科学や進化心理学的研究による「解明」もある。しかし、それらは私たち自身の夢実感からはかけ離れている。本書では、著者自身の夢日記や学生からの夢報告を材料として、夢という「世界」がどのような原理によって構成されそれをどのように体験しているのかを、現象学の方法によって、実際に解読していく。

ユーザーレビュー

  • 心の哲学史

    Posted by ブクログ

    ブレンターノとヴントを起点に,フッサールやメルロ=ポンティなどの現象学や,認知神経科学といった分野への発展を展望する本。心理学・哲学・神経科学の関係性に注目。

    0
    2025年09月29日
  • 夢の現象学・入門

    Posted by ブクログ

    フッサールの現象学を夢という視点から捉えた入門書であり、神経科学や心理学とは異なるアプローチとして注目される。

    0
    2025年09月10日
  • フッサール心理学宣言 他者の自明性がひび割れる時代に

    Posted by ブクログ

    なぜ私は私であって他の何ものかではないのか、という自我体験。世界にいるのは自分だけであって他はすべてからっぽであるという独我論的体験。これを発達性エポケーと見立てて、現象学的超越論を参照し、読み解いてみると、あるのは間主観的な自明性のそびえる世界で、時間を異にする私としてしか他者を理解できないという現象学的反抗だった。
    というのは腑に落ちた話しで、問題の整理にずいぶん助かることでもあるけれど、改めてこう提示されるとちょっと怖いものでもある。
    そして、さらにもっと怖いのは、これからはいよいよ独我論者たちの時代かも、という結句である。

    0
    2013年06月26日
  • 夢の現象学・入門

    Posted by ブクログ

     夢を題材にしたフッサールの現象学の入門書といったところ。夢の構造を明らかにすることを目的としているので解釈や説明はなくとにかく、タイムトラベルや他者になる夢がなぜそうなるのか、そうなるようにはどういう構造である必要があるかを求める作りになっている。現象学を知らなくても分かるように書いてあるとはいうものの、やはりある程度の予習は必要だったと思う。

    0
    2016年10月08日
  • 夢の現象学・入門

    Posted by ブクログ

    脳科学によって外側から夢を研究するのではなく、夢を見る
    者の当事者研究として、夢をその内側から現象学的に解き
    明かそうという試みであり、その端緒と研究への入門の仕方
    を解説した本。その試みは面白いと思うし、夢を現象学的に
    見ていくことで現象学そのものへの入門編になっていると
    いうのもなかなか良く出来ていると思う。まぁ毎回のように
    「読んでいる間だけわかった気になる現象学」という
    パターンはそのままなのだけれど(苦笑)。

    この「夢の現象学」において最大の問題点は「夢」と「夢
    日記」との関係性に一言も触れていないことだと思う。
    睡眠状態の脳が見ている夢と、覚醒状態の脳がその夢を解釈
    してつづる夢

    0
    2016年08月25日

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