宮川努の作品一覧
「宮川努」の「ジョーンズ マクロ経済学I―長期成長編」「ジョーンズ マクロ経済学II―短期変動編」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
2023年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版(以下、実行計画)」は、長期に渡る日本経済の低迷の主要な原因を、日本の雇用システムに求めている。
これまで我が国では、「企業は人に十分な投資を行わず、個人は十分な自己啓発を行わない状況が継続してきた」とし、そういったことが理由で「我が国の賃金水準は、長期にわたり低迷してきた」としている。そして、「問題の背景には、年功賃金などの戦後に形成された雇用システムがある」とし、いわゆる「日本型雇用システム」の改革を、訴えている。具体的には、①リスキリングによる能力向上支援②個々の企業の実態に応じた職務給の導入③成長分野への労働移動の円滑化、といういわゆる「三位一体の労働市場改革」の実行を政策の柱とすることを提言している。これは、「成長と分配の好循環を目指す政府の複数年度に渡る計画」と位置付けられている。
これに対しては多くの議論がある。例えば以下のようなもの。
■日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口が減りつつあるが、つい最近まで実は就業者人口は増えていた。これは、女性と高齢者が新たに就業者に数多く参入してきたためである。ただ、女性と高齢者は短時間勤務などの非正規雇用者の割合が大きく、賃金が低い。このことによって、雇用者全体の平均的な賃金は低迷してきた。
■また、賃上げの理想的な展開は「人的資本投資→人的資本ストックの増加→生産性向上→付加価値向上→賃上げ」である。まずは、生産性の向上が必要であり、そのためには人的資本への投資(教育訓練など)が必要となる。人的資本への投資は、全ての働く人を対象にすべきであり、非正規労働者等もその対象に含まれるべきである
■これまで日本では、人的資本への投資は諸外国に比べてかなり低かった(OJTを費用にカウントしないケース。OJTを含めると諸外国並みという試算もある)と言われており、生産性を向上させるために、人的資本投資を増やすことから始める必要がある
すなわち、政府の実行計画には「生産性」という概念が抜け落ちている。「日本的雇用システム」が問題の根源であると言うならば、「日本的雇用システム」が生産性を上げる作用を持たなかった、付加価値をあげる作用を持たなかったということを、メカニズムを含めて説明しないと納得性が低い。
「生産性」というのは、経済学の概念であるが、本書は、「生産性」の概念を丁寧に説明すると同時に、日本の生産性は特に国際比較においてどのような状況にあるのか、それに対してどのように対処すべきか、等をこれまでの研究や、関連データ等を用いて論じたものである。
分かりやすく、話も面白かった。
Posted by ブクログ
マクロ経済学の教科書
中級レベルだが、クリスタルクリアな分かりやすい説明なので初学者がいきなり挑戦してもよいかも(ただしミクロの知識は必要)
Ⅰでは長期成長が扱われている
著者は経済成長論の専門家らしい
基礎的なモデルであるソロー・モデルのほか、アイディアによる経済成長を分析するローマー・モデルの解説がある
経済成長には研究開発への投資とそれによるイノベーションが重要ということがよくわかる
日本は人口減少時代に入ったので、今後の経済成長はさらに難しくなるだろう
環境問題から脱成長を唱える声も大きくなりつつある
いずれにせよ低成長時代の経済を考えるためにも経済学の知識は必須だろう