デザインについて、様々な視点を提供してくれる良著。
なかなか発想、視点的にもおもしろい。
マーケティング的な顧客の声を聞くだけでは生まれないことについて、
自己中心主義的なイノベーションについて展開されており面白い。
顧客の中に答えはない、各個人的な背景・課題意識・視点をもとに新しい視点・世界が生み
...続きを読む出されていくというもの。
「個人の見立て」「未来からの逆算」の重要性をうたう。
すなわち個人の見立てによる未来からのバックキャスティング。
メモ
・見立てる力。普通の人から見れば全く関係のないふたつの異なるものも、それぞれをシナリオまで抽象化して捉えることで、同じ土俵で結びつけることができる能力。
・デザインのはじまりは視点の提供。新しい課題を発見することがデザイン。
・デザイン力とは問題解決力のこと。問題を発見し、解決の糸口を示す能力。
・デザインとはある特定の目的を達成するために要素を配置整理すること。目的の表現。
・デザイン思考の実践プロセス
1 discover the problem or need 課題か需要の発見
2 define 課題の定義
3 ideation アイデア出し
4 prototype 試作づくり
5 implement 実施
6 evaluate 評価
消費者目線でpdcaを回すことに他ならない
・建築家がデザインすべきは建物ではなく未来に対するビジョンであるという思想。形態はビジョンに従う。製図課題のほとんどはビジョン策定に費やされる。
・未来は起こりうる可能性に準じて幅があるのでは。横軸を時間軸とし、縦軸を起こりうる可能性として未来の三角錐を描けるのではないか
デザイナーはこのありうる未来の選択肢の中で望ましい未来のシナリオを提示することが役割なのではないか
・スペキュレイティブデザイン例
TAKRAM 荒廃した未来の水筒
スプツニ子 生理体験
SOYLENT 完全栄養サプリ
・相手の考えを自らの専門分野の内容に「見立てる」ことで、突飛な発想を生む。
・革新したいことと異分野の専門知識の掛け合わせにより思いもよらなかったジャンプが生まれていることが多い。
ただワークショップをすれば良いというものではなく、まず自らの知識を簡略にまとめ、提示された革新したいチームは、その知識を見て、自らの専門分野の話としてひたすら見立てる作業を始める。アイデアは何人かの脳に同時に思い浮かぶものではなく、結局最後は誰か一人が思いつくもの。
・「革新したいこと」は何か、「異分野の専門知識」とは何か。
枯れた技術の応用においては新たなR^D不要で低コストで実現できる!
さらにはリスクマネジメントも行いやすい。
・自分の人格を二つに分断して、交互に行き来する。
自分のパッションを持っている分野知識を、違う分野に当てはめる。掛け合わせる。
・革新したいこととパッションを持っていることは遠いほどアイデアのジャンプの高さも高くなっていく。
・見立てる力のトレーニング法
1ロールプレイング:あの人ならどう考えるかと発想する。ユニクロがあんパンのCMをしたら?爪切りのCMをアップルが行ったら?など
デザインの勉強とはその妄想の引き出しを増やすこと。
2因数分解:対象の構成要素を因数分解し、異分野の構成要素との関連性を見つける。傘なら柄、膜、軸に分解できる。各要素を変えてみたらどうなるかなど
3ウォーリーを探せ:課題を明確化することで、対象へのヒントを見つけ出す方法。
例えば料理レシピ本を読むときに建築のアイデアを見つけようと考えると、建築のレシピというアイデアが湧いてくるなど。アナロジーの力をつけるのにもつながりそう。イシュー設定することの重要性。
4ルーツトラッキング法:物事のルーツをたどる。言葉の語源を探る習慣をつけることで、共通点が皆無に思われた二つの事象に橋がかかるようになる。
・「革新したいこと」がトップに来る、そこに「異分野の専門知識」か「パッションを持てること」を掛け合わせ、アイデアを見立てる。最後はその時代場所ターゲットを取り巻く「社会の潮流」を加味することで個人的な見立てによる参入障壁の高いシークレットなアイデアでありつつ、社会に広がっていく確度の高い事業を創造できる。
・スモールスタート。パッションを持てるトピックであることが大前提。次は安く簡単にプロトタイピングできること。個人の妄想と社会との結節点を見出す必要がある。フィードバックをもらいやすいもの。