西川美樹の作品一覧
「西川美樹」の「“女は自衛しろ”というならば――女性による反撃は正当か?」「資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
読むのに体力が必要だった。
自己防衛、自分を取り巻く文化、コミュニティ、家族を守るため、取り戻すために、「暴力」を取らざるを得なかった女性3人に関する話であり、それは今も終わらず、継続している話である。
女性。カースト+女性。民族+女性。
自己の中には、権理、尊厳が含まれるが、往々にして女性はここが軽んじられている。皆が皆ではないが、時折、そういう人に遭遇するとひどく傷付く私がいる。男性側は、それがわからなかったり、自分にとって都合の良い、言い換えれば「便利」な女性以外は認めない。
何で性被害者が、加害者より社会的に傷付けられるのか。これも男女逆だったら、結果は違う。性加害者の社会復帰状況は不愉快でたまらない。男の社会的制裁なんて、極めて短期間。
登場人物皆が皆、完全無欠で優等生なわけでもない。日本、そして東京、都市部に住んでいる私の価値観が標準でもないが、それでも、それぞれの登場人物の思考や行動に目を潜めてしまうことがある。こういう見方こそが、その背後にある原因要因を見ておらず、狭い視野で物事を見てしまっているんだなと気付く。
吉田さんの解説で、改めて、登場人物を通じて考えたことを思い起こし、私自身を取りまく、これまでと現状を考える。気持ちは暗くなる。
我々を取り巻く問題課題は、一進一退だから、打破に向けての活動を論理的に表現するなんて難しい。本人だけでなく、関係者、宗教、文化、法律の観点からも、この背景が描かれていて、問題が複層的多面的である事がよくわかる。そして、それは私を取り巻く状況も同じ。
しんどい。
Posted by ブクログ
この本によると、現在の資本主義社会は、リベラル能力資本主義(いわゆる民主主義国家)と政治資本主義(いわゆる権威主義国家)に分けられるそうです。リベラル能力資本主義の長所として、誤った経済政策でも修正しやすい点などが挙げられます。しかし、この体制では富が過度に集中した一部のエリートが、持てる富をさらに増やそうとしたり、税金を減らそうとしたりして、政治に介入することが予測されます。その結果、富を持つエリートに権力が集中し、結局政治資本主義に似た社会になる可能性があるそうです。まさにトランプ大統領の就任式に出席していたIT企業のトップたちを思い出し、この本で語られているような未来が現実になったのではないかと感じ、何となく暗い気持ちになりました。その他、エリート層における富、地位の継承(遺伝?)、グローバリゼーションと福祉国家の関係など、日本を含めたリベラル能力資本主義の今そこにある問題を教えてくれる、価値ある著作だと思います。
Posted by ブクログ
ナティスの反ユダヤ政策を進めるための法律、いわゆる「ニュルンベルク法」の検討にあたって、アメリカの人種差別的な法律が真剣に検討され、法案に大きな影響を与えたということを論証している。
たとえば、フレドリクソンの「人種主義の歴史」を読むと、アメリカや南アメリカの人種主義とナティスの人種主義が、比較対比されながら、論じられていて、「人種主義」がナティスだけのものでないことがわかる。そして、この本を読むと、それがより具体的なものとして、理解できる。
ナティス・ドイツがアメリカから学んだのは、黒人差別の根拠となる具体的な法律だけではない。
歴史的に、アメリカは先に住んでいたインディアンを殺戮し
ながら、西部を開拓したわけだし、第2次世界大戦前は、白人以外の移民を制限したり、二流市民にしたりといったこともしていて、ナティスは、この分野における先進事例として、アメリカを評価していた。
また、ルーズベルトのニューディールの経済政策も、従来な自由主義から逸脱しており、さまざまな政策について法的な位置付けが最高裁で争われることになっている。このあたりもナティスの経済政策との類似性から、ナティスの賞賛の対象であった。
法律の分野においてもっとも驚くべき議論は、大陸法と英米法との違いにかかわることだ。大陸法は法の条文が細かく定義され、法律に具体的に書いてないこと、刑法における推定無罪の思想があるわけだが、ナティスにとっては、その法律の基本的な仕組み自体が気に食わない。
そうしたなかで、ナティスは米国のおおらかな慣例法的な性格に惹かれていく。法的にあまり細かい規定はなく、さまざまな裁判の判決などを通じて、解釈が積み上がっていくという仕組みをドイツの人種差別などの法のなかに取り入れていく。
これが、きわめて恣意的な司法制度、裁判を可能にしていくのだ。
反全体主義の経済学者で、アメリカに移住したハイエクの議論によると、人間が人工的に法を作っていく大陸法よりも、自然な法秩序が慣例の中から生み出されていく英米型の法律のほうが優れているということだったのだが、ここでおきているのは、その慣例法がこういう形で悪用されるということだ。
さらに、ナティス内部者は、ヒトラーの命令に単純に従うのではなく、「ヒトラーだったらどう考えるか」ということを自ら考え実行することを求められていたという説明は、これまでナティス関係の本で読んできたものとリンクづけられる指摘なのだが、あらためて法律体系との関係でその理解が深まった気がする。
実は、タイトルほど衝撃的な本ではなく、ある程度、この分野を読んだあとでは、「だろうな」という話しなのだが、これまでいろいろ学んできたものが、法律という観点から議論され、つながっていく感じがあった。
Posted by ブクログ
中国などの権威主義と言われる国々は、社会主義を経て資本主義化したこともあり、亜流の資本主義国家と見なされることが多い。そのため、民主主義化しない中国経済は(純粋な資本主義ではないため)早晩行き詰まるという主張があったが、鈍化しない中国経済を受けて、この主張も信憑性が疑われ始めてきた。そのような背景もあってか、本書では中国に代表される政治的資本主義と、米国に代表されるリベラル能力資本主義をフラットに比較した上、今後の資本主義のあり方を考察している。
政治的資本主義では、国民の審判を受けることなく、一部のエリートが国の舵取りを担うため、人権侵害など大多数の国民が反対するであろう施策もやってのけるし、方向転換も困難。その代わり、高い成長率を維持し続けることで、国民に現体制の利点を示し続ける必要がある(利点を示すのが難しくなると、情報統制で隠そうとするのかもしれない)。一方、リベラル能力資本主義でも、一部の富裕層が献金で政治介入するため、彼らに不都合な施策は実施されないし、富裕層は資本と労働の双方で高い所得を得るため、富の偏在は進む一方となる。
このようにどちらも完璧ではないが、本書では、それでも資本主義よりマシな制度は見当たらないということで、所得の不平等と永続的なエリート層の形成を打破した次なる資本主義として、民衆資本主義を示している。
政治的資本主義に対する客観的な分析も、問題はありながらも資本主義の枠組みの中で調整していくしかないという結論も、地に足がついてて納得感があった。
また、共産主義の歴史的な位置付け等、目新しい視点もあった。共産主義を最終ゴールと考えるマルクス主義者でも、ただの回り道と考えるリベラル派でもなく、本書では、封建主義から資本主義に移行する過渡期として共産主義を捉えている。確かに、社会の発展経路は一律ではない(西洋諸国と同じ経路で、他国も発展するとは限らない)という前提で歴史を振り返れば、その通りかもしれない。