2019年9月にぐっちーさんが無くなる直前まで続けていたアエラの連載を、死後に編集担当の方がその時時を振り返りつつ纏めた本。
アエラは読んでいないが、彼がメルマガで書いていたことと内容の方向性はほとんど変わらない。
そのメルマガも、突然訃報とともに休刊のお知らせが来て驚いたが、
どうやらその編集の
...続きを読む方ですら病気のことは知らされていなかったようで、
周りが驚き慌てた様子など、臨場感も含めて伝わってくる。
ぐっちーさんはもういない。
だから、コロナもBLMも語ってくれはしないわけで。
今年に入ってから、アメリカ発のニュースを見聞きするたびに、
ぐっちーさんだったらどう斬ってくれるだろう、と思ってしまう自分もある。
彼は徹底してリベラルなのだが、
岩手県紫波町でのプロジェクトやカープ愛を見ても分かる通り、
実はグローバリストではない。
というより、本当のグローバリストはローカルの強みを理解してこそ、
というような矜持も見え隠れした。
世相を斬る切れ味は鋭いのだが、提案する施策については疑問の残るものがあったりするのはご愛嬌。
「納税額をレジで照合して低所得者だけ軽減税率を適用しろ」といっても、
本人の所得レベルが買い物をする先にバレるというのはどうなのか・・・とか、
地方創生会議での議論を引き合いに
「大学進学を契機に東京に進学をすることの多い高校生を地域の担い手として育成するというのは違うのではないか」というのも、
多分ぐっちーさんは優秀な若者が東京の大学に進学するのを妨げられる図を想定しているのだろうと思うが、
その会議の議論というのは多分、
奨学金という名の借金を背負ってFラン大に進学した挙げ句、
都会の派遣社員やフリーターで人生をすり減らすような若者の悪循環を問題視しているのではなかろうか。
などなど、時折突っ込みたくなることが出てくるのは、
ある意味、パワフルな中小企業経営者にありがちなアレな感じなのかもしれず。
深い喪失感とともに本を読み終える。