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円の価値下落、官製株式相場の危うさ、中国や欧州の経済減速など、テーマごとに解説。アエラ連載に大幅に加筆して再構成する。リスクへの対処法、本当にいま求められている成長への処方箋も描き出す。巻末には浜矩子氏との対談つき。
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Posted by ブクログ
うーん、正直言って参考になる点と反論したくなる点がある。 まず円高奨励円安反対。それで豊かになるということで、古今東西通貨を毀損して発展した国はない、ということだが、 現在の通貨と近代以前の通貨では変質した部分も多いと思う。 戦後、通貨価値を毀損して発展した国といえば 1.戦後1ドル360〜250...続きを読む円と通貨安になった日本。 2.ドル高に苦しみプラザ合意でドル高を抑えたアメリカ。 3.アジア通貨危機で実質デフォルトしてしまった韓国。 4.マルク高に景気は沈み、ヨーロッパ新通貨ユーロで劇的に通貨安を遂げたドイツ。 と、つまり戦後世界の主要国の多くの部分であり(ついでにいえば日本没落の原因を分析した中国共青団エリートのレポートでは、その原因はプラザ合意による円高進行とハッキリ分析してあったな……)、むしろ通貨安が(ドルレート指標では下がっても)景気に高影響なのはいくつもの事例で証明されている。 アベノミクスについては増税以前は確かに経済は上向いており、それは否定出来ないだろう。 増税後の景気停滞は確かにそうで、それまでの上向いてきた状況をチャラにしてしまった。しかしこれもアベノミクス批判というよりは、むしろ安倍−菅ラインは増税に批判的だったわけで、むしろ長期間に渡って形成された官僚の力が勝ったということだ。 また、著者が製造業に変わるこれからの産業として観光業を挙げているが、これについても円安は有利に働くのは言うまでもないだろう。 円高が豊かになるとは金融関係者がよく唱え、民主党時代には円高が国益と藤井財務大臣が唱えて大不景気と電機産業の崩壊をもたらした実例もあり、ドルのような基軸通貨でもなくまたスイスやシンガポールのような小国ではない日本の実情には合わないのは振り返っても明らかだ。 しかし、著者は経験豊かで有能なビジネスマンであり、著者が手掛けた岩手紫波町の再生を始めとする具体論や農業ほかの規制批判などは大変参考になる。 またほとんどの「地方再生」責任を問わず、失敗を認めず、補助金は垂れ流す=不良債権の積み増しに終わっている現状を変えるには補助金に頼るのではなく、自ら利益化するシステムを創っていくことにあるという。これはビジネス経験のない官僚には無理であり、事実失敗例の山を築いている(しかし、失敗とは認めないまま霧消する)。 これらの構造改革にアベノミクスがあまり手をつけていないのは確かだが、改革するには長期にわたる利権や権力が縱橫につながっており、変えていくのは容易ではない。この問題の本質は長い間巣食った官僚統治に求められるべき話だが、それをアベノミクス批判だけに集中するのは違うと思う。これは朝日新聞の「アエラ」への連載というの関係しているのでは?とも思う。同じ著者の「ニッポン経済最強論」とはかなりニュアンスが違うとういうか「ニッポン」への向き方は異なっている。 とはいえ、本当の地方創生については、官僚の手を離れ、著者や冨山和彦氏のようなビジネスも地方事業も手掛けた方が責任者となって実行できるブレーンを組織化してしっかり現場を動かす、ということをどっかで思い切りやることが必要だと思う。
AERAコラムを基にした一冊。反省と地方再生、ふるさと納税に対するコメントは実体感のある解説だと思う。メモ。 (1)少子化による人口減少はあっても、高齢化の場合はむしろ消費人口は増えている。‥家計の貯蓄高が3千万円を超える世帯の30%が世帯主65%以上。 (2)地域活性化、特に公共事業において集客数...続きを読むのみを見て人が集まった、活気が戻った等というのは成功の指標ではない。儲けているのか、来た人がどれだけお金を払ってくれるか、それがすべて。 (3)その日を夢見て町民共々頑張ろうという気持ちが地方再生では大事。 (4)消えるのは地方そのものではなく地方自治体。 (5)自分たちの地方の伝統、県民性にあったスペシャルなものをいかに開発していくか。それこそが競争力の根源。 (6)ふるさと納税は一部の地方産品を全て税金で買い取る公共事業‥地方産品の競争力は毀損されるばかりなのです。
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山口正洋
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