白川優子の作品一覧
「白川優子」の「紛争地の看護師」「紛争地のポートレート 「国境なき医師団」看護師が出会った人々」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
計算したら私より少し年下の方だった。
商業高校からの進路として、やっと「看護師」に思い至るも、まずは定時制の専門学校へ。しかし、元々の志は子ども時代に芽生えてたもの。そこから、国際的に仕事をするために、一つ一つ手順を踏んでいく。彼女の生き様たるや⁈ 何故、今まで私はこの人を知らなかったんだろう…
「国境なき医師団」の存在は私も知っていたし、SNSでフォローもしてる。だが、やはり他人事としか見ていなかったことに気付かされた。いや、どうやっても他人事で終わってしまう生活を送ってるから仕方ないのだけど。だが、この本を読み始めた後に流れてきたポストに、今まで感じたことのない感情を覚えた。自分事にはなりえないけど。
たまたま彼女は一篇の本を認めたから、その存在を知るこのになったが、他のスタッフ、或いは現地の人々全てに、ライフがある。
ガザについての項は、今の爆撃より前のこと。だがその問題についての基本的なテキストになってて必読だと思う。地理的なこととその歴史について。「世界一巨大な監獄」という異名があることは知らなかった。
戦争を感覚でしか知らない人に読んでほしい。今こそ。
Posted by ブクログ
国境なき医師団の看護師として、世界各地の紛争地へ赴任した著者による自身の体験をまとめたノンフィクション。
国境なき医師団が活躍しているエリアと言われると、”現状は停戦協議などで戦闘自体は休止している”ようなイメージでした。シリア、南スーダン、アフガニスタン、ガザ地区などが本書に登場しますが、本書を読むとそのイメージは覆ります。
政府側・反政府側が内戦状態になっている国では、政府が入国を許可して活動をしていても、反政府側からは”敵対勢力(政府側)の手助けをしている”とみなされ、医療活動拠点に向けて銃撃や空爆が行われています。
本書冒頭で、敵対勢力のメンバーを捜索に来た民兵が侵入してくるシーンは、こちらの態度次第では命を奪われかねない緊迫感のある情景でした。紛争地の活動において「怖いと思う者は帰国した方が良い。ただし、怖さに麻痺してしまった者は一番に帰国させなければならない」という言葉が紹介されています。”怖さ”に麻痺する人が出てくるほど、日常的に危険と隣り合わせであることが伝わってきます。
著者はそのような地域に20回近くも赴任しています。空爆の音が響く中で手術をし、一方で果てしなく次々と運び込まれる患者。そこで著者は「紛争自体を止めなければ、意味がないのではないか」と感じ、ジャーナリストへの転身を考えます。帰国して相談したジャーナリストは「ジャーナリストになっても紛争は止められない。あなたは看護師として目の前の命を救えるのだから、その役目を全うした方が良い」と諭されます。ジャーナリストは取材する現地で亡くなっていく人たちを前に、その命を救う事が出来ないもどかしさを感じているのでした。
戦場と呼んでも良いエリアで救命活動に従事する女性と言われると、ものすごい精神力や博愛、タフさを兼ね備えた人、というイメージが浮かびます。しかし著者自身が赴任期間の間に帰国した時、日本での安全で快適な生活に触れて生じる「この生活を手放したくない」という気持ちと、次の赴任を打診された時に「自分が行かなければ、現地のスタッフや医療を求めている現地の人を見捨てるのか」という気持ちのはざまで葛藤することを吐露していて、そこは非常に著者に共感できる部分でした。
内戦や戦争が起こると、市民生活はどういう状況になるのか、著者の視点から非常にリアルに描写されています。またそういうエリアでの活動を経て、上述のような著者自身の気持ちの変化なども赤裸々に描かれています。また、著者が国境なき医師団に応募しようとした動機や、採用されるまでのキャリアと経緯を詳しく述べた章も興味深く読めました。
日本にいては分からない、戦場となった国の市民生活の現状がダイレクトに伝わるノンフィクションでした。