作品一覧

  • 遺伝人類学入門 ──チンギス・ハンのDNAは何を語るか

    遺伝人類学入門 ──チンギス・ハンのDNAは何を語るか

    ビジネス・実用

    4.7
    1巻1,012円 (税込)
    近年、世界中の人類集団の遺伝子のバリエーションについて大規模な研究が数多くなされている。そうした中、中央アジアから東アジアにかけてチンギス・ハンの持っていたY染色体のタイプが爆発的に拡散しているという仮説が提起された。本書ではこの仮説を追うことを糸口として、遺伝子の研究方法から、人類の祖先の辿り方、進化と遺伝の捉え方まで、ゲノム時代にわれわれのルーツを追究する意義について、縦横無尽に解説する。
  • ゲノムでたどる 古代の日本列島

    ゲノムでたどる 古代の日本列島

    ビジネス・実用

    4.7
    1巻1,870円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人類が初めて日本列島にやってきたのは約4万年前。 日本列島のはじまりを築いた人々は、どんな生活をしていたのだろうか。 ゲノムを読むと何がわかるのか? 話題の「古ゲノム学」とは何か? 研究者が「ゲノムを読む理由」とは? 日本列島人の起源と成立をさぐる研究プロジェクト「ヤポネシアゲノム」のメンバーによる、珠玉の科学エッセイ集。 「一段落した調査現場で、私は温かい缶コーヒーを飲みながら考えた。誰が一体なんのためにこんな墓を作ったのだろうか。なぜ中妻貝塚に作られたのか。これだけの人骨はどこから運ばれてきたのか。以前より浮かんでは消えていた謎が、頭の中をぐるぐる巡る。」 ――山田康弘 〈第1章〉縄文時代を「掘る」 より 「お酒に弱い、という遺伝的変異は、何かに強かったのではないか? それは、何かはわからないけれど、何らかの感染症と関連するのではないか、と考える事は、それほど馬鹿げた空想ではない。十分に検証するに値する仮説だ。それでは、東アジアでは、お酒に弱いことが、何に強かったといえそうなのだろうか?」 ――太田博樹 〈第2章〉お酒に弱い遺伝子とウンチの化石のゲノムから何がわかるか より 「ゲノムとは生き物の設計図である。血液型がA型だったりB型だったり、目の色が黒かったり青かったりするのは、それぞれ設計図であるゲノムのどこかに違いがあるからだ。植物でも同じことで、設計図が部分的に書き換わってしまう(突然変異という)ことによって、色や形や大きさに違いが生まれる。逆に言えば、設計図を読み解くことで、姿形の違いや環境への適応能力の違いが進化したのかを理解することができる。ゲノムを読む、とはそういうことなのだ」 ――内藤 健 〈第3章〉アズキはどこで生まれたのか より 「ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)が日本で塗料として用いられ始めたのは、遅くとも縄文時代早期という、かなり古い時代であるとされている。多くの読者は、このような「高尚な」文化は中国伝来であるという先入観を持つかもしれない。しかし、実は遺跡に残された遺物の古さだけを見ると日本のものの方が古い可能性もあり、漆文化は日本発祥では、という説を唱える研究者もいるほどである。」 ――菅 裕 〈コラム〉漆の過去・現在・未来 より DNAは、その人骨の遺伝的特徴を知るための手がかりとなる情報である。そのため、DNAをうまく回収し、その塩基配列を決定し、その配列情報を使った研究でうまく「調理(料理?)」してあげれば、その人骨のルーツや我々現代人との関係を語ってくれる。この場合、おいしい食材はDNAであり、料理のための道具類はDNA配列を決定するためのシークエンサや解析するための統計ツールになるだろうか。 ――神澤秀明 〈第4章〉日本列島人はどこから来たのか より

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ユーザーレビュー

  • 遺伝人類学入門 ──チンギス・ハンのDNAは何を語るか

    Posted by ブクログ

    ホモ・サピエンスの軌跡は、伝統的に化石から辿る手法が行われていたが、近年では遺伝子集団のバリエーションなどの研究が盛んに行われ、文理双方からアプローチがなされているそうである。著者は集団遺伝学やゲノム人類進化学を専門としており、本書では特にミトコンドリアやY染色体などに着目して男女の移動パターンの違いなどに触れる。また、チンギス・ハンを例に社会的・文化的な要素での遺伝子の広がりにも言及する。
    このような記載から、現在の我々は遺伝的浮動や社会的・文化的要素による移動など、偶然の産物であることがよく分かる。世界各地に多彩な文化や歴史があり、私たちは自らのそれをとても大切にしている。でも、それらは集団遺伝学の立場からすると偶々なものなのだ。新しい視点を提供してくれる貴重な一冊。

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    2026年03月15日
  • ゲノムでたどる 古代の日本列島

    Posted by ブクログ

    ニュースでは、日本の科学技術の衰退が取り沙汰されているが、このように素晴らしく、面白い研究者の方々がいらっしゃるんだ、と感動すらしてしまった。中高生にもわかりやすい、多分習ってる範囲の知識で理解できるように書かれているのでぜひ読んでもらいたいなと思った。

    この本は、文部科学省の資金で5年間行われた新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」をまとめたものである。こんな研究がされていたのを私は知らなかった!ニュースとかでやっていたのかな?もっと世に知られてもいいのでは?(単に私の知らないだけ?)

    研究は淡々と地道に努力を積み重ねるイメージがあったが、他の分野の人との関わりやつながりも大事なんだと思った。いろいろな分野の研究者の方がつながって大きな研究や成果が生まれていくのだなと感じた。

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    2024年05月16日
  • ゲノムでたどる 古代の日本列島

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第3章「アズキはどこで生まれたのか」だけ読んだ。日経サイエンス2024/2「アズキ 日本から大陸に渡った作物」記事での物足りなさからこちらの記事へ移動した。
    栽培種アズキと野生種ヤブツルアズキ(アズキと比べて黒くて小さい)との遺伝子配列、特に実が赤色になる遺伝子を特定して比較し、栽培種アズキと類似の遺伝子配列を持つ野生種を見つけたと。それが長崎県の野生種。とはいえ鳥が運んでしまうこともあるので、西日本のどこかでこの野生種の先祖が居て、それが栽培種アズキへと分岐したと考えられる。つまり栽培種アズキは日本産との結論。なお他にも「栽培種アズキの起源が日本列島である強い証拠」を発見していて、いずれ論文にするとのこと。期待したい。
    なお日経サイエンス記事はインタビューによるものなので研究内容が要約されていたが、こちらの記事はご本人の筆によるもの。どちらかと言えば余談(前置き)が多く、そこが面白い(前野ウルド浩太郎氏に近い気配を感じる)。いずれ単著を著していただきたい。

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    2024年01月29日
  • 遺伝人類学入門 ──チンギス・ハンのDNAは何を語るか

    Posted by ブクログ

    本書は『ちくま大学』の社会人向け講座「ヒト遺伝子の謎に迫る - チンギス・ハンの秘密」という講座から再構成して書籍化したものだという。もし、行くことができたのであればぜひ受けてみたかった魅力的な講座である。

    まず最初に、遺伝子・染色体・DNA・ゲノムを区別することはとても重要であるが、多くの場合には混同されて使用されていると指摘する。自分も区別できていなかったので、ここに記しておきたい。
    ・遺伝子: 遺伝情報の「最小単位」。
    ・染色体: DNAがヒストンタンパク質に絡まりつきながら折り畳まれた「構造体」。
    ・DNA: デオキシリボ核酸という遺伝情報を載せた「物質」。
    ・ゲノム: ある生物がその生物体で得るに必要な遺伝情報の「総体」。遺伝子情報そのものを含むがそれ以上のもの。

    例えば、「ヒトゲノム」とは、ヒトという生物がヒトという生物に足り得るに必要な遺伝情報と言える。
    同様に、著者は「人類の起源」と「ヒトの起源」についても定義が異なっているとこだわる(「人類」にはアウストラロピテクスなど化石人類も含まれる)。「人類の起源」は600~700万年前、「ヒトの起源」は10~20万年前になり、定義により大きな差が生まれる。こういうところをないがしろにしないのは非常に好感が持てる。
    また「対立遺伝子」が誤解を生む用語であるとして、「アレル」という用語をこういった一般向けの本でもその理由を明示して使うところも同じように信頼がおける。

    ちなみにヒトゲノムに含まれる塩基対は35億対ある。これは情報量でいうと3.5GBにあたりDVD 1枚にすっぽり収まる量の情報だ。これに対して、ヒトの遺伝子の数というのは2万5千個しかない。絶対値としても非常に少ない情報量であり、多くの塩基対の中で遺伝子は非常に稀にしか存在していないということになる。またその数自体、多くの科学者の予想を大きく下回ったものであり、他の生物のそれに比べても決してずば抜けて多いものではない。例えばショウジョウバエや線虫などでも遺伝子の数は二万個程度になる。生命というのは人間の観点で高度と言われるものも含めて非常に少ない遺伝子の組み合わせで効率よく実現されているのだ。また、よく言われるヒトとチンパンジーのゲノムの違いは1.2%しかない、というのはゲノムの塩基配列で比較可能な場所を比較するとこの程度の違いしかない、ということである。
    ホモ・サピエンス同士のゲノムのバリエーションが、チンパンジーのそれと比べて非常に小さいこともヒトゲノムの特質として挙げられる。アフリカ人と日本人のゲノムの違い(平均して0.2%以下)はアフリカのAという森とBという森に住んでいるチンパンジーの違いよりもはるかに小さいことがわかっている。これは、非常に小さな集団から現在のヒトが拡がっていったことを示している。

    このゲノムを産んだ人類の起源は、今ではよくわかっていると言ってもいいと思う。まだまだ謎は多いが、少なくとも平成が始まった30年ほど前と比べるとその理解は大きく進んだ。本書にも書かれているように、ホモ・エレクトスが約170万~70万年前に一度アフリカを出て、各地に拡がり、ネアンデルタール人やデニソワ人としてその足跡を残したが、その後いったん絶滅した。その後、現在のホモ・サピエンスは7万年~6万年前にアフリカを出て世界各地に拡散していった。いわゆるアフリカ単一起源説で、ミトコンドリアのイブやY染色体の分析から有名になり、現在ではこの説が定説となっている。このようにホモ・サピエンスが分かれた時期が比較的最近のことであることからチンパンジーなどと比較したヒトのゲノムのバリエーションの少なさが説明できる。最近では古代人の遺伝子解析を通じて、二回の出アフリカと現生人類とネアンデルタール人やデニソワ人との混血などの過去のディテールの詳細がわかってきている。

    本書の特長を挙げるとすると、新書であるにも関わらず系統樹の導出などについて統計的なテクニックを詳しく解説しているところになる。細かい数式などは出てこないが、同分野の研究における日本人の貢献も含めて比較的細かいエピソードまで拾っている。有名なスバンテ・ペーボの手によるネアンデルタール人と現生人類が混血していたという証拠についても比較的丁寧に論理的な説明がされている。なお、著者はスバンテ・ペーボがリーダーシップを取っているマックス・プランク進化人類学研究所で研究を行った経験を有している。そこでは、本書でも紹介されている性別で異なる移動パターンが与える遺伝子頻度への影響を研究していた。この辺りの研究は、インドのカースト制度と遺伝子頻度の関係が有名で、記録がない過去の人類史が分かるところもあり興味深い。日本の琉球諸島民、本土日本人、アイヌ人などの遺伝子を比較することで有史以前の日本人の起源を想像することもできる。

    もうひとつ特長を挙げるとすると、木村資生が提唱した、分子進化の中立説への強い支持だろう。多くの人が、遺伝子頻度の変化を突然変異と自然淘汰によるもの(ダーウィンの自然選択説)と考えているが、その説明が当てはまる遺伝子頻度の増加はごく一部であり、多くの遺伝子変異が拡散するのはその遺伝子が実現する機能(表現型)とは中立であるというものである。中立説とはつまり、変異のほとんどは生存に有利でも不利でもない中立な変異で、有利な変異はその中のごく一部であるというものである。これはDNAのデータ解析によっても、その正当性が認められているものであるという。著者はこのことから、「進化は進歩ではない」という。進化とは、「生物集団内で、世代を超えて遺伝子頻度が変動する連続過程」だという。そして、遺伝子頻度を変化させる要因が「遺伝的浮動」というものである。中立変異はそのはじめはマイノリティであり、いつか消えてしまう確率が高い。しかし、特に集団のサイズが小さいとき、遺伝的浮動、つまり偶然の結果による遺伝子頻度の増加が起きやすい。これはボトルネック効果と呼ばれ、たとえばアメリカ大陸でO型の人の頻度が多いのは、北極圏を渡ってたどり着いた集団の数が少なくボトルネック効果が発生した典型的な例だと考えられている。
    また、中立的な変異が頻度を増す場合は、その速度は緩い。その性質のおかげで生物種間の分岐からの年代などを推測することができる。これと比べて古典的な有利な変異が自然選択で頻度を増やす場合はおそらくは急速にその頻度を増やすはずだ。有利に働く遺伝子としては、ラクトース分解酵素の遺伝子、アルコール分解酵素に関連する遺伝子、鎌形赤血球を起こすがアラリア耐性を強くする遺伝子などが考えられるが、もしかしたらその地域において急速に拡散したのかもしれない。チンギス・ハン由来の遺伝子の拡散についても書かれているが、これは文化が遺伝子頻度に大きな影響を与える事例である。

    多くの情報はこれまで読んだ書籍に書かれていた内容だったのだが、丁寧で良質な説明とおかげで改めての頭の整理にもなり、この分野への入門書としても推奨できる良書である。

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    2020年02月11日
  • ゲノムでたどる 古代の日本列島

    Posted by ブクログ

    研究内容やその成果についても非常に興味深かった。それに加えて、個性あふれる研究者の皆様の、研究に至るまでのお話など、面白おかしく語る様に引き込まれた。硬さと柔らかさのバランスが良く、読みやすい。

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    2025年04月13日

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