北綾子の作品一覧
「北綾子」の「アナル・アナリシス――お尻の穴から読む」「怪物の森―未解決事件捜査官ヴァン・リード―(新潮文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
前作「森から来た少年」の主人公ワイルドが活躍するシリーズ第2弾。本作でもワイルドは自分の親族を探している。物語はいくつかの遺伝子鑑定会社(ネットサイト)を使って調査しているシーンから始まる。
ワイルドの親族探しが1本の大きな柱、もう1本の柱がリアリティ番組で有名になった男の行方探し。この2本柱がくっついたり離れたりしつつ、SNSの異常偏執投稿やリアリティ番組での人格や価値観崩壊(日本でも自殺者でてたヤツ)、警察などを挟みながら、物語が進んでいく。
前作との一番の違いは、伏線回収の見事さ。置いてけぼりにされてる問題はほぼなく、前作で拾えなかった伏線も綺麗に回収していく。あまりに見事すぎて「え、ワイルドシリーズはもう終わりなん?」と心配してしまうほど。
メインキャラクターがとても魅力的なので、できればこのシリーズは続いてほしいなぁと思うのだが
Posted by ブクログ
ジェス・ロウリー『怪物の森 未解決事件捜査官ヴァン・リード』新潮文庫。
女流作家によるシリーズ第1作。
『ファーム』という名のカルト的小集団で育てられた過去を持ち、事件の手掛りを悪夢という形で知る特殊能力を持つミネソタ州犯罪捜査局BCAの未解決事件捜査官エヴァンジェリーン・リードと辣腕科学捜査官ハリー・スタインベック、ヴァンが指導したカイルの3人がチームを組み、長らく未解決となっていた42年前の3人の少女失踪事件に挑む。
トラウマになるような過酷な過去を経験し、超常的な特殊能力を持つ未解決事件捜査官エヴァンジェリーン・リードが、実はスウィートティー殺人事件で3人の男性を殺害した犯人であったという衝撃の秘密。そして、その事件に相棒のハリー・スタインベックが固執し続けるという皮肉な事実。
設定はこれ以上無い程に見事で、ストーリーも起伏に富んでいて面白い。浮かび上がっては消えていく容疑者たち。
1980年の夏、上流家庭に育つ8歳のアンバー・カインドと同級生のルー・ラーセン、その妹で5歳のリリー・ラーセンの3人の少女がミネソタの森の中で姿を消し、3人の少女たちは『盗まれた少女たち』と呼ばれる。
その後、3人の中の1人、ルー・ラーセンだけが、灼熱のアスファルトで火傷しながら裸足で戻ってきたが、事件の記憶を一切失っていた。
そして現在。女性の生き埋め死体が発見され、その女性は発掘される直前まで生存していた上に、1980年にミネソタの森で失踪した3人の『盗まれた少女た』の1人であることが判明する。
少女たちは誰に連れ去られたのか。なぜ42年も経った今になってアンバー・カインドは生き埋めにされたのか。
次々と浮上しては泡の如く消えていく容疑者たち。まるでヴァンの奮闘を嘲笑うかのように次々と彼女の前に立ち塞がる幾つもの高い障壁。残された時間は24時間。
本体価格1,100円
★★★★★
Posted by ブクログ
『森から来た少年』は、奇想天外なアイディアで生まれた、いかにもコーベンらしい奇作であった。森に棲んでいた非文明的少年ワイルドは、40代にさしかかっている。彼は超奇妙な私立探偵存在として現代文明の中に沸き起こる現代的事件を解決に導いてゆく。解決できていないのが彼の正体。彼はなぜ独り森で育つことになったのかという謎。
またワイルドとダブル主人公的に活躍するのが、何作ものシリーズや単発作をまたいで登場する女性弁護士ヘスター・クリムスティーンである。そう。このシリーズは続編である本書と併せてワイルドの出生の秘密に迫るのが本書なのである。なので『森の中の少年』を読んだ人はこれを読まなくては完結しない。そう言われて読まない人がいるだろうか? 一方でヘクターの家族の歴史が重要な分岐点を迎える物語でもある。ヘクターおばちゃんのファンであってこれを読まないなんていう読者が果たしているだろうか?
さて本書。主人公ワイルドがDNA鑑定を通じて近親者を探していたところ、DNAが50%マッチした人物がいることを知るが、特定には至らない。一方、ワイルドにメールを送ってきていた人物が母方の血縁者と知り、こちらでもDNAのマッチ確立を探るが、その人物がTV番組で名が知られた挙句、ネット内で追われ失踪中とワイルドは知る。ワイルドの追う人物がリアリティ番組の参加者がネット世界で怒りや攻撃の的となり炎上したと言う。そんななか、ワイルドは警察官らの悪辣な暴力に曝され瀕死の状況に追い込まれる。彼をも巻き込む闇ネットの存在は何か? スリルと謎の深さが半端ではなく、ジェットコースターなみのストーリー展開と、錯綜の複雑さが混乱とミスリードを呼ぶ。
読み進むにつれもつれた人間関係がほどけてゆくのだが、真偽や正邪の判断もつきにくい過去と現在の状況がネット情報とリアルの隔たりの狭間に溢れ、ワイルドとともに読者も混乱に突き落とされてゆく。何よりも見た目通りではない人物の多さと、何層もの虚実を剥いてゆくストーリーの複雑さが混乱を呼ぶ。
一気読みに近いが、登場人物が多く複雑に互いが絡み合っていることもあってキャラクター表での確認作業が読書中とても大変であった。リアルとバーチャルの多次元的ストーリー進行もあまりに現代的なので、コーベンの作品中最も難読度の高い作品であるように思う。森で育ったこどもが大人になってこれほどの多次元バーチャル化した世界に対応してゆく才能とその知性には驚かされるが、ワイルドという個性の持つたっぷりと溢れかえるヒューマニティが作品の殺伐さを根底で救っている物語であるとも言える。
いずれにせよ、設定も進行も奇才ハーラン・コーベンならでは個性に満ちている。語り口は平易で、場面転換も豊かで相変わらずのリズミカルなミステリーである。魅力的なヒーロー&ヒロインの悲劇と喜劇の多重構造の謎で構築されたこの世界。それらをしっかりと味わいながら是非とも丁寧に読んで頂きたい力作である。