「何がわからないのかが、わからない」と途方に暮れたあのときに「あったらよかった1冊」
(「まえがき」より)
著者が目指したまさにその通りの一冊だと思う。
著者自身が前書きに書かれているように発達障害について
「知っておきたかったこと」
「知りたいこと」
「これから知っておいた方がよさそうなこと」
が載っている。
辛かった時期にこれがあったらよかったのに思った。
それと同時に、発達障害についての研究も理解も支援も今だに過渡期だということもよくわかった。
誰かが諦めずにいてくれたからここまで理解が広がってきたのだと感謝で胸がいっぱいになる。
様々な分野の専門家や当事者の方の意見がインビュー形式で掲載されているため、偏りが少ないのもよい。
立場が違えば見え方も変わるし、個々の症状の出方によってもとらえ方は変わってくる。この本なら、誰かの意見を絶対的なものと思い苦しくなってしまうリスクは少ないし、この本を読んだあとには、他人から心無いことを言われても人の意見は意見の一つでしかないと思える強さも得られるような気がする。
ーー自分用メモーー
・発達障害は「重なり」と「濃淡」
<発達性読み書き障害>
・受験時に試験時間延長を求めたい受験生に対応している検査は、今のところ「STRAW-R」だけ
・実習が多い学校がお薦め
・職業選択では、苦手な方向に行かないことが大事。報告書やリポートをたくさん書く仕事や、論文を読まなくてはいけない仕事はきびしい。手書きで書類をたくさん書かなければならない職種も薦めない。
・頭のいい子だとテストの点が取れて「まぁ、なんとかなるか」と思われる。そういう子が中学、高校でメンタルダウンし不登校になって苦しむことが多い。
・子供が発達障害かもしれないと思ったら、治療するかどうかはともかく、確認しておいたほうがプラスは大きいはず。早いうちに弱点や不得意な面に気づくとそのあとの人生が楽になる。
・ADHDの2~3割は一時的にせよ二次障害を生じることがある
・親と先生の仲が悪かったら、それぞれがどんなにいいことを考えていても子供のためにならない。絶対にならない。
・子どもの発達障害の場合は「早期診断、早期心配」にならないように十分な配慮が必要(p153、高橋孝雄(小児科医)
●子供自身が困難を感じ始めたタイミングで
●ADHDについての一つの目安は「このまま小学校に入学して学校生活が送れるかどうか」
●診断するのは4歳あたりから
・「早期発見、早期ブレーキ」(本田秀夫、精神科医)
●早期発見することで親などが焦るのを抑えられる
●特性が見られれば早期診断する
●その子に合うやり方で教えるのであれば、療育は早ければ早いほどいい
高橋氏も本田氏も、「過剰な早期介入はやめよう」ということだと思う(著者)
・ADHDもASDも遺伝的要素は50~60%
・発達障害の診断で自尊感情を守る(自分の努力が足りないわけではないと気付ける)
・発達障害の子育てでは、親が自分自身をケアすることも大切
・発達障害に対する理解は、担当者によってもまちまち、相性もある
・あいまいだと理解できない。短文ではっきりと「今これをしないと、ここに迷惑がかかるから、今電話して。それでどうなったか教えて」これを毎回。慣れないから毎回言ってほしい(沖田×華)
・今、療育と称して活動している事業者や個人が提供するプログラムには、科学的根拠が十分とは言えないものが多く含まれている
●子供が楽しんでいる
●親が療育を受けている子供の様子を見られるようになっている