生命とは何かという命題を物理学者として解明した、分子生物学の有りようを予言した書といえましょう。
冒頭から面白いことが書いてある「統計物理学からみて、生物と無生物とは構造が根本的に異なっている」
物理の法則は原始に関する統計に基づくものであり、近似的なものにしかすぎない。分子は個々にはばらばらに動
...続きを読むいているが総体として統計を取ってみるとある法則にしたがって機能している。
ところがDNAは原始レベルまで踏み込んでいかないと解明できないのであります。この本はワトソン、クリックがDNAの構造、いわゆる二重螺旋を発表する10年前にかかれているのですが、遺伝子を安定な構造を持つ巨大分子であると推論し、非周期性結晶であるとしております。
いままであまり考えたことがなかったのですが、DNAの例の暗号は原子ひとつ分の差異で表現されているのです。原子の実際の大きさは黄色い光の波長の5000分の1から2000分の1だそうです。工学顕微鏡で認識できる最小単位のなかにさらに何十億の原子が詰っているということです。超ミクロの話なのに数字の単位は宇宙大です。
とりあえず読み上げたもののもう少し熟読が必要なまさしく古典といってよい本でしょう。