作品一覧

  • 壜のなかの永遠
    -
    1巻1,364円 (税込)
    謎多き女探偵が活躍する幻想歴史ミステリ!  1863年のロンドン。探偵と外科医の看板を掲げる女性ブライディのもとを、ある貴族の主治医が訪れた。彼は「館で秘密裏に育てられていた準男爵の娘がさらわれてしまった」と言う。娘の詳細を明かされないままの捜索依頼に戸惑いながらも、ブライディは彼女の前に突然現れた「ルビー」と名乗る元ボクサーの幽霊とともに、少女の行方を追うことに。しかし調べれば調べるほどに、ブライディは迷宮に嵌まり……。  英国の新星が、アイルランドの人魚伝説とビクトリア期ロンドンの誘拐事件をファンタジックに描く、時空を超えた歴史ミステリ。
  • 漂着物、または見捨てられたものたち
    3.5
    巨大なアンテナ設備の近くにある家で、幼い娘を育てる父親が体験する数々の異変(「アンテナ」)、なにげなく漂着物を砂浜に埋めたことで老夫婦が巻きこまれる思わぬ事態(表題作)、中年になり帰郷した男が振り返る、キャンプ場で姉と過ごした子供時代のあれこれ(「海辺のうた」)……。海沿いに点在する無人の家、大潮の日にだけ行ける入り江、漂着物が絶えず流れ着く砂浜、さびれたキャンプ場……英国コーンウォールの海辺に見られるありふれた場所では、ふとしたはずみに幻めいた現象が起こり、もの哀しくも美しい物語がいくつも紡がれる。現実と幻想の境目で生まれた、いずれも忘れがたき13の短編を収録。サマセット・モーム賞受賞作『潜水鐘に乗って』に続く、珠玉の第二短編集。/【目次】空っぽの家/アンテナ/すぐの未来に/帰郷/出て行け/ソルトハウス/漂着物、または見捨てられたものたち/波乗り/嵐の日/死者たちの年/ケーブル/海辺のうた/漂流するクラゲたち/謝辞/解説=石井千湖
  • 潜水鐘に乗って
    3.7
    1巻2,970円 (税込)
    【サマセット・モーム賞受賞、ホリヤー・アン・ゴフ賞受賞】48年ぶりに夫と再会するため、旧式の潜水鐘で海にはいっていく老婦人(表題作)、身体が石になる予兆を感じた女性が過ごす最後の一日(「石の乙女たち」)、やがて巨人になる少年と、人間の少女のなにげない日常のひととき(「巨人の墓場」)、数百年を生き、語るべき話を失いながらも再び物語を紡ごうとする語り部(「語り部(ドロール・テラー)の物語」)……妖精、巨人、精霊、願い事をかなえる木、魔犬……さまざまな伝説や伝承がいまなお息づく現代の英国コーンウォール地方を舞台に、現実と幻が交錯する日々をあるがまま受け入れ、つつましく暮らす人々の姿を、新鋭ルーシー・ウッドが繊細かつ瑞々しい筆致で描く12編を収録した短編集。/【目次】潜水鐘に乗って/石の乙女たち/緑のこびと/窓辺の灯り/カササギ/巨人の墓場/浜辺にて/精霊たちの家/願いがかなう木/ミセス・ティボリ/魔犬(ウイシット)/語り部(ドロール・テラー)の物語/訳者あとがき=木下淳子

ユーザーレビュー

  • 潜水鐘に乗って

    Posted by ブクログ

    『潜水鐘に乗って』
    著者 ルーシー•ウッド
    訳者 木下淳子 

    この本は、ルーシー・ウッドの出身地である、英国コーンウォール地方のさまざまな伝説や伝承を元に紡がれた12の短編集になっています。
    イングランドのコーンウォールという、その国、その地、独特の物語があります。
    装丁画の持つ雰囲気と解説に惹かれて購入し、ゆっくりと時間をかけて読み進め、堪能しました。
    静けさの中に、時を生きた人々の想いを感じられるお話が心に残ります。

    【目次】より。
    潜水鐘に乗ってー48年ぶりに夫と再会するため、
        旧式の潜水鐘で海にはいっていく老婦人。
    石の乙女たちー身体が石になる予兆を感じた女性
        が過

    0
    2024年07月19日
  • 漂着物、または見捨てられたものたち

    Posted by ブクログ

    冬曇りの孤独な海が好きなので、タイトルと装丁に惹かれて手に取ったらば大当たり!
    コーンウォールを舞台に語られる短編集は、そのどれもが寂寞と、停滞と、焦燥とに満ちている
    ここではないどこか、豊かな何か、愛せる誰かを求め続けていながら、あと一歩が踏み出せず、荒い海風や冷たい荒野に囚われ続けている登場人物達がとてもリアルで愛おしく、美しい情景描写も相俟って、まるで私まで冷たい潮風や細かい砂の匂いを間近で嗅いだような気がした

    0
    2025年10月01日
  • 漂着物、または見捨てられたものたち

    Posted by ブクログ

    向かうべき所を見いだせず、かといって留まるだけの確たる故もない。積み重ねた記憶だけが土地にしみ込み込み溶けあってゆく。
    読み耽っていると、ふとそんな言葉が浮かび、いつしか胸に満ちてゆく。
    夏の陽光を求めて押し寄せていた観光客が一斉に引き上げた後の、閑散とした海辺の町を舞台として語られる物語は、寂寥感を滲ませながら翳りゆく波間にちらちらと鈍色の美しさを放つ。

    ルーシー・ウッドのシンプルで静謐な筆致の見事さと共に、細い糸がピンと張り詰めたような緊張感がどの物語にも漂い、惹きつけられてやまない。
    親愛の情と相容れなさを併せて飲み下そうする父と息子、過ぎた時間が作った隙間を思いがけず乗り越えてゆく姉

    0
    2025年07月01日
  • 潜水鐘に乗って

    Posted by ブクログ

    短編集12編
    イギリス,コーンウォール地方の伝承などを元にして幻想と現実が混じり合ったような味わいの物語.家に住み着く精霊や変身譚など変化に富む内容.少しわかりにくいのや,単に認知症なのでは?というのもあるが,面白かった.
    鐘の潜水艇に乗って50年も前に海の底に沈んだ夫を探す表題作,孫オスカーと洞窟に住む祖母との交流を描いた「浜辺にて」が良かった.

    0
    2024年10月02日
  • 潜水鐘に乗って

    Posted by ブクログ

    イギリスの幻想小説ですね。
    作者はルーシー・ウッドさん、イギリスのコーンウォール出身。この作品がデビュー作です。サマセット・モーム賞、ホリヤー・アン・ゴフ賞を受賞。
    訳は木下淳子さん翻訳家。
     木下淳子さんが、原書を読まれて是非とも日本で出版したいと形になった本です。木下淳子さんは訳出するにあたって、コーンウォールを訪れた事が無いので、井村君江さんの『コーンウォール 妖精とアーサー王伝説の国』を参考にされたそうです。情熱と愛着の結晶ですね。
    「ルーシー・ウッドが故郷の自然や風土、そこに息ずく伝説を愛情深く生き生きと描き出していることがわかった」とあとがきで記されています。
     十二編の短編は、伝

    0
    2024年08月04日

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