大戸屋創業家の方が著した一冊。父である創業者の事業にかける想い、大戸屋成長の秘話が語られている。カリスマ創業者が持つ、「想い」というより凄まじいまでの「執念」をまざまざと感じさせられるが、その奥には、養父母や実母への情が込められていることがわかる。飲食店は家庭料理の代行業だが、単に料理を出すのではな
...続きを読むく、家族の健康を考える母親の愛情を代行するのだという理念。全てはお客さまのためという会社はよくあるが、本当に隅々まで行き届いているのかという徹底ぶり。料理の特徴を「素材」「発酵」「料理人の技術」と喝破する眼力。銀行からの借入は人様のお金、つまりお客さまのお金であるというある種の大局観。これらの本質に辿り着く深い思考が大切なのだと気付かされる。このような会社でも、組織の成長と、カリスマ創業者の逝去によって社内は混乱し、御家騒動と言われる事態となる。理念共有や事業承継の難しさを学べる一冊でもある。