著者の平澤さえこさんは、長年給食の調理員として働いていたが、定年前の夏休みに、ブータンで食事改善指導をしてみないかと誘われる。
行先の町は治安も悪いらしく、不安もいっぱいだったが、職場の人間関係でひどく悩んだ時に、ブータンの人々の笑顔があふれる本に救われたことを思い出し、行くことを決心する。
カル
...続きを読むチャーショックの連続…約束はあってないようなもの、よくある停電、衛生問題、栄養バランスの悪い食事…貧しい国ゆえの諸問題に直面するが、それよりも人々の明るさや、優しさ、健気さに心を打たれ、約束の3か月が終了した時には、絶対またここに来る!と心に誓い、寄宿学校の理事長にも約束させる(ブータンだけに念には念を入れ、何度も確認するところが笑えた)。
そうして定年後も再雇用は受けず、再びブータンへ。
60歳にして0からの挑戦。
その心持ちに、こちらも励まされる思いがする。
公務員である給食の調理員は、離婚後二人の娘を養っていくために、持っていた調理師免許が活かせる唯一の安定した職業だった。生きていくために選んだだけで、決してやりたかった仕事とは言えないが、長年続けた結果第二の人生に繋がる礎となった。
というようなことが書かれていたのだが、与えられた場所で努力し続ける事で見えてくるものもあるんだよなぁ…と自分事としてしみじみ感じた。
2021.4.24