奥山俊宏の一覧
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ユーザーレビュー
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資料集、事例集としても教材としても秀逸。これ一冊で内部告発の歴史や実例、公益通報者保護法の成立や改正までが詳しく理解できる。今の世の中の「当たり前」に至るまでには、厳しい戦いがあった。告発される側の方が常に強い立場だ。だからこそ、揉み消したり、報復したりと、やりたい放題、弱者を虐げた。「世の正義」対
...続きを読む「組織の論理」。
ベトナム戦争での機密文書をダニエル・エルズバーグ博士がニューヨーク・タイムズに提示した事例。ニクソン大統領は極秘文書の漏洩事件として差し止めを求めたが最高裁判所は応じず。有名なペンタゴン文書だ。その後、博士は機密文書の窃盗罪で起訴されるが、ホワイトハウスの工作員による盗聴などを理由に、裁判所は起訴を棄却、無罪放免へ。逆にニクソン大統領の側近が罪に問われ、ニクソン自身も、もみ消しの容疑で弾劾されるまで追い詰められ、大統領を辞任。ディープスロートと呼ばれる政府内部情報に基づく新聞記者たちの調査報道が大きな役割を果たす。泥沼のウォーターゲート事件。
海外のスキャンダラスな内部告発から、日本へ。グッと生々しくなる。オリンパスの事例。顧客からの人材引き抜きを問題視して内部通告した濱田さん。この内部通告が社内で実名で情報開示されてしまい、不当な人事異動を受けることになる。本人の経歴や希望、能力に合わない品質保証への異動。評価査定についても不当に低い状態。オマエ呼ばわり。
社外との接触を禁止。これらがパワーハラスメントや不当行為として勝訴へ。他にもイオンや海上自衛隊護衛艦たちかぜの事例など。
ようやく、22年6月から改正され厳格化された公益通報者保護法を改正公益通報者保護法。誤った判断は訴訟問題に繋がりかねない。組織人は必読だろう。
Posted by ブクログ
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僕は記者会見の映像を見ていないので詳しいことはなんとも言えないんですけれど、一つ言えるのはあの場で言ったことを家や仕事や故郷を失った福島県の人の目の前で同じことを繰り返せますか?ということです。
この本が朝日新聞の記者が東京電力のすべての会見現場に立会い、東電側の社員と自分を含め貴社との一ヶ月のや
...続きを読むり取りをつぶさに記録したものでございます。何の本からは忘れましたが
「東電の人間は官僚以上に官僚的だ」
という言葉が、この本を読んでなるほどなと納得するにいたりました。
僕は朝日新聞を読まないので、いま、震災から一ヶ月間の縮刷版を読んで事件および震災の足取りをたどっていますけれど、震災および原発事故の一ヶ月間とここに記録させている一ヶ月間の東電側と記者とのやり取りを照合して読んでいくと、彼らの持つ「体質」というのが浮き彫りにされてきて、なんともいえない気持ちになりました。一連のことはおそらく私よりも皆様のほうがよくご存知かと思います。僕はほとんどテレビを見ていませんので。この本に書かれているやり取りはおそらく映像として流れたであろうと推察されます。
動画サイトで見る、という選択肢もないではありませんでしたが、ここに活字で記されてあることを映像で確認するのは非常に苦痛を伴う作業でしたので。申し訳ありませんが、断念させていただきました。この本を読むと現場の混乱と追及する記者。そしていかに責任を逃れようとする東電側の答弁がカオスとなって、読んでいる人間に迫ってきます。今回の震災および原発事故が日本人の美徳と醜悪な部分を同時に晒したのだということを実感するにはいい本だと思いますよ。
Posted by ブクログ
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経済記者による、バブルを象徴する事件の当事者たちへのヒアリングをまとめた本。
事件後に当事者に取材を当てているだけでなく、事件時・あるいは事件前から接触をしているケースもあり、他の経済事件本とは臨場感が違う。
一番面白いのは終章で、定期的に昼食会を開くほど仲睦まじかった大蔵省と特捜部のキャリア組が
...続きを読む次第に険悪になっていく様が淡々と描かれるところ。
その昼食会にずっと参加していた著者でしか書けない。
この章だけ具体的な単独の事件を追った内容ではないので浮いた感じになっているが、この部分だけでもこの本を読む価値がある。
著者らにとってはバブル崩壊は人生をかけたテーマだという。
何らの解答もまだ得られていないのでは、と。
その事自体にケチをつけるつもりは毛頭ない。
個人としてはそういう人生もあろう。
問題は、日本経済がその後の30年、迷走を続けていることだろう。
その後、アメリカではドットコムバブルもサブプライムバブルも弾けたが、さっさと経済は回復し、平均株価はゼロが一つ違うまでに伸展し。
また、その間バブルだバブルだと言われ続けながら、隣の大陸の経済は膨張を続け、アメリカに覇権を挑むまでになって。
一方で未だに日本はそのときのことにこだわり続け、デフレに苦しみ、人口は減り続け、技術は奪われ、ようやく株価はピーク時の半分くらいまできたところか。
どこかで間違えたからこの結果があるのだろうし、それを知りたいがゆえの著者らのテーマ設定だが、本書でもどこまでいっても決定的な悪人は出てこない。
巨額な賄賂が動いて私腹を肥やしたヤツがいて、とかならわかりやすいがそんなこともない。
当事者に通じた著者らが内側を切り取って現在の視点から見直してみてもなお、皆、それぞれに真面目に仕事をした結果がこれなんです、としか導き出せない。
これはこれで頭を抱える。
強いて言うならば、日債銀の処理や大和銀行の処理などに顕著に見られるが、特捜にせよ監督官庁にせよ、国益よりも正義感が勝る判断をしがちだったのかな、と。
ナイーブさに付け込まれての経済敗戦みたいな総括で自分でも癪だし、それじゃ勝手にブチ切れて国際連盟を脱退してきてからの70年前の敗戦と変わらないじゃないか、という気もするが、案外そういうことかもしれないな、とも思ったり。
国益というと右翼じみた解釈をされるが、そういうところから変えていかないと変わらないんじゃないか、と思うにいたり、
だとしたら朝日の記者だという著者には解けないテーマじゃん、というオチでした。
いや、すべての朝日記者がアサヒると考えてはいけませんが・・・。
Posted by ブクログ
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本書は、朝日新聞報道局に所属する記者が東京電力の原発事故の取材をリアルタイムでネットで配信した内容を中心に加筆したものであるが、その2011年3月11日から4月13日の記録には驚愕するものである。その迫真迫る危機の様相と迫力ある内容は、当時の新聞報道を大きくしのぐすごいものだ。
福島原発における
...続きを読む危機が、まるでタワーリングインフェルノのようなパニック映画を大きく上回る想像を絶した危機であったことがよくわかる。そして、この危機が決して一過性のものではなく、周辺住民の避難、放射性物質の除染、廃炉などまだまだ続くことを考えると、危機はまだ終わっていないことを痛感させるものである。
本書を読んで感じるのは、人間の不完全性である。原発所長、東電本店の幹部、政府首脳のドタバタぶりは、このような人間達に原子力発電と言う不完全な巨大技術の管理を任せられるのかという思いを痛感するものである。犠牲をかえりみずに奮闘する現場の所員達と比べて、幹部達のだらしなさが浮き彫りになっている。本書を読んで、「ほんとうに危機のコントロールができているのか」という思いが浮かび上がってくる。
危機のさなかに体調を崩して途中入院した東電社長のだらしなさをみると、本書の「自分の体調管理もできないような人間に、暴走する原発の管理など任せられるだろうか?」との疑問は説得力がある。
本書は、優れたドキュメンタリーだと思う。原子力発電の是非もあるだろうが、それ以前に東電社長をはじめとした人間達に、巨大科学の運営と舵取りを任せることは危なすぎると痛感させる良書であると思った。
Posted by ブクログ
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今よんでも、あのときの切実な気持ちが思い出された。企業広報側と対峙するマスコミとの掛け合いが臨場感あるドキュメンタリーで描かれます。いろいろ思い、考えさせられたが、やはり「誠実であること」だけは忘れないようにしたい。
Posted by ブクログ
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