今日か今日かと死刑に怯える死刑囚。「米も肉も、味がしない。腹も減らない。」
捏造された証拠が発覚し再審無罪。「失われた30年はどこへ?」
そして刑務官は動かなくなった友を前に自答する。「俺は、犯罪者を更正させるのが仕事なのだ。なのに…」
軽々しく死刑を叫ぶな。
裁判員制度が始まる今、僕は裁判の何
...続きを読むを知ってる?
そして、死刑の何を知ってる?
獄窓に来て乾飯を啄む雀 ときをり我に美しき瞳を向く
より添へる獄窓に月あり死なず済み 春の静かなひと日昏れゆく
拇印して処刑の契約済ませしが ふと思ひ出で指の朱ぬぐふ
明日の死を前にひたすら打ちつづく 鼓動を指に聴きつつ眠る
新しき草履たまはりあの世への 門出に朝の空は晴れたり
世をあとにいま逝くわれに花びらを 降らすか門の若き枇杷の樹
この時間過ぎれば今日も生きらるる 祈りの如く聴く鐘の音よ
今日来るか明日かと処刑待ついまを 弛まざるなり作業の手指
静かなる笑みをたたへて晴ればれと いまはの水に写るわが顔