作品一覧

  • 砂の肖像

    砂の肖像

    小説・文芸

    4.5
    1巻1,881円 (税込)
    ●「石に映る影」石の愛称は「ニコ」メノウの原石だ。いつも黒い服を着ていた謎の女K、そして、Kから聞いたニコのこと。●「ジョン・シルバーの碑」母は「パチンコ玉みたいなやつ」が居座ったままの右足のふくらはぎをごっそりと削る手術を受けた。難病に冒された母の病魔との闘い。他、珠玉の短編3作を収録!
  • 自殺者たち 一日一死

    自殺者たち 一日一死

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 毎日必ず人が死に、そのなかにはそれぞれの理由からさまざまな方法でみずから命を絶った人がいる。首吊り、飛び降り、服毒、割腹……明治・大正・昭和・平成の記録を拾い集めて提示する。事実を伝える行間から命への想いがにじむ鎮魂の日抄。

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  • 水の中のザクロ

    水の中のザクロ

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    ああ、ゴクラク、ゴクラクやね。湯の中でほどけてゆく心と体。ケンコウランドで出会う女たちのさまざまな生の形。――「いろんなものを流しにくるのよ。家の小さな排水口じゃ流せないものもあるから」と1人の女は言った。「なにを流すの?」「亭主に男」それに、と女は付け加えた。「昔のことは全部流したいねえ」それはなかなか流れてくれない、昔はしつこい、と言った。──本文より
  • 半島へ

    半島へ

    小説・文芸

    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    「海松」を超えた、究極の「半島物語」。東京を離れ、志摩半島を望む町で暮らし始めた中年女性。孤独な暮らしのなか、彼女がそこで見つめたものは? 川端賞受賞作「海松」を超えた、究極の「半島物語」。谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞受賞作! その春、「私」は半島に来た。森と海のそば、美しい「休暇」を過ごすつもりで――。たったひとりで、もう一度、人生を始めるために――。川端賞受賞の名作「海松(みる)」を超えた、究極の「半島小説」 顔を上げると、樹間で朝を待つものたちの気配がした。たぶんメジロやウグイス。どこに巣があるのかわからないが、葉擦れや枝のこすれとは違う音がする。寝覚めの脳に届いたのは身じろぎする鳥たちの気配だったのかもしれない。やがて、森のあちこちに青みを帯びた筋が差しこむ。樹間に広がる光の筋は、やがて明るい金色を帯びていった。途端に森の奥から、鳥の声がにぎやかに聞えてきた。なかに「リッカ、リッカ、ピイィ」と鳴く鳥がいる。そういえば、今日は立夏。東京から半島にきて、もう一ヵ月がたっていた。――<本文より> 第47回谷崎潤一郎賞受賞作 解説・木村朗子
  • 猫に満ちる日

    猫に満ちる日

    小説・文芸

    3.0
    1巻2,200円 (税込)
    出会ったころは掌に載るほど小さかった子猫は、二十年近い歳月を経て死が近い。老いと病で苦しむ猫を懸命に介護する「私」。 猫との日々を思い、係累や友人の死に様が脳裏をよぎることもある。夫と別れ、懸命に仕事をしながら住処を転々と移っても猫は一緒だった。 猫と暮らしつづけるため、東京中を歩き回って見つけた都心に近いマンションの一室を購入して数年後、猫の老いが始まっていた。 檻のなかに籠もるような「私」と猫の住む部屋に男友達が訪ねてくることもあったが、やがて離れていった。「私」はいつしか猫を殺してしまいたいほどの愛着を抱いていた。 休暇を取り、猫と冬の海に赴いた「私」。猫はキャリーバッグから這い出て、残りすくない生命力をふりしぼって岩場でマーキングをする。「私」は自分が大地の一部になったような快感に浸る――。 生命のリアルと根源をリリカルに描く傑作連作小説。
  • 新装版 エンドレス・ワルツ

    新装版 エンドレス・ワルツ

    小説・文芸

    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    2014年八月に逝去した、作家・稲葉真弓の名作。阿部薫と鈴木いづみとの凄絶な愛の軌跡を描いた、女流文学賞受賞作。解説、小池真理子。
  • 声の娼婦

    声の娼婦

    小説・文芸

    3.0
    1巻1,617円 (税込)
    ひとり都会に暮らす女たちの様々な心の風景。埋められない孤独と断絶感を抱きながら、都会の片隅にひとり暮らす女たち。結婚、仕事――揺れ動く心のかたちと生きかたを細緻な筆で描く秀作集。
  • ガーデン・ガーデン

    ガーデン・ガーデン

    小説・文芸

    3.0
    1巻1,771円 (税込)
    女たちが戯れるエロスの庭。そこに咲く花には顔がなかった。奇妙な"消す"仕事から、夫婦の性と孤独、危うい愛のかたちが見えてくる。秀作集。「ガーデン・ガーデン」/「クリア・ゾーン」/「春の亡霊」。3篇収録!
  • 唇に小さな春を

    唇に小さな春を

    小説・文芸

    3.0
    1巻495円 (税込)
    人生のパレットに置かれた様々な色の物語。 川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞した、ショート・ストーリーの名手による珠玉の小説集。 生と死、光と闇の間に遍在するさまざまな色。私たちにあまりに身近でありながら日頃意識することのない、ふとした瞬間にたちあがるひそやかな色。様ざまな事象が醸し出す「色」が小さな愛おしい物語を静かに語りかけます。 単行本未収録の、色のある掌編も3編収録。 「青」「桜」「黄緑」「オレンジ」「白」「黄金色」「銀」「紅」「朱鷺」「紫」「藍」などの色彩をまとった18編の短編と、3つの掌編からなる色彩のハーモニーをお楽しみください。
  • ミーのいない朝 愛する猫との二十年

    ミーのいない朝 愛する猫との二十年

    小説・文芸

    -
    1巻880円 (税込)
    愛猫ミーとの出逢いと別れを通し、深い絆を描いた感涙のエッセイ。初版刊行から26年を経て、海外メディアの注目が高まり世界的なベストセラーに!不朽の名作、待望の新装版。巻末に新たなエッセイ収録。
  • 午後の蜜箱

    午後の蜜箱

    小説・文芸

    -
    1巻1,771円 (税込)
    しんと静まった闇の中に、五十数年生きている真琴とほんの少しだけ若い私がいて、しかし私たちは少しも自分のことがわからないのだ。男と出会って一緒に暮らしたりささいなことで別れたり、やっぱり一人がいいと言ってみたり、一方ではどこか別の場所で生きることを夢みたり。そのわからない自分の姿を、もし見られるものなら見たいという真琴の願いが私にもすんなりとわかるのだ。――(本文より)
  • 環流

    環流

    小説・文芸

    -
    1巻1,881円 (税込)
    かおり 16歳、高校生。演劇部所属。"幼なじみ"室田剛と"転校生"服部至の間で揺れる青春真っ只中。詩子 49歳、小学校の栄養士。地元の特産物を使った料理の「試食会」を主催。13年前に夫・昭彦と死別。ひな 76歳、華道教師。39年前に夫・孝二郎と死別。20歳の嫁入り以来、浮久町に住み、上げ舟を守る。祖母はここに嫁ぎ、母はここから出たことがない。そして、私は――母娘3世代、本当の大河小説。

ユーザーレビュー

  • 砂の肖像

    Posted by ブクログ

    珠玉の短編集。あなたに宝石を贈ります。

    帯に書かれた言葉を見たとき、何だかありきたりの売らんかな言葉だなあと思った。

    読み終わって「あなたに宝石を…」の意味はもとより、本当に透き通った鉱物の美しさが詰まっていたと思う。
    途中、何度もため息が漏れた。息をつめて読んでいたのだろう。

    15年一緒に暮らした大切な猫をおくった時、出会った作家だった。この人は解ってくれると思った。
    もっとたくさんの作品を書いてほしかったけど、今、向こうの世界で、青白い大きな蟹やM氏と笑いあっていればいいなと思う。

    0
    2015年01月02日
  • 半島へ

    Posted by ブクログ

    タケノコ処理の描写、かつて祖父母と共に行ったタケノコ掘りを想起させた。当時の私は小学生。タケノコに向き合う様な集中力を有していたかは疑問であったが、少し伸び過ぎた黄緑の竹の間を歩き回り少しだけ盛り上がった土を探す事に躍起になった事実があった。細長い天まで伸びる竹から生える小さな小枝が空の青と馴染んでいた。しかし当時の私は空になんて見向きもしないで、地面だけを見続けていた。タケノコ掘りに来た私にとっては、空にタケノコは生えていないのだから。幾つもある祖父母との思い出の中でも、何故か記憶に強く残り続けるその景色を再び思い出させてくれた。

    野生動物が行き交う森を、都会の清潔さや人工的な秩序とは正反対の存在であると言い、グリム童話などの中世の森の扱われ方との比較が行われている。かつて(中世)は自然のシェルターであった森は見る影もない。樹間の暗さ、鳴き続ける動物、湿った土そのものが人間を殺してしまう事もある。日本における森の扱われ方は、愛すべき自然の姿そのものであろう。世界に認められた日本の自然は森の姿であるため、現実世界でも創作の世界でも森というものは手放しに神秘的に描かれる事の方が多いと思う。そして本書もまた自然を描き、その美しさに惚れ惚れする。しかしそれは自然のありのままを描いたものなのだ。良いところも悪いところも描いた本書は信頼できる。

    語り手は分譲住宅に住んでいた人に対して、語り手が感じている森の良い姿は、その人にとってまるっきり反対に感じられていたのだろうと考えた。そして、そんな姿は世間的に見ても魅力的とは言い難いもの。しかし、それが良いのだと言う。四方八方どこに続いているかも分からない森が良いと。だが、そんな語り手は大好きな森で白骨死体が見つかった事があると知る。現場を見た語り手はその事実をメモに残さなかった。自分が心底好きな場所においても、好きになれない部分はある。事件があったと知ってから、現場を確認するまでの語り手の心情がひどく切実に伝わってくる。大好きな森を顔も知らない誰かに穢された屈辱、本当にそんな事件が起きたかどうかの疑い、そして恐怖。語り手はその事件を溺れ谷と称した。地盤の低下によって生まれてしまった湾を、語り手は忌々しく思う。当たり前のようにそこに存在した景色が外部からの影響によって変化してしまったから。語り手が好きでいる森を違う存在へと変化させてしまったから。都会でも森でも、溺れ谷が存在してしまうのだな。

    数多のカニに思いをはせるシーン。語り手は自身の庭に住み着くカニたちが、今年生まれたばかりのカニなのか数十年生きたカニなのか、或いは数千年前なのか分からなくなっている。コレこそが森や自然の醍醐味というか、抱くべき感想に近いんじゃないかと思う。それが自然か人工かはとりあえずさておき、森を歩くとき私は、その木々や草花が私よりも先輩なのかどうかや、どれくらいの年月をこの地で過ごしてきたのかを考える事がある。動かぬ存在である木に対しては少しだけ抱きにくいかも知れないが、本文のように動いている生き物に対しては考えやすい。大きいなとか元気だなとか見たことない生き物だとか。自分とは全く違う場所で生きてきた生物や自然に思いをはせる時間は嫌いじゃない。

    森は無数の顔を持つ。語り手はそのひとつひとつを見せてもらうたび「発見」だと言い、心躍らせた。見た目とは裏腹に高い耐久性を持つ地形、綺麗な水が湧く湿地、無数の咽喉に見える赤い藪椿、そして遠ざかっていく数多の木々が立ち尽くす森。しかしながら彼女はまだまだたくさんの顔を見ることになるだろう。その中の一つに、彼女を出迎えてくれる森の姿があれば良い。

    0
    2026年08月31日
  • 半島へ

    Posted by ブクログ

    節季ごとに、自然の営みを観察し、それらに抱かれ、揺られながら、志摩での生活を描いている。なんとも言えない普通の日常が、特に盛り上がりもなく描かれているので、ゆっくりとしたうねりのような自然のリズムと一体感のある作品だと感じた。

    0
    2025年06月03日
  • 水の中のザクロ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    声が流れていると何も手につかなくなる。いらいらして、誰かを怒鳴りたくなる。でも声が聞こえなくなると、とたんに不安になる。妹の中でなにが壊れ、何を救えなかったのか考えてしまうんです。いまさらこんなことを言うなんて、本当にばかみたいだけど・・・・。ねえ、ありません?足元に割目が走るような気分。


    うまく言えないけど、私だって、ときどきは、ありますよ、いきなりもういやになること。理由なんかないですよ。突然、自分の中からこれまで知らなかった自分が起き上って勝手に歩き出しそうになること。そういうの、変ですかね。


    長くそこにいれば、踏みしめられて固まる場所と、少しずつ崩れていく場所がある。果物の皮の破れが、見る間に腐蝕を広げるように、人にも一点の染みが勢いづき、足元から黒々と広がっていく時があるのかもしれない。濁りが、美しく見える時だってあるだろう。


    私の脳裏を、これまで他人ごとだと思っていた失踪という言葉と、これも他人ごとだと思っていた失踪者たちの話が現実味を帯びて、いくつも通りすぎていった。


    「でもね、見せたくないものはあるわ。私、お腹と足の裏だけは人に見せるのはいや」
    またからかうような笑いがあり、やや大きな耳が耳をかすめる。「大丈夫、女は絶対にこういう場所は選ばない。大の字になる場所を無意識に決めているのよ」
    大の字でもいいのにと、見知らぬ女の声に意識の一部が反応する。


    「ああ、あなた、ザクロと言えば鬼子母神です。子の肉を食べたがる女の話。女だけではない、親は、みんな子の肉を食べるんです」


    みな私の知らない顔、秘密を隠した植物ばかりだった。ローズマリーは死者の墓標に飾られる花、ゲンノショウコは不老草、オキナグサは強心剤、可愛らしいキク科のカミツレは強壮剤。萓草の項では視線が止まったまま動かなかった。あの可憐な花に、強力な解毒作用があり、飲むと突然酔っぱらい、なにもかもを忘れてしまうというのである。それで萓草はワスレグサと読み、忘憂とも称すると小さな文字は告げていた。
     私は草の秘密を次々にあばいていく。同時に、自分の体が湯の中で吸ったであろう草の効用について考える。


    ある日の私は、パリの場末のカフェの木のテーブルに刻まれた、美しい文字を見ていた。「1944/8」。若い革命家たちのたまり場だったというそのカフェの、パリ解放のときの記念の文字だが、刻んだ人はわからない。モノクロの写真の中から浮かび上がるものに、温度を感じるのはこういうときだ。私はうっとりと文字を見ている。うらぶれたカフェを通りすぎた時間が、そのテーブルに座った人に「生きよ、闘え」という声を運んでくるのが聞こえるような気がするのだ。


    「ここを、人と歩くのは初めてです」とセンセイは前を見ながら言った。「人と一緒に歩いてみるとわかりますが、ひとりではたくさんは歩けないものです」


    「あの猥雑さ、汗のにおい、どこから来て、どういう職業なのかわからない人たち。競艇場もそうです。これまで一度も足を向けたことはなかった。私には禁欲や秩序だけが大事だったんです。橋はね、そういう私にとって、曖昧さのない唯一のものだった。でも、今は違います。妙なもので、一度裸になるとずっと裸でいたくなる。人の体はね、いろいろなものを、例えば家系や学歴や職業、財産の額や経歴をやたらくっつけて歩きたい欲張りな箱なんです。私もずっとそうだった。私はそういう箱に息子を飲み込んでしまった親なんです」


    「これから先は、一緒に散歩のできない場所。ああ、それから、今日の散歩が迷惑でなかったら、一度河口に行ってみて下さい。いいことがあるかもしれない」

    0
    2017年10月14日
  • 砂の肖像

    Posted by ブクログ

    静謐な文体。砂のように、石のように、心の奥深く沈んで、取り出そうと思った時にしっかりとした手応えを感じさせるような……。

    略歴を読んだら『午後の蜜箱』の作者でもあった。さらーっと読んで忘れていた。

    「砂の肖像」が良かった。「掲示板」で知り合い手紙でつながる、会ったことのない人との濃密な関係。ミクシイ仲間とのレビューつながりとだぶって共感するところが多かった。


    作成日時 2007年06月02日 09:46

    0
    2009年10月04日

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