稲葉真弓のレビュー一覧

  • ミーのいない朝

    涙がぼろぼろ💧

    わが家にも猫が1匹います。現在、多分4才位です。多分と書いたのは、保護団体から譲りうけた猫だから。まだ若いけどいつかは来るだろう別れの日。私にも耐えられないと思います。涙をぼろぼろ流しながら読み終えました。
    わが家はマンションの三階です。今度、リードを付けて散歩に連れて行こうと思っています。
    沢山・...続きを読む
  • 砂の肖像
    珠玉の短編集。あなたに宝石を贈ります。

    帯に書かれた言葉を見たとき、何だかありきたりの売らんかな言葉だなあと思った。

    読み終わって「あなたに宝石を…」の意味はもとより、本当に透き通った鉱物の美しさが詰まっていたと思う。
    途中、何度もため息が漏れた。息をつめて読んでいたのだろう。

    15年一緒に暮...続きを読む
  • 半島へ
    だいぶ以前に読んだ作品だが、心に残る。三重県の海の先の辺鄙な土地に家を建て、時折都会から逃げるようにやってくる作家。少しづつ庭を整備し、周りの人々と付き合い、老いた母の心配をしながら、ここで暮らすひととき。小さな世界かもしれないが、終の棲家はこんなところが良いなあ、と思わせる作品。
  • 半島へ
    真っ白の装丁に風景の写真の帯があまりにも素敵で手にした本。
    最近、装丁買いばかりのような気もするけど、また、静かな素敵な文章を書く方を知り、うれしい。
    最近は、一気にものすごいスピードで本を読んでしまうことが多いのだけれど、この本は本当にゆっくりゆっくり読んだ。
    気負うことなく、日々を淡々と過ごす中...続きを読む
  • 半島へ
    東京暮らしから田舎暮らしへと移っていく主人公が
    他人事でない感じがして。。
    「農業に使うカレンダー」をわたしも歳を取ったら使ってみたいと思う。

    10年後とかにまた読み返したい本。
  • 半島へ
    人生の中の、ひと時の休養・・・志摩半島での一年の暮らしぶりを四季の六倍のグラデーションで表現する暦、二十四節気に准えながら書かれた小説です。初老の扉の前に立ちながら志摩半島の自然の中で人生の侘び寂びと共に綴られていきます。人生の甘い辛いも噛み分け山谷も知る 主人公の 『私』 が異なりて遠からぬ近隣の...続きを読む
  • ミーのいない朝
    1977年、子猫はフェンスの穴から落ちないようにしがみついていた。
    稲葉さんと愛猫ミーとの愛しい日常を描くエッセイ。
    何をするのもミーを優先。
    そのため、夫とは別居のちに離婚となる。
    P85〈私はひとつを失い、別の場所へと移行する〉
    それは誰にも止められない。
    ミーに支えられてきたが、その日常の終わ...続きを読む
  • 半島へ
    東京のマンション住まいをしている主人公は、三重県志摩半島で一年近くを過ごす。そして、東京を引き払って引っ越すことを決意するのだった。
  • 半島へ
    東京から半島へ。都会から田舎への乗りとは全く違う。東京のスピードとは違う自分にふさわしい速度とは、生き急がない速度。でもいざ東京を離れる時の思いは望郷の念と表裏一体。なんか分かる気がする。
  • 半島へ
    最近島とかジャングルとかあまりなじみのない自然を描いてある小説ばかり選んでしまっている。著者の自伝的な小説なのだろうか。稲葉真弓の作品を初めて読んだしプロフィールもほとんど知らない。ただ「半島」に惹かれた。自分がこのような生活をしたいとは思わないんだけど読んでいる分には心地いい。それにしても人間ここ...続きを読む
  • 半島へ
    梨木香歩が好きな人は好きそう。中年の女性の伊勢半島での十二ヶ月を描いた本。落ち着いた穏やかな空気が流れていて、読んでいるとほっと一息つける。
  • 水の中のザクロ
    声が流れていると何も手につかなくなる。いらいらして、誰かを怒鳴りたくなる。でも声が聞こえなくなると、とたんに不安になる。妹の中でなにが壊れ、何を救えなかったのか考えてしまうんです。いまさらこんなことを言うなんて、本当にばかみたいだけど・・・・。ねえ、ありません?足元に割目が走るような気分。


    ...続きを読む
  • 半島へ
    どこか艶っぽい稲葉さんの文章で表される半島の様子。
    「年取ると花鳥風月に惹かれる」とか「自然の元気をもらう」とか
    そういう手垢のついた言葉とは無縁な、もっと突き動かされる感じが、
    淡々としみじみと、でも押し付けがましくなく伝わってきてよかった。

    海松も読んでみたい。
  • 半島へ
    前作の「海松」もそうだったが、もう少し年齢を重ねてから読んだほうが、その良さが分かるのではないか、と思いながら、淡々と読んでいた。

    終盤にさしかかり、主人公の女性(おそらく作者)が、人気のない海岸で、一人海水浴を楽しむあたり、力をいれなくても、浮力だけで人は生きていける、ただじっとしていればどこか...続きを読む
  • 半島へ
    海松の続編といえる作品。
    年を取るとともに価値観が変わり、居を移す。
    その場所で自分らしく生きていけるなら素晴らしい。
    自分のこれから先がどう変わっていくか、
    考えてみると興味深い。
  • 砂の肖像
    静謐な文体。砂のように、石のように、心の奥深く沈んで、取り出そうと思った時にしっかりとした手応えを感じさせるような……。

    略歴を読んだら『午後の蜜箱』の作者でもあった。さらーっと読んで忘れていた。

    「砂の肖像」が良かった。「掲示板」で知り合い手紙でつながる、会ったことのない人との濃密な関係。...続きを読む
  • 自殺者たち 一日一死
    自殺者と書かれているがそうでない人も混じっている。
    だからナンて事はない。明治から昭和・平成までに範囲が及んでいて普通に面白く読める。
  • 半島へ
    日本の中程のひっそりとした
    「半島」での生活
    それまでの人生
    田舎暮らしのYouTubeをずっと見ているような
    小説でした
  • 半島へ
    半島で過ごした女性(50〜60代?)の一年間を描いている。自然にあふれる周りの環境と一体化し、やりたいことだけをやって過ごす毎日。
    最終的にこの半島を終の住処とするに至る心情を、自然描写や周囲の人々との関わりを交え綴っている
    この女性の過去やら人間関係を深く掘り下げて語られる事はない。
    そのうち何か...続きを読む
  • 声の娼婦
    ・「やっぱり振り込みにはしない。俺、結構楽しみなんです。大家さんに会うの」
    雛子は黙って須山の顔を見ていた。彼は高い位置から雛子を見下ろしながら言った。
    「楽しみっていうのは変かもしれないけど、俺、大家さんに会うと、姉の家を訪ねているような気分になるんです。なんていうのかなあ、怒らないでほしいんです...続きを読む