稲葉真弓のレビュー一覧

  • 砂の肖像

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    珠玉の短編集。あなたに宝石を贈ります。

    帯に書かれた言葉を見たとき、何だかありきたりの売らんかな言葉だなあと思った。

    読み終わって「あなたに宝石を…」の意味はもとより、本当に透き通った鉱物の美しさが詰まっていたと思う。
    途中、何度もため息が漏れた。息をつめて読んでいたのだろう。

    15年一緒に暮らした大切な猫をおくった時、出会った作家だった。この人は解ってくれると思った。
    もっとたくさんの作品を書いてほしかったけど、今、向こうの世界で、青白い大きな蟹やM氏と笑いあっていればいいなと思う。

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    2015年01月02日
  • 半島へ

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    節季ごとに、自然の営みを観察し、それらに抱かれ、揺られながら、志摩での生活を描いている。なんとも言えない普通の日常が、特に盛り上がりもなく描かれているので、ゆっくりとしたうねりのような自然のリズムと一体感のある作品だと感じた。

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    2025年06月03日
  • 水の中のザクロ

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    ネタバレ

    声が流れていると何も手につかなくなる。いらいらして、誰かを怒鳴りたくなる。でも声が聞こえなくなると、とたんに不安になる。妹の中でなにが壊れ、何を救えなかったのか考えてしまうんです。いまさらこんなことを言うなんて、本当にばかみたいだけど・・・・。ねえ、ありません?足元に割目が走るような気分。


    うまく言えないけど、私だって、ときどきは、ありますよ、いきなりもういやになること。理由なんかないですよ。突然、自分の中からこれまで知らなかった自分が起き上って勝手に歩き出しそうになること。そういうの、変ですかね。


    長くそこにいれば、踏みしめられて固まる場所と、少しずつ崩れていく場所がある。果物の

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    2017年10月14日
  • 砂の肖像

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    静謐な文体。砂のように、石のように、心の奥深く沈んで、取り出そうと思った時にしっかりとした手応えを感じさせるような……。

    略歴を読んだら『午後の蜜箱』の作者でもあった。さらーっと読んで忘れていた。

    「砂の肖像」が良かった。「掲示板」で知り合い手紙でつながる、会ったことのない人との濃密な関係。ミクシイ仲間とのレビューつながりとだぶって共感するところが多かった。


    作成日時 2007年06月02日 09:46

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    2009年10月04日
  • 自殺者たち 一日一死

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    自殺者と書かれているがそうでない人も混じっている。
    だからナンて事はない。明治から昭和・平成までに範囲が及んでいて普通に面白く読める。

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    2009年10月04日
  • 半島へ

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    ネタバレ

    タイトルから朝鮮半島をイメージして南北分断についての小説かと思っていたらまったく異なっていて志摩半島であった。そこで1年間東京から移動してきて住んでいた時の日記形式になっている。宮本百合子の富士日記にようなものを意図したのかもしれないが、あまりにも事件がなく、日々の生活を描いたものである。

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    2024年10月27日
  • 新装版 エンドレス・ワルツ

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    阿部薫のファンなので読みました。
    鈴木いづみ目線で語られる、二人の激情的で悲劇的な愛の物語。

    60年代を凝縮したような神経質な頭脳と、極端な幼児性が入り混じり、生真面目さゆえに社会を拒絶する事で、阿部薫があのような音が出せたのだと思いました。

    天才だとか伝説だとかキャッチーな呼び名でよく言われがちですが、阿部薫や鈴木いづみはあくまでも極端な幼児性とアウトサイダーとしての教訓であり、高柳昌行や灰野敬二のような、理性で逸脱するような人間が本当の芸術家だと言いたい。

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    2024年06月11日
  • 声の娼婦

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    ネタバレ

    ・「やっぱり振り込みにはしない。俺、結構楽しみなんです。大家さんに会うの」
    雛子は黙って須山の顔を見ていた。彼は高い位置から雛子を見下ろしながら言った。
    「楽しみっていうのは変かもしれないけど、俺、大家さんに会うと、姉の家を訪ねているような気分になるんです。なんていうのかなあ、怒らないでほしいんですが、勝手なことをして、糸が切れたような気分で生きている弟がいて、真面目に生きている姉がいるとします。俺、なんだか、ふっと思うんですよ。大家さんを見ていると、地面とつながっているなって。俺の姉もそうなんです。地面とつながっていて、ずっと田舎にいる。いつも俺に向かって言うんです。帰ってこんかい。帰ってこ

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    2016年11月14日
  • 唇に小さな春を

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    表紙買いをしてみました。

    あらすじ的な部分が川上弘美さんに近そうな雰囲気だったので
    読めるかなぁと思たのですが、
    ビンゴ!な感じでした。

    小短編がたくさん入っていて読みやすいし
    ベタベタな感じでなく、ちょっと浮世離れした雰囲気もあり
    読み始めて直ぐに他の作品も読んでみようと思えました。

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    2012年02月18日
  • 唇に小さな春を

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    人生で巡り合う全ての場面は必ず何らかの色を帯びている。ささやかな日常の中にキラキラと輝く瞬間があって、それらは様々な色彩を放っているのです。何色なのかはそこに居る人の感性が決めるもの…心が温かくなる短編集です。

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    2012年02月13日
  • ガーデン・ガーデン

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    【目的】

    【引用】

    【感じたこと】
    匿名性の高い男女の性の解放に関わる女3人。
    人はみなオープンになることで開放感を味わう。

    【学んだこと】

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    2009年10月04日