香坂直の作品一覧
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Posted by ブクログ
予想できなかった良い小説。まさか、48歳にもなって、中学2年生の頃、あの煩悶とした生活をリアルに思いだすことになるとは!その追体験をさせてもらっただけでも、この小説値千金の値打ちあり。
読み始めた時は「あちゃー、選択間違ったわ。これジャリ向け恋愛小説や、コバルト文庫のB級的なアレや」と後悔したんだが、1つめの短編読み終わってびっくり。
「ちゃう、これコバルト文庫のB級的なアレ手法でスゲーとこに入り込もうとしてる小説や」と感じ出す。
そして、残り4つの短編をのめり込むように読む。中学2年生の恋愛友情沙汰を、もうすぐ50になるおっさんがのめり込むように読むって、キショいやろ。でもキショなってまうくらい、読めんねん。
なんでか分かるか?記憶の奥底に埃かぶって沈んでた30年以上も前の経験・体験がブルブルよみがえってくるねん。気持ちが分かるねん。たった250Pほどの薄い文庫本のスカスカの活字が、そんな作用もってるねんぞ。スゲーと思わんか?
中学2年生を経験したことのある、男女全員にお勧め!
熟して腐りかけの加齢臭的すっぱさじゃなく、若くて青いすっぱさ、わずかな時間とはいえ取り戻せますよ!気分だけでも…やけど。
Posted by ブクログ
中高生の繊細な時期を描いた短編小説集。
アンソロジーなので著者は異なるが、小中高校生にも読みやすいようにシンプルな文体で構成されている。
部活や恋愛など甘酸っぱく爽やかな思春期らしい話もありながら、最後の話「リーシュコード」はなかなかに重い。
繊細な年頃ならではの闇や、個人である前に大人―主に家族によって人生を変えられていく様が描かれている。
個人的には「時限の友」という物語が強烈だった。消滅性人格転換の障害を持つ友人と主人公の話で、記憶を忘れていく友と何度も友になる主人公の真摯な姿勢が、素敵だとかで済ませられない痛々しさを伴い、とにかく切ない。その姿は、人生の美しさと儚さと理不尽さを凝縮させたよう。下手な恋愛小説よりも切なく、安い青春小説よりも真の友情が描かれていた。
最初の二話を読むと、「自分もあの頃は良かった」と思わず零したくなりそうで、逆に最後の話を読むと、「本当はそんな陳腐な言葉で片付けられる時期じゃない」と言われているような気にもなる。
共通するのはやはり「エール」。葛藤する主人公たちや誰かを応援したくなったり、自分も頑張ろうと思える読後感が良い。