崔実の作品一覧
「崔実」の「ジニのパズル」「pray human」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「崔実」の「ジニのパズル」「pray human」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
子が、自身の置かれた環境に、状況に、そしてその背景に。幾つかの違和感を覚え、間違い探しに勤しむしかないのならば、それは、子よりも大きな存在の仕業である。そして、ようやく問題を見つけ出す事ができた子が、取り得る選択肢はたったの一つ。乏しい力を持って、精一杯の反抗を見せるのみ。ましてや、同じ場に居た同士の中で、その子、たった一人しか気付いていないならば、なおさらだった。
ジニは、革命家の卵であると自身を位置付けた。そうするしか、自身を、友人を、大切に思う彼を、守る方法はなかったから。避けられるから頑張ろう、なんて言うのは机上論で、避けられないから我慢しよう、なんて言うのは身勝手。世の中そんなもん。特に幼い子供にとっては。自らの意思で、自身の行動を決定することはあれど、自身の姿形や、コミューンを決めることは難しい。大概は大人がやるから。そして、そんな事実との間に軋轢が生じ、革命を起こしたジニの心境は、自身の母方の祖父に対する手紙に記された。
「もし、目の前で、子供たちが辛い思いをしているのだとしたら。もし、大人たちが持っているプライドを少し捨てることで沢山のことを解決できたとしたら」
「私は、何をしてしまったの。私は、どうしたらいい。私が立ち向かうべき相手は、いったい何処だったの。誰だったの。間違えていたの?」
「朝鮮学校は、リスクを抱えても通いたい者のための学校だったのでしょうか。疑問を抱えた人間は、黙って立ち去るしかないのでしょうか。でも、学校に通うリスクって一体なんなのでしょうか」
ジニは何一つ分かっちゃいない。それはこの手紙に描かれた疑問文の数から分かること。そして、彼女の周りにいる大人もまた、何も分かっちゃいない。多くの人間が何も知らないまま生きている。何も知らないまま社会を構成している。そんな世の中で必要なのは、自身に降りかかる、自身の過去を、受け止めること。逃げられない過去を、受け入れること。落ちてくる空を、ジニは受け入れた。
Posted by ブクログ
日本の小学校、朝鮮の中学校、アメリカの高校といった異色の経歴を持つジニ。
僕自身在日韓国人で、中学まで朝鮮学校に通って高校から日本学校に通った。
だから、ジニの心情なり肖像画の違和感がとてつもなく共感できた。
ただジニの感受性の豊かさは僕より全然豊かで、「確かに言われてみれば、あれっておかしかったよな?」って思うことが多々あった。
視点が鋭いだけでなく、非常に批判的見方である。
確かに僕の周りにも一定数、そういう子がいた。
しかし僕みたいな学生が大半であり、みんな「韓国人なのに、なぜ朝鮮学校に通っていたのか?」と聞かれると答えれなかったし、親が通わせたからという質問しかできなかった。
そのくらい、在日社会は伝統を重視していて、外者を排除する傾向が強いと思う。
一方でその分団結力も凄いし、それは今までの歴史をみればわかるし、現に僕らが未だ朝鮮学校に通えてることがそれを証明している。
また1990年代当時はまだまだ在日韓国人に対する、ヘイトがたくさんあった時代だった。
しかし、反骨精神丸出しの主人公はそれに屈することなく、大人や社会に立ち向かった。
それも中学生にしてだ。
どの国に行っても、在○外国人は存在していて、そこでその人達が、現地人から差別や不平等を被る。
しかし、その中で闘っていかないと、皆が結束して社会において地位、権利を得ないとその国における外国人のコミュニティはなくなるのだ。
そして、現に2023年の在日同胞社会は崩落寸前とも言われていて、生徒数も激減している。
だからこそ、どうにかしないといけないし、僕が通っていたからこそなくなってほしくない。
在日同胞社会の闘いはまだまだ続く。
Posted by ブクログ
目を逸らしてはならない。今ここで進んでいる歴史は大人たちの責任だろうか。それは否定しない。でも、子供だからなにもできないなんてことがあるだろうか。私たちは誰もが革命家の卵だ。自分以外の星が輝いてくれるから、影も必要?そんなことはない。自分の非力さに、抗う相手の大きさに、怯みたくない。間違っても、受け入れればいい。なにもしない自分で胸を張って生きられるか。
私たちの出すこたえや考えは二択ではできていない。敵の敵は味方だろうか。本当に同じ立場にあるのだろうか。世界はもっと複雑にできている。理解できないから、誰かにとって都合のいいものであって欲しいから、そんなふうに単純化したせいで、より複雑になっている。大事なものが見えなくなっている。核心から逃げれば逃げるほど、本当に向かい合おうと決意したときに、その距離に後悔するだろう。
Posted by ブクログ
この本の感想を書くのは難しい。
それはたぶん「この本の感想を書くのは難しい」と書くことにさえ、なにか間違っているような気がしてしまう自分自身への違和感のようなものに起因するような気がする(ごめんなさい、本当にどう書いてよいか書きようがない)。
それはつまり「日本人」である自分は、この本に物語られた「在日朝鮮人」のボイスをどのように受け止めていいのかわからないという戸惑いから来ているようにも思う。
気になったから色んな人の感想を読んでみた(普段はそんなことしない。小説を読んでどんな感想を持とうが、それはその人の自由だと思うから)。
良い評価をつける人の多くは、この本に書かれた荒々しく、生々しい感情に圧倒されたようだ。あるいはジニの立ち場に共感したようだ。
逆に悪い評価をしている人は、どうやらここに表現されたものに共感できなかったようだ。そして違和感よりも嫌悪感を持ったみたいだった。
僕も、正直、共感は、できない。
積極的に読むのがしんどい箇所もあった。
でも拒否もできない。
いや、拒否してはいけないような気がする。
それが感想。
こんなことを書くと、「いいカッコするな」とか「偽善者」とか言われそうだ。
だからこの本の感想を書くのは難しい。
というより怖い。
どんなことを書いても、「お前は間違っている」と言われそうだし、言われたら反論できない。
そう、たぶん、僕は間違っている。
( Amazing. Every word of what you just said was wrong. )
というわけで感想終わり。
僕の良い本の基準は、それを読んでどれだけのことを考えさせられたか、あるいは棘のようなものを感じて立ち止まらざるを得なくなったか、なので、その観点からは間違いなく面白い本です。
あとはご自分でお確かめあれ。