作品一覧

  • 狂人たちの世界一周
    4.1
    アポロ8号の有人月面周回がなされた1968年。地上では、ヨットによる無寄港世界一周レースという、無謀かつ歴史的な偉業に挑んだ男たちがいた。レースはスポンサーによって《ゴールデン・グローブ・レース》と名づけられた。 5000ポンドの賞金を賭けて、海軍少佐、商船船長、船乗り、素人のビジネスマンなど様々な経歴の9人が参加。最終的にただ1人がゴール、残りの8人は脱落、遭難、失踪するという異様な結果となった。 「嘆かわしいまでに正常」なノックス=ジョンストン、放浪に憑りつかれたモワテシエ、謎に満ちたクロウハースト……。 このレースは歴史的偉業として称えられるとともに、海洋競技史上最大の謎「ドナルド・クロウハースト事件」としても、人々に長く記憶されることになる。 通信衛星や電子測位システムが登場する前の時代に、人間の限界を試したいという強迫観念に突き動かされた男たち。想像を絶する過酷な海にあって、決断が生死を分ける緊迫した場面の数々。 ちっぽけなヨットに乗った9人の男たちは、史上最長の、最も孤独な航海になぜ旅立ったのか? 絶望の淵へと追われた彼らの運命は? 成功と破滅を分けたものとは? 成功と破滅に翻弄された彼らの運命に迫る、傑作ノンフィクション。 ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナル、ガーディアン、パブリッシャーズウィークリーほか各紙絶賛!! 装丁:木庭貴信・岩元萌(オクターヴ)

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  • 第三帝国を旅した人々:外国人旅行者が見たファシズムの勃興
    4.0
    1巻4,356円 (税込)
    歴史的事件を見聞した人々の肉声が蘇る 第一次大戦後まもない1918年から第二次大戦終結の45年まで、とりわけナチスの勃興から隆盛時のドイツ社会と歴史的事件や出来事について、第三帝国を訪れた各国からの旅行者、外交官、政治家、ジャーナリスト、学者、ベルリン・オリンピックに参加した外国人選手らの残した日記、手記、記事、回想録などを集め、その肉声を再現する歴史書。 著者は、戦後の知恵や常識に汚されていない、その時その場で書き記された一次資料を蒐集し、第三帝国に対する直接的で、正直な「呟き」をタイムカプセルのなかに閉じこめた。歴史的、客観的判断とは無縁かつ自然体で記録された、有名無名の180人の率直な反応や意見は、現代社会のSNSに相当するだろう。逆説的な言い方をすれば、むしろ井蛙の見であるからこそ興味深いとも言える。 一般人が旅行者や生活者の立場で、街路・宿舎・自宅で感じ、考えた、手垢のつかぬ生々しい記録を基に、「ファシズムの勃興」を再構築してみせた画期的な作品。統制と迫害、侵略と戦争へ徐々に歩み始める第三帝国と現代社会を重ねてみるのは、考えすぎだろうか。地図・口絵写真・旅行者人名録収録。
  • 上海フリータクシー:野望と幻想を乗せて走る「新中国」の旅
    4.0
    1巻2,673円 (税込)
    米公共ラジオ局の特派員として上海に赴任した著者は、市井の人びとの生の声を聞き出すべく、無料のタクシーを走らせるというアイデアを思いついた。話を聞かせてくれれば、運賃はもらわない。 どういう素性の人が乗ってくるかわからないタクシーという乗り物の性質上、取材対象となる乗客のバックグラウンドは実に多様だ。知識人もいれば、そうでない人もいる。地方出身の出稼ぎ労働者、大都市で生まれ育った人、恵まれた人、恵まれない人――さまざまな階層や境遇の人たちから話を聞き、彼らのストーリーを重層的に描くことで、今の中国社会の姿を立体的に浮かび上がらせる。 乗車時に語られたストーリーを単に並べるのではなく、乗客のその後を丹念に追跡調査し、ときには海外まで足を延ばして周辺取材を敢行する。一人ひとりがどのような人生を歩んできたのか、中国共産党の強大な政治体制や目まぐるしく変わる経済状況が個人の生き方にどう影響しているのかをつぶさに見ることができる。 中国社会の実情を浮き彫りにしつつ、中国と世界各地が相互に連動し、時代の重要な転換点を迎えていることを暗示する野心的ノンフィクション。
  • 異邦人のロンドン
    3.3
    1巻1,782円 (税込)
    飛行機にしのびこみ、ロンドンへの密航を試みた外国人は、過去26年間で13人。いまやロンドン住民の40パーセント以上が外国生まれだ。そのひとり、通算30年のロンドン暮らしになった著者の目から見たロンドンの実像とは? 学校で露骨に現れる人種差別と、それに抗する人たち。両親にだまされてロンドンへ移住したアメリカ人、中国人。日本人を憎み続けるイギリス人。移民、人種や階級差別、貧富の差……。さまざまな問題を抱えながら、世界から人を集め続けるロンドンの実像を描く。
  • エリ・ヴィーゼルの教室から:世界と本と自分の読み方を学ぶ
    -
    1巻2,970円 (税込)
    現在のルーマニア、ユダヤ教徒の家に生まれたエリ・ヴィーゼルは、少年時代にアウシュヴィッツ強制収容所に送られ、凄惨な体験をして、生還する。終戦後、10年を経て発表した自伝的小説『夜』は、ホロコースト証言の古典として、世界中で読み継がれている。やがて米国に帰化して、様々な平和活動に関わり、1986年にノーベル平和賞を受賞。自らを「教師」とし定義し、ボストン大学などで長年教鞭を執り、2016年に逝去した。 著者は15歳のときヴィーゼルに出会い、ボストン大学に入学、その後、同大学で教育助手としてヴィーゼルの「弟子」となり、5年間、薫陶を受ける。 本書は、ボストン大学におけるヴィーゼルの講義ならびに対話を、7つの章にまとめたものだ。アウシュヴィッツでの体験、文学テキストの解読、歴史・記憶・活動をめぐる議論をさまざまに検討し、読者を啓発する。ヴィーゼルの人生に密着した思想と理論、その神髄が説得力をもって明かされる。 本書は「全米ユダヤ図書賞」を受賞し、読者からも熱い共感を集めている。混迷する現代世界において、とくに学校・教育関係者には、おおいに示唆に富む1冊だ。

ユーザーレビュー

  • 狂人たちの世界一周

    Posted by ブクログ

    ヨットでの単独無寄港世界一周レースといえば、現代ではヴァンデグローブというレースがあります。海のF1みたいな超ハイテクのヨットによるレースですが、本書が取り上げるゴールデングローブレースは、GPSもない1960年代後半に実施されました。参加したのは9名。様々な背景を持った参加者が集ったのですが、中にはまともに外洋でセイリングをした経験が無い人も含まれていました。

    イギリスをスタートし、大西洋を南下、赤道を越えて南氷洋付近を西から東へと進み、アフリカ喜望峰を通過してインド洋、太平洋へと進み、南アメリカのホーン岬を通過して再び大西洋に入り、北上してスタート地点に戻るというコースをたどります。

    0
    2025年05月10日
  • 狂人たちの世界一周

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画「喜望峰の風にのせて」の原題は「The Mercy」。邦題はひどいが映画の内容は衝撃的だった。本書のヨットレースに参加したクロウハーストが主役の映画だ。本書のおもしろさは、まるまる1本の映画では足りないかのようなドナルド・クロウハーストが9人もの登場人物の1人にすぎない!ということだ。濃厚極まる冒険譚が連続する。問答無用のページ・ターナー。9人のヨット・レースを描く1本の映画をみてみたい気もするが、クロウハーストの映画はもうあるので、あと8本みてみたい。モワテシエはドキュメンタリーがあるっぽいけど、あとで調べてみよう。いやーすごいやヨットマン。とんでもない。あまりの面白さに2日で一気読みし

    0
    2024年12月07日
  • 狂人たちの世界一周

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    50年前に無寄港世界一周してたという衝撃
    参加者それぞれのドラマが面白い
    モワティシエのゴール素通りでもう一周は最高
    帯に書かれた自殺者が誰なのか気になってミステリーっぽくも読めた

    0
    2025年04月10日
  • 狂人たちの世界一周

    Posted by ブクログ

    1960年代にあったヨットでの単独無寄港世界一周レースのノンフィクション。
    当時の設備でそんなことを実現した人がいるなんて、まさに狂人。
    ヨットのために全財産を賭け、家族も置き去りにして、自分がどこまで出来るか試す。
    ヨットの操り方を知らないまま参加する人もいたりする、自信ありすぎ。

    ヨット用語と世界地図を1ページごとに見直しさないと理解して読むのが難しかった。
    図がちょくちょく載ってるけど、1回読んだだけやと理解しきるのは無理。
    けどレースの成り行きは分かるから不思議。
    なんとなく読んでいける。

    0
    2025年02月09日
  • 狂人たちの世界一周

    Posted by ブクログ

    船の知識があるならきっともっと楽しめたんだろうけど、そういう知識が全くなくても「なんとなく」読み進められてかつ面白い。
    翻訳ものの常として、登場人物を覚えるまでが一苦労。一通り頭に入ったら、ぐいぐいと物語に引き込まれた。
    ただ、やはり航路が「なんとなく」なので、レース結果が判明している最後付近にその図をまとめていてほしかった。

    0
    2025年02月07日

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