チャーチルという人物に関する著述は、2度ほど手にしたことがある。
しかし、これほどまでにこの人物に惹きつけられた経験は初めてである。
チャーチルという人物を何故ボリス・ジョンソンが書こうとすることになったかの一端は読み終えた今なら少しだけ理解することができる気がする。
世の中に利己主義が蔓延るなかで
...続きを読む、民主主義と資本主義の可能性を信じ、世界平和を願い、これほどまでに果敢な行動をやめなかった政治家は、本当に稀有な存在なのだ。
特に、私が生活する日本において、そのような政治家が明治の選挙制度開始以降どれだけ存在しただろうか。
唯一、田中角栄がその雰囲気があると思えるながら、多くの日本人が同意するように、やはり我田引水の批判を免れることはできない。
広範囲に資本主義と民主主義が世界中を席巻する現代においても、国民の自由な行動を制約しようとする政治システムはあらゆる地域に存在する。
そんな雰囲気を感じるときに、チャーチルが行った行動を通して、危機を乗り越えるために、
どのような行動が問題解決に役立つのか考えることは非常に有意義な思想実験ではなかろうか。
改めて、歴史と人々について勉強の足りなさ、そしてその重要性を実感させられたチャーチル傳であった。
日本においても、多くの人がこの著書を手にすることを願ってやまない。