河添房江の作品一覧
「河添房江」の「新訂 枕草子」「唐物の文化史 舶来品からみた日本」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
本書は大河ドラマで紫式部が取り上げられたころ出版されたが、原著は2008年。
その後の研究成果を盛り込み、改訂増補したとのこと。
川添房江さんの本は、ずいぶん前に読んだことがある。
『源氏物語と東アジア世界』だったか?
著者には申し訳ないが、あまりピンとこないまま読んだ記憶しかない。
が、本書は面白く読むことができた。
「唐物」(当時の輸入品)をキーワードに、それを持つこと、身につけることが物語や当時の社会の中でどんな意味を持ちうるのかが説明されていく。
一般向けに親しみやすい書き方がされているので、まるでカルチャーセンターの講座を聞いているかのようだった。
かつて『源氏物語』や『栄花物語』を読んで、衣装や調度品の描写が延々と続くのに値を上げてしまった。
でも、この本で、例えば唐綾の社会的評価を知ると、中宮定子の積善寺法要の衣装の豪華さが理解でき、『源氏物語』の衣配りの場面では、六条院の栄華を象徴する場面とはいえ、それに匹敵する格の衣装は現れないということを知ると、ちょっと見方が変わってくる。
薫物に関して、源氏物語以外ではあまり特定のお香と四季を結び付ける発想がないという指摘も、意外で印象に残った。
渤海国、高麗(光源氏に「光る君」と命名するのは高麗人という設定になっているが、著者によればそれは天子に相当する呼び名で、帝位につく可能性を失った代償ではないかとのこと)といったネットワークについては、きっと以前自分が読んだ本にあったと思うが、あらためて読むと面白い。
ガラス器については、平安期には厚手で大きなものもt来ることができたイスラムガラスと、それを模倣して宋で作られたガラスがあったということで、両方とも貴重品ではあるが、源氏物語の朝顔の斎院に関わる描写の美しさが印象的だった。
これまであまり注目しなかった人物だが、すばらしくセンスのいい人だとわかった。
巻末には舶来のペットが取り上げられ、「唐猫」がフォーカスされる。
猫好きの一条天皇が、生まれたばかりの飼い猫の産養をしたという「小右記」の記事については、ここで初めて知った。
その猫ののちの姿が「枕草子」の「命婦のおとと」だったとされていた。
本当かどうかはわからないが、そんなつながりがあったら楽しい。