芸術新潮で著者のファンになってから17年、この本を購入してから5年、やっと読み終えることができてホッとしている。
2006年ごろの芸術新潮で、二度にわたるロマネスク教会の美術特集。
そこで金沢百枝さんの切口やご本人の文やお姿をみて、とてもチャーミングなこの方が大好きになった。
以降、Twitter
...続きを読むも見て、金沢さんの生活や世界へのアンテナ、感覚に刺激をもらっている。
2年ほど前にテレビにも出演されて、もちろんそれもチェックしていた。
お洋服が素敵だったなあ。あやしいファンですみません。
正直に言えば、ロマネスクは、芸術新潮で出会うまで全く知らない世界だったし、この方の切り口でなければピンと来ないままだったと思う。
有名なゴシック建築の前の、ロマネスク建築。
ゆるく、直接的に、教会全体を大きく一続きの空間としてデザインし、個人の祈りの延長にある、手仕事の素直な喜びと、のびやかな面白さ。
全体の歴史も紐解き、細かな説明も読んだ上で、そういう美術なんだと感覚でも知識でも理解できてよかった。
小難しいことは抜きにして、感覚で美術を見る。
そのあとに知識で補完し、納得。こういう流れが私には合っていたようだ。
この本は、図版も可能な限り収録して、わかりやすく説明してくれている。
私のような門外漢は必死でついていく状態だったけど、入門書としては十分な一冊だと思う。
芸術新潮で見た話をもっと詳しく知ることができたし、刺繍やモザイクなど、建築以外の要素も絡めて、包括的に学ぶことができた。
いずれ、とんぼの本で、この方の古寺巡礼シリーズを全部揃えたいと思っている。
著者の飾らない喋り方(体言止め、〇〇ではないかしら、の口調)が素敵だなあと、またファン・バイアスで楽しく読んでいた。
メモ①桎梏 しっこく という言葉がわからなくて調べた。手枷足枷のこと、自由を妨げるもの、らしい。覚えよう。
メモ②突然のアーサーネタに驚いたが、クレチアンは一人称で書いているらしい。へー。(第7章ラスト)
メモ③アヴァロンが聖ラザロの物語に登場するが、え、アヴァロンって実在すんの、と思ったら、フランスにある街Avallonだそうで。知らなかった。
私の知る、りんごの島のアヴァロンAvalonとはスペルも違うんですね。へーー。