漱石は作品のほかに膨大な日記・その断片を残している。ロンドン留学時の日記・「それから」連載中の日記・修善寺大患時の日記・明治の終焉時の日記など、七篇の日記を収録。
日記ってそもそも誰かに読まれることを想定されて書かれているものじゃないと思うので、いざ読もうと思っても結構難しかった。特に最初は文語文
...続きを読む体っぽいもので書かれているので一苦労。倫敦の日記が一番読みものとしては面白いかも。満韓紀行記はよくわかんなくてほとんどスルーする感じで読んでしまいましたワ。すみません。
修善寺の日記は「思い出すこと」の補完的な要素もある感じがした。いやしかし文章にしてみると相当漱石弱ってたんだなあとしみじみしました。ひどかったのね、よくぞ生き返ってくれた。
しっかし大正三年の家庭日記は鏡子夫人や下女への文句が辛辣過ぎてかなり鬱になりましたはい。でもこれらの漱石の負の面を小宮たちが隠してたのはもっと嫌。そりゃ小宮からすれば偉大な先生だったんだろうし病的な部分全部隠して讃えたかったんだろうど、本当のことを伝えるのも大事だと思う。だから私は鏡子夫人の言葉や次男の伸六氏の言葉の方を信じます。
大正五年の晩年日記は最後の方は植物の描写に終始してて何となくわびしい感じがしました。これで日記が終わるっていうのが何とももの悲しいです。