心理療法におけるセラピストの心の内にこたえる。
クライエントを,
どう受け容れるのか。
クライエントに,
どう答えるのか。
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P89
…セラピストは日々心を鍛えることで,人の話を受け取る守備範囲を広げる必要があるのです。
器を大きくするには,人が接近しがたいものについて学ぶことです
...続きを読む。主なものとしては,性愛,憎しみ,死の三つが挙げられるでしょう。ちなみに,これはフロイトが欲動論として語ったことに一致します。
P92
すべてが共感できるほど,セラピストは万能ではありません。
P93
…現実問題として,一人の人間があらゆる体験を積んでいくことなどできるはずはありません…共感にとって体験が大きな意味をもつとしても,体験がなければ共感できないとなれば,共感できることなどごくわずかになってしまいます。
そこでこう考えてみます。人には想像力があり,想像力を働かせることで相手の心をある程度理解することができるのだ,と…体験していなければ何もわからないというほど人間は愚かではないのです。