マイケル・ピルズベリーの作品一覧
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ビジネス・実用
Posted by ブクログ
CIAの職員として、中国と友好関係を結ぶために長く働いてきた著者の自伝のようなもの。
悔恨の書というか懺悔の書というか、個人としてはそのような趣きがあるとしても、政府が発刊を許したのは、ここから反撃を始めるぞ、という狼煙の役割もありそう。
米中の橋渡しが著者の仕事だったとは言え、日本の姿がまったく見えないこの半世紀の記述である。
せいぜい尖閣でのせめぎあいなど、チャイナが牙を見せ始めてからの一例として登場するくらい。
この存在感のなさが「戦後レジーム」なのだな、とつくづく。
また、チャイナの側も日本のことなどまったく歯牙にもかけていないのが伺い知れる。
それは、別にチャイナのGDPが膨張したここ十数年とかの話ではなく、中ソ関係が険悪だった1960年代であってもそうなのだ。
日本が、世界第二位の経済大国とか威張っていた時代にあっても、チャイナは日本を都合よく搾取する対象としてしか扱っていない。
そのために工作に勤しみましょう、というわけで、日本の地位を奪うとかそういう意識はない。
今、結果として日本を抜いた状況にあるだけ。
当たり前だが、目線は米の覇権にのみ向いていて、そのための100年なのである。
さて、そのチャイナの100年の戦略を知ってしまった今、我々はどうすべきか。
チャイナの膨張はどうやら習近平だからどうという問題でも無いとなれば・・・。
その答えも春秋時代の戦略に学べ、というのが著者の結論。
やっぱり、古典は大事ですね、と。
以下、読んでいて驚いた点。
ソ連の高官たちが、割と早い時期に自国の没落を覚悟していたこと。
チャイナに気をつけろと米国人である著者に忠告していたこと。
天安門後も米の対中政策に変更はなかったこと。
リー・クアンユーについて紙幅を割く著者だが、マハティールについての記述は無し。
Posted by ブクログ
親中派の著者(マイケル・ピルズベリー)が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの記録。
以下、本書より元防衛大臣・森本敏氏の解説。
本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・ピルズベリー博士の中国論。
ピルズベリー博士は実際、本書の中で「ニクソン政権以来、30年に渡って政府機関で働いていた中国の専門家として誰よりも中国の軍部や諜報機関に通じていると断言できる」と自負している。
その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜く事ができず、騙され続けてきたと告白する。
この告白は衝撃的である。
我々はこれほど中国に精通し、中国要人と交流のあった同博士でさえ中国に欺かれ続け、それを知らずに歴代米国政権が対中政策をピルズベリー博士の助言や勧告に基づいて進めてきた事実を知って今更の如く愕然とする。
Posted by ブクログ
原題はthe hundred marathons 100年マラソン。
アメリカのインテリジェンスに籍を置いていた中国専門家による中国の戦略に警鐘を鳴らす一冊。
はっきり言って、翻訳がイケてなく読みづらい。だがそれも、中国文化・歴史観に全く馴染みのない欧米人が読んだときの「捉えどころのなさ感」を共有する舞台装置、ともとれる。
三国志など色々な中国歴史古典に親しみ、文化的にも近い我々からすると然もありなん、なところもあるが、全く文化的親和性のない、歴史の浅い、欧米人には、きちんと言葉で説明されてもなかなか理解しづらいのではないだろうか。
著書自身が中国に対する評価の転換、自らの分析や判断の誤りを認めるまでそれなりの時間と判断の紆余曲折を経ていることからもそれは想像に難くない。
思うに彼の国は、表面の事実だけでは判断がつかない。1949年の建国で政体こそ変わったが、それ以前から脈々と続く(ほぼ)単一民族の営みと歴史を踏まえて、現在の情報を判断する必要がある。日本人なら彼らの近いところでそれができるかもしれないが、もう日本の知中派はパンダハガーとして取り込まれてるのかもしれない。