実家の隣がゴミ屋敷なので、ゴミ屋敷住人のことをレポートした本
なのかと思って手にしたのだが少々違った。
ネグレクト。子供の虐待事件ではよく聞く言葉だが、本書が取り上げ
ている「セルフ・ネグレクト」は高齢から来る身体能力の低下や、
認知症が原因となり自身の生活に対して極度に無関心になることだ。
そ
...続きを読むれがどんなことを引き起こすのか。衣食住に関わることをすべて
放棄し、発見が遅れれば孤立死に繋がる。
そんなセルフ・ネグレクトの研究の歴史、具体的な歴史を簡潔に記述
している。
以前、お笑いタレントがゴミ屋敷の住人を説得して一緒に片づけをする
というテレビ番組を見た。今思えば、あの番組で取り上げられたゴミ屋敷
の住人はこのセルフ・ネグレクトに該当するのではないだろうか。
自分に誰かの手助けが必要なのかを認知出来ない。プライドが高くて
支援を求められない・支援を拒絶する。親族を失ったことから来る
喪失感から無気力になる。家族・親族からの虐待で「自分はいらない
存在だ」と思い込まされる。
原因は様々だが、そう遠くない将来、私自身がなってもおかしくはない。
そう考えるのはいささか怖いのだけれど。でも、セルフ・ネグレクトは
誰にでも起こりうることなのではないか。
「死後○日経って発見されました」。孤立死を伝えるニュースは後を
絶たない。ライフラインが止められても、個人情報保護法の壁に
阻まれていると著者は言う。
情報は守られても命を守ることが出来ない。電気・ガス・水道と言った
事業主と、福祉などの行政の連携が取れるといいのにな。