エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの作品一覧

「エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ」の「自発的隷従論」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 自発的隷従論
    4.3
    1巻1,210円 (税込)
    なぜみずから屈し圧政を支えるのか。圧制は、支配される側の自発的な隷従によって永続する――支配・被支配構造の本質を喝破した古典的名著。シモーヌ・ヴェイユが本作と重ねて20世紀の全体主義について論じた小論を併録する。

ユーザーレビュー

  • 自発的隷従論

    Posted by ブクログ

    当時は教会が政治との結びつきが強く、政治扇動の書として誤解されることを防ぐため、友人のモンテーニュがラ・ボエシの死後も発表を躊躇したという書籍。

    人は力や謀略により強制的に服従することはあっても、強制されずとも自ら進んで権威に服従するのは何故か。この自発的隷従のメカニズムついて様々な考察を示し、最も唾棄すべき悪徳として痛烈な批判を浴びせている。翻訳の絶妙さなのか、ラ・ボエシの批判的な文章が妙に強烈なのが印象的だった。


    【一部引用】

    彼らは強制されもせず、いかなる必要もないのに、圧政者に身を委ねた。私はこの民の歴史を読むと、きわめて大きな恨みの念を覚えずにはいられない。われながらまるで人

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    2024年02月07日
  • 自発的隷従論

    Posted by ブクログ

    「日本の状況が他人事と思えなくなる」の帯がついていましたが、一人の圧政者に云々という下りは、北朝鮮を思い起こさせました(著者はモンテーニュと刎頸の交わりがあったとのことで、引用はギリシア・ローマが多いのですが)。

    圧政者一人が4〜5人を追従者として周りにつけ、徐々にそれを広げて権力基盤を固めていくというのは、企業でも似たところありかとも思いました。

    本文は80ページほどの短いものですが、最後の西谷修氏の解説が圧巻です。対米追随の日本の現状を分析し、これを権力基盤としている政党や追随者の話は、別に一冊書いて欲しいと思うほどの内容です。これを読むと、「日本の状況が他人事と思えなくなる」というの

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    2021年07月11日
  • 自発的隷従論

    Posted by ブクログ

    モンテーニュの時代(1500年代)に圧政者とこれへの隷従が生じるのはなぜか、その構造は何かを論じたもの。うーん、自発的隷従か、確かにその構造
    があるからこそ、圧政は可能となるように思われる。今の時代のsenseを読み解く鍵になるかもしれない。

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    2020年06月12日
  • 自発的隷従論

    Posted by ブクログ

    自発的隷従論 ポエシ ちくま

    公務員でありながら
    客観性に飛んだ人間論を持った人によって
    1500年代に書かれた稀有な本だ

    人の本質には個としての自律心と
    全体の一部としての依存心が共存しているのだろう
    そのどちらが表面化するかによって
    生き様が変わるのだけれど
    自主的参加による集いから
    余剰生産物の到来による社会の肥大化で
    個人が組織に飲み込まれて以来
    主従関係が蔓延することになる
    そこで生み出されたのが
    奴隷と戦争に支えられたギリシャにおける
    民主主義モドキの貴族社会であり
    このボエジの本である

    つまり赤ん坊が親と環境に依存すると同時に
    自由奔放に自己を表現するように
    人間は本来冒険

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    2020年01月06日
  • 自発的隷従論

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    西谷修氏の解説『不易の書『自発的隷従論』について』の中に「一人の支配者は独力でその支配を維持しているのではない。一者のまわりには何人かの追従者がおり、かれらは支配者に気に入られることで圧政に与り、その体制のなかで地位を確保しながら圧政のおこぼれでみずからの利益を得ている。そのためにかれらはすすんで圧政を支える。」とある。これは、中国や北朝鮮や日本など国家だけでなく、企業や各種団体などあらゆる集団に当てはまる。多くの人が自分は他者より利益を得ていると感じるから隷従に甘んじているのだろうか。目を覚まさないと。

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    2016年05月03日

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