作品一覧

  • 京都学派
    3.7
    西田幾多郎に始まる「京都学派」の思想は、西洋哲学にも匹敵するオリジナルな哲学として、高く評価されています。しかし一方、戦前日本の海外侵略的姿勢に思想面からのお墨付きを与えたとして、厳しい批判にもさらされています。本書では、いったん彼らの「政治的な誤り」はカッコに入れた上で、客観的なその哲学的評価を試みます。その上で、なぜ彼らは過ちを犯すことになったのか、その深い理由に迫ります。
  • 弁証法とイロニー 戦前の日本哲学
    4.0
    1巻1,485円 (税込)
    戦前期、「近代」を問う日本の知識人たちは何を思想的課題とし、何を思考し続けていたのか。田辺元の「弁証法」と保田与重郎の「イロニー」を二つの極に、三木清の「人間学」・萩原朔太郎の「デカダンス」の思想を媒介項とすることにより戦前期昭和思想の思想地図を大幅に書き換える。同時に、ハイデガー・ベンヤミンらと同時代の思想的営為として世界の哲学思潮の中に戦前期昭和の思想を位置づける画期的著作。(講談社選書メチエ)

ユーザーレビュー

  • 京都学派

    Posted by ブクログ

    中国から日本をどう際立てて独自性を打ち立てるか。
    コンプレックスの解消としての「言葉のお守り的使用」

    0
    2021年05月13日
  • 弁証法とイロニー 戦前の日本哲学

    Posted by ブクログ

    ドイツの思想史において、ドイツ観念論の哲学者であるヘーゲルの「弁証法」と、ドイツ・ロマン派の論客シュレーゲルの「イロニー」の概念は、密接なかかわりをもっています。ところが日本の思想史研究のなかでは、この二つの概念が関連づけて論じられることはまれでした。本書は、じつは近代日本の思想史においても、「弁証法」と「イロニー」の概念は、けっして遠くへだたったものではなかったということを明らかにし、近代日本思想史の分断を架橋することをねらっています。

    近代日本哲学のなかで「弁証法」をみずからの思想の重要な概念として採用したのは、哲学者の田辺元でした。一方「イロニー」は、日本浪漫派の保田與重郎によって主題

    0
    2021年09月20日
  • 京都学派

    Posted by ブクログ

    「京都学派」とは、西田幾多郎、田辺元をはじめ、世界水準と評される西洋哲学研究者を輩出しながらも、1942年に「近代の超克」を掲げて行われた座談会などが、戦後、日本の軍国主義を擁護したものとみなされ、知的A級戦犯という扱いを受けてきた、京都大学に基盤をおく哲学研究グループのこと。
    その悪名高い存在は知っていても、彼らの思想の難解さゆえに、「日本が西洋近代を超克する存在になる」というくらいの思想なのだろう程度で、本当のところ何を論じていたのか、実はよく知らなかったのです、恥ずかしながら。それが新書でわかりやすく解説されているというのだから、よし今こそ宿題をかたづけてやろうという勢いで読み始めました

    0
    2020年09月02日
  • 京都学派

    Posted by ブクログ

    三木清の思想と行動を知るにつけ、聖人はいないのだ、との感を強めた。私の知っている三木清像は誰が描いたのだろうか。

    また、戦争という国家規模の動きに巻き込まれないことがいかに難しいかを痛感する。科学だけでなく、パラダイムはあらゆる分野に確実に存在する。後の時代から声高に断罪することの意味はいかほどか。

    上山 春平の「ネガ」としての日本文化論は興味深い。ナショナリズム克服の方途としての視点だけでなく、健全なナショナリズム構築の視点もあるからだ。

    本書で記述されている、思想的な部分と心情的な部分の人間模様は京都学派に限らず、他の分野でも必要な切り口だろう。

    また、全体的に哲学的な思考を入口っ

    0
    2018年03月23日
  • 京都学派

    Posted by ブクログ

    私のように、 哲学には疎い人間には少し難しいが、京都学派と近代日本の哲学界の見取り図のようなものは少し理解できた。
    著者は、何とか京都学派の人々のプラスの成果を今日的に位置づけようとしているようだが、そういう事に意義は感じられない。私の残り少ない人生で京都学派の人々の本を読む必要はない、と理解できる本だった。

    0
    2018年09月20日

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