三橋順子の作品一覧
「三橋順子」の「男の娘“かわいいボクたちの現在”」「これからの時代を生き抜くためのジェンダー& セクシュアリティ論入門」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
キワモノ系の本かと思って読んだら、かなりアカデミックな内容で驚いた。著者は、戸籍上は男性で、M t F のトランスジェンダー(性別越境者)で、社会・文化史研究家。日本最初のトランスジェンダーの大学教員となった。
本書は、「古代から近代までの日本の歴史の中の現れる女装に関するさまざまな事象を取り上げ、社会・文化史的に説き明かすとともに、現代における女装コミュニティや性別認識を分析し、さらに世界の女装文化の比較文化論的位置づけにまで及ぶ。日本初の女装に関する専論書として井上章一、原武史、松岡正剛など知識人・読書人の評価が高く、現代風俗の領域での独創的な研究に対して授与される第19回(2010年度)橋本峰雄賞(社団法人・現代風俗研究会)を受賞した」(Wikipediaより引用)。
LGBTへの偏見差別は、明治中期以降に欧米文化(特にキリスト教)の影響というか、導入によるもの。明治初期までは、日本ではLGBTに対して「おおらか」な社会であった。変態(ヘンタイ;変質者とかいわれる)は、大正期に翻訳された「変態性慾心理」に由来していることがわかった。
そして、あとがきにあるように、性別を超えて生きようとすることを社会悪とした19世紀以来の欧米の精神医学、この基本思想がいまだに息づいていること。「変態性慾」、「異常性欲」、「性的逸脱」、「性同一性障害」と名称こそ変えてきたものの、あいまいな性の存在を許さない性別二元制と異性愛絶対主義が今なおはびこっている。
本書の巻末には多数の参考文献が掲載されており、勉強になること請け合い。いわゆるLGBT法案に反対したり、危惧したりしている議員さん達には、ぜひとも読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
2008,三橋順子,「女装と日本人」講談社現代新書
日本で、古代よりどのような場面で、どのような人が女装を行ってきたか、社会はそれを、どのように受け止めていたか、というところが序章。そこから、近世、近代、現代と時間をたどっていく。
勉強になったのは、西欧諸国以外の世界では、かなり女装の男性が活躍している、ということ。西欧では、宗教(キリスト教)によって異裝者が弾圧されてきた、ということ。日本の古代は広く女装(異性裝)が行われてきたが、明治期以降の西欧医学の導入で、「変態性欲」とみなされ、「風紀を乱す」として規制され、アンダーグラウンド化した、ということ。とくに、異性裝者(もしくはホモ・セクシャル)に寛大だと思っていた西欧社会に対する認識は、180度変わった。
こうした歴史の流れを本書に沿って読み進むと、確かに筆者が豊富な経験をもとに主張するように、男性・女性の2元論は極端に見える。とくに、「男性が表現する女性の妖艶さ」という表現には、異性裝者に間近で遭遇した経験もないのに何故か納得できた。
コミュニティによって、あるいは、共同幻想によって性別が規定される、という視点も興味深かった。「あなたが男性なのは分かっているけれど、俺にとっては女」という、女装者とともに、対峙者も一緒にトランスジェンダーする、という認識には始めて触れた。
「曖昧な性」という、終章での著者の思想は、本書を読むまではおそらく極論に見えた。しかし、本書を読み終えた後ではそうはいかない。男/女を極めて強力に規定する社会の極端さがはっきりするからだ。