コンピュータサイエンスを基礎にしていない者に、Lispの特徴を伝えることに終始した言語解説本。
ウェブサイトやブログなどにおいてLispが語られる際、言語の優位性や哲学を中心として語られている記事が目立つ。
Lisp を長く深く研究している著者にも、その哲学に対し深い思想を持っていることが前書き
...続きを読む(兼あと書き)から読み取れる。
しかしながら本文は、そのような抽象概念は極力隠し、Lispを教養としていかに理解してもらえるかに徹底して書かれている。ユーモアを交えつつ噛み砕いて少しずつ消化させる構成は、著者のLispへの想いが伝わってくる。
それゆえに書きたいであろう内容は多く残っていると思われるが、詳細については潔く他著にゆずり、基本概念の丁寧な解説に終始している。しかしながら話が進むにつれて、数学的思考力が必要な箇所が増え、学問的にLispを学ぶには十分濃い内容だった。
数学教養として豊富な内容を持つことから、繰り返し読むことで理解する使い方に適している。表題の通り Lisp 初学者はもちろん、そうでない人へも、論理的思考力を鍛える手引きとして手元に置くことをすすめたい。