作品一覧

  • 戯れの魔王
    4.0
    1巻1,732円 (税込)
    甲斐駒ケ岳の山岳地帯に作業場をかまえ、鉄のゲージツ家として活動を続けてきたオレ。後期高齢者となった今は、畑に野菜を作って猿や鹿との攻防を繰り広げ、奈良のお寺から蓮の根をわけてもらい、美しい花を咲かせるのに熱中する日々だ。 そんな作業場へ、サングラスを掛けたスキンヘッドの男たちがやってきた。 「ああ、そうか。マロの一味だな」 「はい、弟子の舞踏者です」 目をやると、テンガロンハットに黒い革のコートをまとった「中央線の魔王」が、桜の木に寄りかかっていた。オレの作品のガラスの柱を舞台に使わせてほしいと言うのだ。 「クマ、一緒に踊るか」 「オレが? マロと?」 子どもの頃から歌も踊りも苦手なオレだが、マロに「ダイジョーブ、俺が演出するんだ。素直な躰ひとつ、お持ちいただけるだけでよろしいので」とまで言われて怯むのは「私に生きる才能は残っておりません」と白旗を掲げるようなものだ。・・・ こうして白塗りのメイクで、麿赤児率いる大駱駝艦の初舞台を踏む「戯れの魔王」。 母の死を看取り、蓮の花が開いて散るまでの4日間を見届けて送り火を焚く「蓮葬り」。 日本アルプス屈指の名峰・甲斐駒ケ岳の初登山に、靴ずれしながら挑みきる「アマテラスの踵」。 鉢植えの蓮を野生の多年草に戻そうと、池を掘って腰をやられた。頑丈な肉体にも老いはしのびよる。そんな作業場に仔猫が迷い込む「ささらほーさら」。 話題作『骨風』のKUMAさん、生きる実感に満ちあふれた最新小説集。
  • カミサマ
    3.0
    1巻1,155円 (税込)
    夢で見た「白いひらひら」はカミサマへの手紙だった!傷ついた13歳の少年拓海と飼い犬のパンが山の自然とオバアの愛情に抱かれて、優しく癒されていく物語。
  • 骨風
    3.9
    1巻1,425円 (税込)
    そのコトバは、どこまでも自由に舞っていた 鉄と戯れ、ゲージツする日々。殴られ続けた父親の死。蜂に刺され鹿が迷いこむ山の生活。生と死を見つめる眼差しが優しい私的短編集。
  • 走れUMI
    4.0
    1巻639円 (税込)
    かつて捕鯨で栄えた、入り江の奥の小さな港町。僕は母さんの実家のミカン山で暮らすことになり、生まれ育ったこの町を離れた。一年後の夏、僕は父さんとジイチャン、後ろ足を失くした犬のコロが暮らす故郷を目指して、ひとり相棒のマウンテンバイクUMIのペダルを漕ぎ出す。小学館児童出版文化賞受賞作。(講談社文庫)
  • A(アンペア)
    -
    1巻858円 (税込)
    ゲージツ家クマさんが紡ぐ少年の友情と成長 第58回小学館児童出版文化賞受賞作家、 ゲージツ家クマさんが紡ぐ少年たちの友情と成長の物語。 「見えなくても確かに在るものって在るだろ?」 学校でも勉強にはいまいち集中出来ず、 だからといって運動や遊戯の時だって、 頭の中と身体がバラバラになってしまう… 犬が苦手で小心者の僕、ダダン。 親友のトキオが自転車につけてくれた弁当箱は、 「生きてる量をはかる」メーター、アンペア・メーターだった。 気が小さくて苦手なものだらけの 僕の中にも、アンペアは確かにあるんだ…… 春休みの間の出会いと別れで、 少しだけ成長していく少年の物語。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 骨風

    Posted by ブクログ

    人生こんなもんかと思ってしまった大人におすすめしたい一冊。読み終わったあとで、瀬戸内の海沿いに立っているあの鉄の塊が著者によって創られたものだと知る。決意は形にできる

    0
    2021年01月03日
  • 骨風

    Posted by ブクログ

    狂い落ちるほど好きになった本。
    山に篭りながら創作活動を続ける年取ったクマさんの周りで起こる、生と死に淡々と向き合う。都心に買い物に行く時などを「シチーに降りる」などという独特な文体が狂おしい程愛おしい。いつまでも健康でいて欲しい。
    舞台化されたが、仕事で行けず、悔やんでいる。

    0
    2019年02月07日
  • 骨風

    Posted by ブクログ

    私小説と言うか、完全なフィクションのよう。
    でも、エッセイでもなく完全な文学作品だ。
    じわじわ響く。

    0
    2017年12月28日
  • 骨風

    Posted by ブクログ

    全編通しては勿論だが、一篇一篇、実に充実した読後感を味わえる。
    生きるということ、死ということが、この作品に通底するテーマなんだと思う。それらは、クマさんの目に映る自然の中にあるように感じられ、木々の間から差す木漏れ日のような(と言うとあまりにもありきたりで綺麗すぎるが)、やさしい雰囲気が作品全体を包んでいる。
    むずかしい言葉はなく、ストレートな、シンプルな言葉が紡がれていく。でも時にハッとするような表現があって、ゲージツ家なんだと改めて思わされる。
    大事な人に教えたくなる、大事にしたい作品。

    0
    2016年10月12日
  • 骨風

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    クマさんの半生が淡々としかし骨太に描かれる。
    時々現れる心の描写、情景描写が、驚くほど細やかで鮮やか。
    山間での暮らし、老いた母親とのやりとり、幼い頃の記憶、ヤクザものの親類とのいざこざ…読み終えても情景が蘇ってくるよう。
    スイスイ読ませるが、しっかり”残る”傑作だ。

    0
    2015年11月28日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!