2011年度ノベル大賞受賞者のデビュー文庫。
雑誌cobaltは毎号買っているのですが、内容を読むまではいってなくて。
なので受賞作はまだ読んでいません。
基本的にコバルトの受賞作家さんのデビュー文庫は買うことにしていまして。
この「ロスト・グレイの静かな夜明け」は表紙イラストと裏表紙のあら
...続きを読むすじを読んでわくわくしていました。
最近、少年向けラノベを重点的に読んでいたせいか、少女向けラノベの雰囲気がちょっと新鮮でした。
プロローグを読んで、舞台は現代なのかな? と思っていたのですが、読み進めていくうちに違うかも? と思うようになって。
「霧の壁」の向こう側には「死者の世界」があり、心残りを抱えて亡くなった者がたどり着くらしくて。
主人公・アズサはデパート火災に巻き込まれ、15歳で亡くなってしまった女の子。
両親が「霧の壁」の向こう側を信じて「水葬」で送り出し、両親の願いどおりアズサは「霧の壁」の向こう側で目を覚ましたのです。
スピード感あふれる戦闘とか、そういうのはないけれど、なんだかゆったりとした雰囲気に惹きこまれてしまいました。
ああ、そういえば地の文が一人称の作品を読むのもひさしぶりですね。
なんというか私小説を読んでいるような、そんな感じの作品でした。
いやあ……本当に新鮮。
アズサが出会い、つないでいく絆がひとつの物語となっていく様はすごいなあ、と。
流浪の料理人・サムシィの男前っぷりに惚れぼれします。
女性なんですが、サムシィ。
それにしても「霧の壁」を越えることができる人は煙に巻かれて死亡、が共通点なのでしょうか?
アズサもそうですし、他の人たちもそうだったし。
ただの偶然?
あとハイアットのお師匠さまはあれですね。
確かにサムシィさんと気が合いそうですね。
いや、もしかしたら犬猿の仲だったりするのか?
――なんてことを考えながらラスト方面を読んでいました。
おもしろかったです。