我々は数多の書籍があるジャングルで、遂に本書を発見したっ!
40代後半以上の人なら覚えておいでだろう。テレビ朝日で放送
されていた「水曜スペシャル」。そのなかで当時の子供たちが
手に汗握り、固唾を飲み、心を躍らせた「川口浩探検隊」。
嘉門達夫氏が番組内容を茶化して歌った「行け!行け!川口浩」
と
...続きを読むいうパロディ・ソングを覚えている方もいるだろう。
著者もそんなひとりだ。探検隊の放送を毎回楽しみにしていた。
そんな著者が、川口浩探検隊の隊員として参加した当時の
スタッフを探し出して番組の真実に迫った。探検隊のみならず、
「ヤラセ」と言われるテレビ番組の真相にも迫っている。
と、川口浩探検隊のナレーション風に書こうと思ったのだけれど
無理だったので、ここら辺で止めときます。
凄かったと思うのよ、この探検隊シリーズ。今のように気軽に
インターネットでなんでも調べられる時代ではなかったのだから。
その土地に伝わる伝説などを参考にしながら、原始猿人やら、
怪鳥やら、双頭の蛇やら、未知の生き物を探しに行っちゃう
のだもの。
番組に携わったスタッフの情熱もとんでもなかったよ。「どう
したら面白くなるか」を常に考えて、遂には蛇と蜥蜴を縫い合わせ
て、存在しない動物を作っちゃう。
だが、そんな番組も今は作るのが難しいだろう。同じテレビ朝日
「アフタヌーン・ショー」でのヤラセが発覚してからというもの、
コンプライアンスが厳しくなったから。
白か黒か。それだけで判断できないものってあると思うんだ。
特にバラエティ番組なんかはね。見終わって「面白かったけど、
これって本当にいたんだろうか?」って視聴者に思わせる
のもいいんじゃないかな。
当時はオカルト番組だっていっぱいあった。オウム真理教の
一連の事件以降、オカルト封印になっちゃったけどね。心霊
治療なんて「んなわけあるかぁい」って突っ込みながら見て
いたわ。見る側の「見方の自由」さえ奪われた感じ。
川口浩探検隊や「水曜スペシャル」だけではなく、前記の
「アフタヌーン・ショー」ヤラセ事件や、旧石器捏造事件、
ロス疑惑事件まで話が及んで、読み手を引きつける。
テレビがエンターテインメントとして機能していた頃の、
ハチャメチャな裏話としても楽しめる。
尚、ロス疑惑事件では発生当時、ロサンゼルス警察の取材を
していた「水曜スペシャル」取材班が真っ先に三浦和義の
インタビューを取っていたことにびっくり。
そして、「作り物」の番組を制作していたスタッフたちは
一様に「これの事件、おかしいよね」と感じていたのだとか。
なるほどな…って、変なところで納得。
テレビで放映されない裏側に、本当の「ドキュメンタリー」が
存在していたんだね。スタッフたち、かなり危険な目にあって
いるのだ。それさえも、今じゃ出来ない取材準備かもしれないね。