ニール・シュービンの作品一覧
「ニール・シュービン」の「あなたのなかの宇宙 生物の体に記された宇宙全史」「進化の技法――転用と盗用と争いの40億年」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
バラバラだった西洋科学がつながりはじめた
相対性理論から素粒子の時代になって
ニューエイジと言われる総合的な視野による
学問の扉が開いた
それは東洋的で一成る特化した答から離れ
対立と無関心の心の垣根を外して
調和へ向かう共生的な解放の時代を模索し始めた
古生物学者であるこの著者もそんな一人のようだ
「人の中の宇宙・宇宙の中の人」という無限観とか
宇宙観という視野の広い俯瞰した世界を紹介している
美学に哲学から倫理学に宗教も含めた選択肢の中で
物理も化学も生物学も全てを網羅した全体と
それを支えているあらゆる部分が入れ子になった
夢幻的な関係から人間とはどこから来て
何をしようとしているのかを理論的に紐解こうとしている
ここで物質という摩擦界における形ある部分的存在と
形のない意識という全体的存在が相対する相互作用を
イメージしながら感情に溺れず客観的に理解と思いを
深めていかなければならない
科学者とは思えない文章の上手さも在って
特に出だしからの前半が面白い
それでも人間社会で長く続いてきた農耕による余剰生産物によって
始まった依存社会の行き止まりとなるだろう資本金融主義で
洗脳された弱肉強食論や権利意識や競争原理が染み込んでいる
なごりから抜け出せない部分が多々あるようで
ダーウィニズムなどそのパニクった抵抗勢力は計り知れない
Posted by ブクログ
批判者から「進化は漸進的にではなく一気に進む」と言われたダーウィンは、「漸進的な変化には機能の変化が伴う」と反論した。後世の研究は、正に「機能の変化」こそ、生命史上の大進化が起きたメカニズムを説明するキーワードだと明らかにした。古生物学者が発生生物学、遺伝学、ゲノム研究の成果から進化の謎に迫っていくサイエンス・ノンフィクション。
太古の水棲生物が陸に上がるときに肺を持つことができたのはなぜなのか。飛ばない恐竜の表皮に今の鳥類と同じような羽毛が生えていたのはなぜか。なぜさまざまな動物の種で胚が似ているのか。こうした謎を解き明かす過程で、ダーウィンが残した「機能の変化」という言葉がいかに的確に進化を表現していたかがわかってくる。生物はほとんど同じ材料を共有しながら、それを転用したり複製したり、外部から侵入してきたウイルスを利用したりして個々の姿を変えてきたのだ。
特に、「ジャンク」と呼ばれ、無駄なストックだと思われていた重複遺伝子が今の動物に必須な五感や呼吸の機能を生んだとわかるくだりはワクワクした。重複遺伝子という言葉自体が初耳だったけど、機能が先にあったのではなく無駄に作られたコピーが次の展開に繋がっていくというあたり、おもしろ例え話に使えそう。古代生物の脳にタンパク質が発現したり、卵生から胎生に変わるきっかけがウイルスだった! というのは『天冥の標』のノルルスカインだなぁ。
現在、すべての動物が同じ遺伝子群を使って体を作りだしているということがわかっており、それによって多発的な進化が説明できる。そのことは、つまり初めから生命史をリプレイしたとしても動物たちは同じ発生の過程を辿って今と同じ姿になるだろうことを示すという。これが現代における〈存在の大いなる連鎖〉なのだ。
本書は研究者たちの列伝でもあって、キャッチーな写真とキャプションで楽しませてくれたり、性差別と闘いながら独自に研究を続けた女性たちにスポットを当てている。今研究史を書くなら当たり前に考えなければいけないことだとは思うけど、女性科学者に対する偏見に気を配った書き方がされているのでストレスを感じず読めた。
注釈と別に「さらに勉強したい人のために」が用意されてて超親切! 著者は元々化石を掘る古生物学の人なので、初期両生類の化石発見をめぐる一文はローレン・アイズリーを思わせるセンス・オブ・ワンダーに満ちていた。この人好きだなぁ。他の著作も読んでみよう。
Posted by ブクログ
30年ほどまえ、修士論文のために遺伝的アルゴリズムを研究していた。出来上がった論文はゴミだったが、いくつか知見を得ることはできた。最大の知見は、画像認識あるいは人工知能研究のためには当時の時点ではコンピュータのパワーが圧倒的に不足しているということ。
当時、遺伝的アルゴリズムの研究者にどれほどの人材が参加していたかは不明だ。もともとが遺伝子のふるまいをごくごく単純にモデル化したにすぎないもので、実用に耐えうるのかという疑問が指導教員をして当方にテーマを授けさせたと感じている。単純なモデルに不安を感じたのは指導教員だけではなかったのだろう。門外漢が付け焼刃的な学習から得た遺伝子のそれっぽいふるまいを付け足した、やくたいもない論文だらけだった。この分野に未来はあるのだろうかと思ったものだ。
遺伝子の振る舞いは、これまで思っていたものよりも静的ではない。免疫が外部からの侵入者と常に戦っているように、ウィルスという外敵だけでなく、自らのコピーミスとも戦っている。稀な出来事ではないらしい。
そんなことを本書を学んだ今ならば、少しは面白い遺伝的振る舞いを仕込めたかもしれないなどと懐古する。
「何事も、当然のことながら、私たちが始まったと思った時に始まっているわけではない」
この言葉の意味するところは、進化という言葉に想起される個人的なイメージを払拭した。進化のために遺伝子セットが生み出されるのではなく、すでに存在する遺伝子が必要に応じてオンオフされるということだ。本書ではサンショウウオの例と、浮袋を持つ魚の例があげられている。
サンショウウオの食餌は、水棲時においては吸い込む方式で、陸棲時はカエルのように舌を伸ばして捕食する。舌を伸縮する方法は筋力によるものではなく、いわば指先につまんだなめらかなものを弾き飛ばすようなもので、エラだったものが変化したものだという。環境要因で遺伝子がオンオフされて、同一個体でそう成るという。
地球上の生物の進化は海から始まり、陸に上がったといわれている。陸に上がったから肺が発生したのではなく、まず浮袋に類するものがあり、それが変化したのだという。
そしてまた、遺伝子に対する漠然とした疑問が本書で解消された。すべての細胞に含まれるという遺伝子は、適材適所の発現をなにによって制御しているのかというものである。
遺伝子の中には発生をコントロールする遺伝子がある。中学の理科だったろうか、胚葉の部位が身体の部位に対応していることを学んだのは。遺伝子の並びもそれに準じている、ということらしい。